日々是遊歩。見て、聞いて、感じて、それを殴り書き。

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行きて帰りし走行記録 PBP2019走行編 Part.2

 職場でフランスのお土産を配る際、痛感したこと。

 「フランス+自転車=ツール・ド・フランス」

 の図式が、日本人の中では物凄く強く定着しているようですね(^^;)。
 いやまあ、日本人の意識として、自転車ロードレースはスポーツの中では「どマイナー」な方に入るのに、ツールはさすがに一般にも名前が知られているくらいに有名なんだな、と再認識させられたわけでもあるのですが。

 一方で、「ツール・ド・フランス走ってきたんだって?」「いや、そうじゃなくて〜」からPBPについて、一連の説明をするのも、だんだん疲れてきましてね(^^;)。
 同時に、概要をまとめたペーパーを配ろうか、とも思ってしまうくらいになってきました。

 というか、エタップ・デュ・ツールに参加したのだったら、そんなに説明にも苦労しないのか……?
 (いかんぞ、余計な誘惑が増えた気がする ^^;)

 では本題です。
 PBP2019走行編、Part.2をお送りします。

 スタートから一晩、走り続けて、217km地点のPC1、ヴィレンヌ・ラ・ジュエルに至ったところで、睡魔退散の意味も含めて約2時間の仮眠をとりました。
 これで貯金は1時間程度となりましたが、4年前はここで休憩を挟まず強行軍で進んだ結果、グダグダになってDNFへと転がり落ちていきましたので、その反省も踏まえて、一旦休みを入れたのでした。

 結果、再出発する段階では、頭がシャキッとしており、ここで仮眠を挟んだのは正解だったと言えるでしょう。

 ちなみに、ヴィレンヌの仮眠所はコントロールの建物から見て、バイク置き場にもなる道路を挟んだ反対側、少し奥まった建物でした。
 壁のペイントから見て、普段は幼稚園か小学校か、という施設(実際には中学校らしい)で、教室か用具倉庫のような大きな部屋の床に、直接、ベッド用のマットレスを敷いた形でした。

 このマットレスがしっかり保温してくれる上に、柔らかく体を受け止めてくれるため、安眠効果はかなり高く、2時間弱の仮眠でも、かなり満足度の高い熟睡感が得られました。
 また、ヴィレンヌのPCは、賑やかにライブ実況などが行われる(とにかく、地域ぐるみでの盛り上がりが凄い)ことで有名なPCですが、この仮眠所の建物は、大音量放送が行なわれている場所からはそこそこ距離があるため、放送の音は、少なくとも私は全然気になりませんでした。

 ……ただし、私は現在、東京の大病院の近所在住で、昼夜を問わず救急車のサイレンがピーポー鳴り響くような環境に居るので、騒音耐性は高めかもしれません。
 皆様は一応、耳栓などを用意したほうが良いかもですね……。

 では、ここからは気分を一新して二日目のライドに入ります。
 興味のある皆様は、以下のRead moreをクリックしてください。


1.Villaines-la-Juhel ~ Fougeres
 すっかり明るくなったヴィレンヌ・ラ・ジュエルのPCを出発。
 しばらく、ヴィレンヌ市内をぐるぐると走ります。


19081831.jpg
前を行く車体、
ぶ、ブロンプトンだと……!
(トランクバッグがすごく低い位置にある)


 さすが、世界中の好事家が集まるPBP。
 ミニベロも少数ですが走っています(^^;)。

 私が見た限り、真っ白なアレックス・モールトン(英国人?)、日本人のバイクフライデー、そして、ブロンプトンがいました。
 ちなみに、ブロンプトンは結構、いろいろな国々の皆様が乗っていたように記憶しています。

 いやまあ、私も国内ブルベなら、ミニベロ(451ホイール)で走ったことはありますけれどね……。
 でも、まだ200kmまでだなあ……。
 (次回のPBPでは、そういう遊びを取り入れても……いや、死んじゃうか? ^^;)


19081832.jpg
ラウンドアバウト越しに、
広大な風景が広がる。


 ヴィレンヌの町を出てすぐのラウンドアバウトから周囲を見回すと、この町が丘陵地帯の高所に位置していることが良くわかる、とても開けた展望が広がっています。
 ここは暗いうちに通っても、どんな景観が広がっているかよくわからなかったでしょうから、明るくなってからのリスタートで正解でした。


19081833.jpg
見覚えのある風景。
4年前、睡魔に負けて、
一旦停止した町だ。


 4年前に、睡魔に負けて止まった町に差し掛かりました……が、PCを出てから20分も経っていません。
 こんなところですぐ停滞していたとか、当時のコンディションは、かなり悪かったんだな……。


19081834.jpg
その町の中にあった歓迎の飾り付け。
日本の国旗は、
サインボードの下の好位置だった。


 この辺りは毎回、コースになっているためか、町の中のあちこちに、参加者を歓迎、応援するための飾り付けが多数、出ています。
 応援のメッセージフラッグが道路の上に掲げられていたり、手書きのサインで、次のPCフジェールや、ブレストまでの距離を示してあったり、見ていて本当に退屈しません。
 前回もこんな感じだった記憶があるので、これがこの地域のカルチャーとして根付いているのでしょう。


19081835.jpg
コースは再び広大な農地となった。
そして、終わりないアップダウンが、
どこまでも続く。

19081836.jpg
朝の放射冷却の影響で、
霧がかかった場所もあった。


 ヴィレンヌ・ラ・ジュエルを出ると、コースはPBPのコースの特徴として語られる、終わりなきアップダウンが本格化してきます。
 スタートからここまでの間も、丘陵地をまともに突っ切って走ってきたため、平坦な場所など町の中のごく一部だけでしたが、ここから先は、西に行くに従って、アップダウンの度合いが顕著になってきます。

 日本人は、ヒルクライムでの走りを意識してか、どうも登りで思い切り踏み込んで走り、下りで休む傾向があります。
 しかし、周囲の西洋人の皆様の走りを見ていると……下りでグイグイ加速して、その勢いのまま次の登りに飛び込み、勢いが止まったらダラダラ……という感じの走り方になっています。

 このため、何となく速度が同じ感じの西洋人ライダーがいると、登りで追い越した……と思ったら下りで抜かれ、また登りで追い越して……まだ下りで抜かれる、という、よくわからない追い越し合戦を繰り広げることになるのでした。
 あちらも同じ人を何度も抜いて、抜かれて、になっていることに気づいてか、追い越す時にヒラヒラと手を振ってきたり、登りで抜かれまいと頑張って踏んでいたりするようになっていました。

 まぁ、結局は基礎体力で劣る東洋人(=私)は、トータルで見ると置いていかれるんですけどね(^^;)。


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霧が晴れると、
見事な青空が広がった。


 午前10時頃、朝霧は晴れて、見事な青空が広がりました。
 日本と比べると、少し水色が強い感じのその空が広がると、太陽の放射熱が容赦なく降り注いできます。

 夜はガツンと冷え込むのに、昼は逆にグンと体感温度が上がる。
 太陽の有無でここまで温度が変わるのは、カラッと乾燥した大気が影響しているのでしょう。
 とりあえず、滞在期間中、初夏頃に猛威を振るっていた猛烈な熱波が到来しなくて助かりました……。


19081838.jpg
見晴らしの良い丘陵地帯は、
時々、素晴らしい大展望を用意してくれている。


 で、これくらいの時間に、またまたランドヌール宮城のメンバーを追い越します。

 ……うん、仮眠している間に、もっと先まで進んでいるものだと思っていましたが……。
 まあ、まだまだ時間に余裕があるので、ゆっくり楽しんでいるのかな?

 そしてこの後、ルデアック近くまで、ランドヌール宮城のメンバーとは、抜きつ抜かれつ、の関係で走ることになるのでした。

 さて、そろそろPCを出てから2時間。
 がっつりとした食事をとってからは数時間が経過し、腹具合が少々、心配になってきました。
 フジェールへの到着は昼過ぎになるでしょうから、可能であれば、今のうちにどこかで補給を入れておいたほうが良いのでしょうが……。

 と考えていたら、またも見覚えのある町に出ました。


19081839.jpg
川沿いの町、アンブリエール・レ・ヴァレー。
前回もこの町の橋のたもとのバーで、
休憩をとった。


 川沿いに広がる綺麗な町、アンブリエール・レ・ヴァレーでは、4年前にも川沿いのバーでドリンク&アイス休憩を入れたのを思い出しました。
 通りすがりに同じバーを見てみると、たくさんの参加者が集まっているのが見えます。

 それならば、と、私も立ち寄って食事ができないか、見てみることにしました。


19081840.jpg
そしてパスタプレートと
コーラ(大)でブランチ。
これで確か7.50ユーロ。


 この山盛りのマカロニの下には、チキンの足が一本、埋もれています。
 これはうまそうだ、と、思い出に残る美しい町の風景を見ながら、オープンテラスのテーブルでパクッと一口……。

 味がない(笑)。

 このパスタプレート、PCの食事の紹介で「茹ですぎて味が抜けたマカロニ」という評価を受けるアレとほぼ同じメニューなのですが、やはり味がなかったです(笑)。
 いや、もしかしたらアレって、大量に作り置かれているから味が抜けているのではなくて、フランスの標準的な(家庭料理としての)味が、薄味なんじゃないか、と思えてきましたよ(^^;)。

 ジャージのポケットに忍ばせてあった、日本から持ってきたペッパーソルトを取り出してパッパとふりかけると、うん、これだよ、この味だ、という感じになりました。
 が、これ、日本人が塩分とりすぎなのか、フランスの味付けが淡白過ぎるのか、どっちなのでしょうかね?(^^;)

 しかし、空腹は何物にも勝るスパイスです。
 ちょっと味を足したものの、あとは一気に食が進んで、10分も経たないうちに平らげてしまいました。
 食後の皿をカウンターに下げに行くときに、「C’est bon!」と告げると、店のご主人がめちゃくちゃ良い笑顔で「Merci beaucoup.」と返してくれました。
 (塩味がもっとあるほうが日本人好みだぞ、とは言えない雰囲気……。ま、そんな語学力もないし、まあいいか ^^;)

 そういえば、この川沿いには釣りをしている人も多く、何か魚がいるのかと思って川面を見下ろしたら、巨大なナマズがぬぼ~っと浮き上がってきて、また水底に沈んでいくのが見えました。
 多分、欧州にいるオオナマズの仲間だと思いますが、それにしてもデカかったな……(メートル級のサイズじゃないかと思ったくらい)。

 さて、それでは再び先を急ぐことにします。

 この辺りから、PBP名物の「行き倒れ」が道路の左右に見られるようになってきました。
 渡航疲れで調整が不十分だったり、スタートから一晩中、休まず走り続けたりした皆様の、疲労がピークになるくらいの時間帯です。
 日が高くなり、気温が高くなってきているので、睡魔も一気に出てきているのでしょう。


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再び丘陵地の道になり、
今度は牧畜が盛んな地域になったようだ。


 道路の両脇に、牛や馬がのんびりと草を食む姿が目立つようになりました。

 そういえばフランス滞在中、どの場所でも、チーズ、バター、ハムがめちゃくちゃに美味で、それだけを永遠に食べられそうにも感じるくらいだったのですが、それも納得できる風景です。
 牛も馬も、すぐ近くの道路を多数のサイクリストや自動車が通過するのを全く気にもとめず、草の上にごろりと横になっている奴までいたりします。
 あれだけリラックスした姿を見せるくらい、のびのびと育てられているなら、乳も肉も美味しくなるでしょう。

 そんな風景を見ながら走っているわけですが……少しずつ、違和感が出てきました。
 なんというか、思ったよりもペースが上がっていません。
 サイコンの速度数値、昨夜は25km/hが普通だったのに、今は20~23km/h程度です。

 いや、それでもブルベペース以上は出ていますし、日本と違って信号停車がない(交差点はほとんどがラウンドアバウト構造だった)ので、走行速度=時間移動距離になるので、どんどん貯金蓄積中の状態ではあるのですが……。


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そして、この木の枝の動きでわかった。
向かい風だよ。
それも結構強い。


 過去、PBPでは暑さ寒さ、雨、などの天候の影響については、いろいろと対策含めて語られることが多かったですが、ほぼノーマークだったのが「風」についてでした。
 2015年の走行中も、風の影響を感じた覚えは全くありませんし、過去の参加者のレポートを見ても、実際に話を聞いても、風は特に気にならなかった、という感想がほとんどでした。

 しかし、今回はノーマークだった「風」が、見事に牙を剥いてくれました。
 ペース配分を見ると、恐らくヴィレンヌ・ラ・ジュエルを出た段階で、すでにこの風の影響は出始めていたようです。
 今の所、それほど大きな影響は出ていませんが……じわじわと、貯金を作りづらくなってきているのは確かだな……。


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このあたりの沿道で見た標識。
子供の飛び出し注意、的な感じか?

19081844.jpg
ちなみに、女の子バージョン。
こちらは「学校あり」的な感じ。
(これはタンテニアック近くで確認)


 男の子バージョンはともかく、女の子バージョンは、なんだか日本のアニメ絵の影響を受けているような絵柄になっていますね(^^;)。

 どうでもいい余談ですが、フランスでも漫画、アニメは子供たちに人気のコンテンツのようで、朝一番にテレビをつけると、かなりの局でアニメが放映されていました。
 ですが、海外のアニメは、大体がCGアニメ(トイ・ストーリーやモンスターズ・インクのような感じ)になっており、日本的なセル画の雰囲気を残すものは少なくなっているみたいですね。
 (少なくとも、今回滞在中にチャンネルをポチポチ回していて気付いた限りでは)

 まあ、日本のアニメも、近年はCG化が進んでいるらしいですけれどね。


19081845.jpg
そんなことを言っている間に、
フジェール市内に入った。
自転車レーンがあるので、
それに沿って走る。


 フジェールの市街地は城塞都市らしく、道路が不規則に曲がり、また、アップダウンが非常に多くあります。
 また、久しぶりに信号機の姿を見かけるようになりましたが……。

 大通りの交差点はともかく、ちょっとした路地の信号交差点をちゃんと守って止まる参加者って、かなり偏りがあった気が(^^;)。
 日本人、ドイツ人はビタッと止まっていましたが、アメリカとかフランスとか、横から車が来ていなければ、さっさと先に進んでしまう国の皆様も……(ゴー・ジャポン、とか声がかかりましたが……フランスよ、それでええんか?)。

 あと、自転車レーンの有無にかかわらず、お構いなしに道路いっぱいに広がって走る国があったり、青になるかどうかという瞬間に背後から「Go!」と声がかかることもあったりして、このあたりの多国籍感、なんとも言えなかったですね(^^;)。
 まあ、私は特にそれで間違っていなさそうだったので、日本人の価値観で行動しましたが(笑)。


19081846.jpg
PC2、フジェール
(19日、13:17チェック)


 向かい風に押し戻されながらの走行でしたが、貯金を2時間に伸ばせました。延々、アップダウンが続くものの、あちこちに信号停止がないだけで、これだけ快適に走ることができるとは。
 関東地方のブルベで、終盤に人口密集地に差し掛かるときの「信号峠」の凶悪さ、世界の皆様にも味わってもらいたくなってきました。

 いや、犠牲者を増やすな、という声が聞こえたが気がしますけれど……。

 ここから先は、PC間の距離が短くなります。
 タンテニアックまで約55km、そしてその先、タンテニアック~ルデアック間が約85km。

 なお、タンテニアック~ルデアック間には、WP2のケディアックがあり、食事などができるようになっています。

 そして私は、そこが往路か復路か、どちらかのシークレットになると予測していましたが……。

2.Fougeres ~ Tinteniac
 フジェールは、PCとしての規模も大きく、コントロールの建物からレストランまでは、歩くとそこそこの距離になるので、自転車で移動したほうがよさそうです。
 とはいえ、私はまだ途中でとった食事が腹に残っていたので、ここでは水だけ補給して、すぐに出ることにしていましたが。

 ちなみに、PCのエリア内に入ってすぐ右に駐輪場がありましたが、そこはレストラン用で、コントロール(トラックセンサー検知)を通過するには、エリアの一番奥まで進まないといけない構造になっていました。
 手前の駐輪場に入ろうとした参加者は、コントロールは奥だ、もっと先に進め、と、道案内のボランティアの方に案内されていましたね。

 ここのバーカウンターに進む手前に、ジェル補給食の販売スペースがあったので、シトラス味、ベリー味、ポメ味を一本ずつ購入。
 ちなみに、置いてあった商品はこちらのメーカー製品でした。

 OVERSTIM•s:https://www.overstims.com/

 ポメ味ってなんだと思ったら、青リンゴ味でした。
 そういえば、フランス語でリンゴは「pomme」でしたっけ。

 また、水が尽きていたので、バーカウンターで「アクア、オゥ(eau)」と言って出てきた1Lのボトルを購入。
 バイクのところに戻って、保冷ボトルに麦茶パウダーを入れてから水を注ぐと……。
 シュワシュワと良い感じで泡立ってきまして……。

 炭酸水かよっ!


19081847.jpg
これが問題の炭酸水。
おいまて、普通の水はどうした!(笑)


 いやあ、思った通りの意思疎通ができないという、海外ならではのハプニング!
 この時出来上がった「炭酸麦茶」は、悪食傾向の強い私の舌でも、かなり「壊滅的」なレベルの味覚となったのでした(笑)。
 ほんと、一人でゲラゲラ笑ってしまったくらい!

 しかしまあ、こういう事があってこそ、旅は楽しくなるものです。
 走行レポートを残すときにも、ものすごくおいしいネタになってくれますしね!

 とりあえず、捨てるのも勿体無いので、これはいち早くタンテニアックまでたどり着いて、詰め替えろ、という神のお告げに違いない、と信じ、出発することにします。

 フジェール~タンテニアック間は約55km。
 順調に進めば、2時間半程度で到着できるでしょう。


19081848.jpg
フジェールのPCを出発。
市街地を登って下って、
フジェール城の前を勢いよく降って、
また登って……。


 中世の建造物として、その姿を非常に良好な状態で残すフジェール城は、下り坂の途中だったので往路はスルーです。

 ちなみに、ランブイエ城は、どちらかといえば貴族の邸宅的な雰囲気でしたが、フジェール城は、どこからどう見ても「城塞」
 高い城壁とそれを取り巻く堀、そして、その内側に守られた、急斜面に貼り付くような旧市街地、という、本気で「戦争に備えた作りの城」でした。

 う~ん、ここもいずれ、じっくり時間をかけて観光に来たいなあ……。


19081849.jpg
城塞都市だけあって、
フジェール周辺は坂だらけ。
どの方向からも必ず一回以上、
丘陵を超えないと町に近づけない。

19081850.jpg
ブレスト方向の道案内表示。
たまにこんな風に、
発見難易度高めな表示もあった。

19081851.jpg
そしてまた幾つかの町を抜け……

19081852.jpg
広大な牧草地に突入。


 幾つか、衛星都市らしい小さな街を抜けると、またまた農地・牧草地内の終わりなきアップダウン地帯になりました。
 ときに牛や馬が平和に過ごす姿を横目に。
 ときに刈り取りの終わった麦畑と、青々とした葉を茂らせたトウモロコシ畑(多分、飼料用)の間を縫って、道はどんどん続いていきます。


19081853.jpg
町と町の間は、
だいたいこんな道が続く。

19081854.jpg
途中、灌漑用?らしい
ため池の脇を通った。

19081855.jpg
そして、タンテニアックの町が見えてきた。


 体感時間でもそれほどの時間をかけないうちに、タンテニアックの町が見えてきました。


19081856.jpg
PC3、タンテニアック
(19日、16:33チェック)


 この区間は、前回もそうでしたが、最も軽快な気分で走れた区間になったと思います。
 とはいえ、相変わらずの向かい風のため、実際には思ったほど貯金を作れたわけではありません。
 体感的には、すごく楽に走っていたのですが……。

 とにかく、これで走行距離は、だいたい1/4が終了。
 次は26km先のWP2、ケディアックですが、ここはシークレットではなかったら、パスでもいいかな?

 約85km先のルデアックは、ツアーでお願いしているドロップバッグのポイントで、ブレスト方面への攻略のための補給基地になります。
 前回はそこに、クローズを過ぎてやっと到着する、という体たらくでしたが……さて、今回はどうなるでしょうか。

 とりあえず、さすがに今朝のブランチから6時間以上経っているので、ここで一旦、大きく補給を入れた上で、次に進むことにしましょう。

3.Tinteniac ~ Quedillac ~ Ludeac
 Web上などにある2011年、2015年のPBPの記録をいろいろ読み漁ると、タンテニアックからルデアックの85km区間は、多くの皆様にとって試練の区間になる事が多い、「魔の区間」になるようです。
 ここまでは順調に進んできたのに、急に胃腸が悪くなったり、集中が切れてペースが乱れたり、突然、致命的なメカトラが発生したり……。

 そろそろ、走行開始からの時間が24時間に到達し、途中で仮眠などを行っていない参加者の疲労が限界に達すること、などがその要因かもしれません。
 この、「魔の区間」を前に、しっかり補給してから出発しよう、と思ったのですが……。


19081857.jpg
タンテニアックでの食事。
……う~ん。
いや、まあ、なんというか、
う~~~ん…………。


 日本とは違うのだ、という意識で評価するとしても……ここでの食事は、私の舌には合いませんでした……。
 久しぶりに、空腹なのに食が喉を通らない、という体験をしましたよ(^^;)。

 この時、選んだのは、野菜とマカロニのサラダ、トマトとコーンの入ったライス、ポークチョップ、だったのですが……。

 サラダとライスは、とにかく酢の味しかしない。
 酸っぱいご飯、それは日本人にとっては、悪くなり始めの飯を連想させるものであって……。
 そしてポークチョップは、木片か?というほど乾いて硬くてカチカチで、同年代の人にわかるように書くと、「豚肉味のマグロセロ」を食べている気分です。

 食べようと思っても、手が止まる……でも、食わないと力にならないからな……。

 というわけで、食事で疲れたのは久しぶりの経験でした(^^;)。

 まあ、水はレストランのウォーターサーバから、冷たい水を詰め放題だったので、良しとしましょう。

 ちなみに、ここまで走ってきている間に、私設エイドでの補給含め、硬水も軟水もごちゃまぜになっていますが、なんだかもう、硬水だろうがなんだろうが、気にならなくなっていました。
 それくらい、体が常時乾いていたのでしょう。

 日本では、どんなにさびれた場所でも自販機があったりして、自分の好みのドリンクをいつでも入手できますが、フランスにはそんな便利な機械、大都市の非常に限られた区画内にしかありません。
 とにかく、その場で手に入るものをグビグビ飲んで渇きを癒さないとやってられませんでしたので、体ももう、硬水だからと拒否するのを諦めた様子でした。


19081858.jpg
駐輪場に出てきたら、
民族音楽に合わせて踊る皆様がいた。
参加者を盛り上げる演出だろうか?


 このタンテニアックでも、参加者を盛り上げるためか、インタビューやDJの放送がガンガンかかっていたかと思ったら、アコーディオンによる民族音楽の演奏に合わせて、ボランティアスタッフや現地の観戦の皆様が踊り始めたり、と、賑やかな雰囲気に包まれていました。
 こういうところも含めて、PBPは大きなお祭りなんだと思います。

 出口では、「パリ? ブレスト?」という問いかけがきます。
 「ブレスト!」と答えて、ブレストの矢印方向に進みますが、もう先頭は折り返してきているのでしょうか?
 4年前は、タンテニアックを出て少し進んだところですれ違ったと思いますが……。


19081859.jpg
タンテニアックを出た先で遭遇。
白線に擬態した縁石。


 今回、渡仏したPBP参加者の、少なくない数の方が危険な思いをした「白線擬態型縁石」に、この辺りで出会いました。
 上の画像、右側にある駐車マスと車道を区切るライン、実は白線ではなく、路面から1~2cm程度の段差で設置された縁石だったりします。

 これ、特にナイトライド中にはただの白線に見えてしまい、ナチュラルに横から車体を寄せてしまう時があります。
 しかし、路面にプリントされた白線ではなく、ごく低いものであっても段差のある縁石なので、車輪を弾かれてバランスを崩したり、場合によっては落車に至ったり、という事態が何度かあったようでした。

 私も、ここでこの縁石(私の場合は、歩道との境界を示す縁石だった)に出会い、白線かと思って右にラインを寄せたら前輪を思い切り弾かれ、大きくバランスを崩してしまいました。
 幸い、強引に歩道に乗り上げ、なんとか転倒は免れましたが、大いに冷や汗をかいた出来事でした。

 やれやれ、こんなトラップがあるとはね……。

 この白線擬態型縁石の厄介なところは、最近、整備されたばかりの真新しい物ほど、擬態効果が高い上に、そういうきれいに整備された道では、それなりの高速で走っているため、弾かれた時の危険度も高い、ということです。
 4年後に渡仏する皆様、十分に注意してください。


19081860.jpg
とにかくそんな風に走っているうちに、
PBPのコース上のちょっとした名所が近づく。

19081861.jpg
コース上にある、メドレアックという町の教会。
タンテニアックを出て20km付近。


 ちょっとした名所、といっても、恐らくは、特定のジャンルの日本人限定で、になりますが……(^^;)。

 こちらの教会、ブルベ等の自転車ロングライドを題材にした漫画、アニメ作品、「ろんぐらいだぁす!」の中で、PBPを紹介するシーン内で、コース風景のモチーフにされている教会です。
 なお、漫画の方は現在は出版社を移り、「ろんぐらいだぁすとーりーず!」として連載中。
 気になる方は、チェックしてみましょう。

 ちなみに、この教会、4年前の2015年のPBPでも、国内外を問わず、多くの参加者がコースの風景として撮影してSNS等に上げていましたが……。

 その理由、今回走ってみて、なんとなくわかりました。
 この教会、タンテニアックを出てここに至るまでの町や集落にある教会の中では、際立って大きくて威厳があるのですよね。
 ずいぶん遠くから、この巨大で高い尖塔が見え始め、近づいていくと見上げるほど巨大な教会の建物が待っているという。

 そりゃ、カメラを向けてしまいますよ……(ちなみに、私は2015年にも、無意識のうちに撮っていた)。

 ここで一旦停車して教会を撮影中に、ぜっとさん、momさんが通過。
 モルターニュ・オ・ペルシュ前のバーでお会いした後、ずいぶんお久しぶりでしたが、順調に進んでいるようでした。

 そして、メドレアックを過ぎたら、本当にすぐ先がWP2のケディアックでした。

 往路か復路のどちらかで、今回のシークレットになっている……と予測していましたが、目の前で参加者がボランティアに何か尋ねて、そのまま通過……。
 あれ、往路はシークレットではないのか?

 そう思って素通りしようとしましたが、炭火でソーセージを焼く、物凄い良いにおいが周囲に漂っており……抗えませんでした……。
 タンテニアックで苦行と紙一重の食事を経験していた私は、ここで焼きたてのソーセージを包んだガレットをガツガツと頰張ることになったのでした。

 ちなみに、ケディアックの食事は、(私の舌基準で)とにかく美味いです。
 仮眠所も、かなり快適な環境であったらしいですから、ルデアックやタンテニアックの混雑を避けてゆっくりしたい、という皆様は、ここを利用するのが正解かもしれません。

 ここで休憩中に、ひであさん、仙台から参加のしんぽんさんにお会いできたのでご挨拶。
 余計な停車になったかと思いましたが、こうして知り合いの皆様と言葉を交わせたのは良かったかもしれません。

 というか、もう一つ、止まって正解だった、と思わされた出来事が発生しまして……。


19081862.jpg
ケディアック上空、
急速に広がった雨雲。
19日19:45頃。


 この急速に広がった雨雲が、数分後に猛烈な雨を降らせました。
 日本でいうなら、夕立が来た、という感じです。

 これから気温が下がる時間帯に、前が霞むほどの大雨。
 もしここをスルーして走っていたら、まともに雨に降られて、ジャージをびしょ濡れにしてしまったかもしれません。

 とにかく、急いで全身レイン装備に換装し、リスタート。
 ケディアックを出てすぐのところで、公式の写真撮影がありましたが、この時の私の姿は、全身、モンベルのレインスーツ&シューズカバー。
 フロントバッグも、モンベルロゴ入りのレインカバー装備、という、モンベルさんの宣材にそのまま使えるんじゃないか、というレベルの「モンベおぢさん」でした(笑)。

 いや、しかし、本気で良い宣伝かもですね。
 「PBPの1,200kmを走るライダーを守るギア」なんて、最高のデモンストレーションでしょうから。

 ま、ちょっと難ありなのが、モデルのおっさんが、ホントに典型的な日本人体型のオッサンなので、超絶、写真映えしない……(爆笑)。
 あと、もう一つ、難があるとすれば、両手が青テムレス……(どこから見ても、作業手袋!)。


19081863.jpg
雨は30分ほど猛烈に叩きつけ、
そしていきなり上がった。

19081864.jpg
そして日が西に傾いてきた。


 猛烈な勢いで叩きつけてきた雨は、30分ほどで上がり、また空には晴れ間が見え始めました。
 もっとも、完全に上がったわけではなく、その後、数分おきくらいにパラパラと、残滓が空から落ちてくる時間が結構、長く続いたのですが。

 とにかく、ケディアックからルデアックまでは、約60km。
 順調に進めば、3時間ほどで到着できそうです。

 そして、日は大きく西に傾き、二度目の夜を迎えようとしていました。
 タンテニアックを過ぎ、すでに道はブルターニュ地方に入っています。

 そして、ブルターニュの夜は、イル・ド・フランスよりさらに数段、厳しく冷え込みます。
 レイン装備はそのまま、防寒装備として着用したままとなりました。


19081865.jpg
この教会も見覚えがある。
4年前はこの教会の前で、
睡魔に負けて行き倒れていた。

そして、ブルターニュの夜の寒さの中では、
休憩も大した休憩にならなかったのだった。


 日が落ちるのと同時に、周囲は急に冷え込んだように感じられます。
 やはり、タンテニアックから西の冷え込みは厳しい。
 (今回も、当たり前のように気温は一桁に落ちていたそうだ)

 早くルデアックに到着し、暖かい屋内で体を休めることを考えたほうがよさそうです。
 が、相変わらずの向かい風。
 今朝、ヴィレンヌを出発した頃ならともかく、疲労が体に重くのしかかってくる今になると、しっかりと減速要因として効いてきます。


19081866.jpg
22時、日没を過ぎ、
空の大部分が藍色に沈んだ。


 もっと速く走りたい、さっさとPCにたどり着きたい。
 しかし、しつこく押し返してくる風と、ぐいぐいと冷え込んで行き、体温を奪おうと全身にまとわりつく冷気……。

 覚悟はしていましたし、これと同じ状況は、5月の奥の細道1000でも体験済みです。
 だからと言って、軽くなってくれるわけではない。

 とにかく、一分一秒でも速く到着する。
 それだけを考えて、4年前には方向を誤認して、一足どころか何百足も早くパリへの折り返しに入ったラウンドアバウトを正しく通過し、到達しました。


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PC4、ルデアック
(19日、22:55チェック)

 
 4年前は、クローズを1時間過ぎて、這々の体でたどりついたこの場所に、2時間半ほどの貯金で到着。
 本当はもう1時間ほど、貯金が欲しかったところですが、ここまでずっと向かい風の中を走ってきて、最後は疲労から風の影響をまともに受けるようになったので、仕方がないでしょう。

 それにしても、今までノーマークだった「風」が、見事に猛威を振るってくれましたね……今回は……。
 この向かい風の影響で仮眠時間が削られ、十分に休めずにDNFになった、という皆様も、結構な数になるようです。

 さて、コントロールでチェックも受けたので、さっさとレスト&リカバリータイムとしましょう。

 ドロップバッグポイントは、4年前と同じ、仮眠所入口付近の屋根の下のようです。
 以前は国旗を目印に探しましたが、今回は見慣れた青いバッグが、大量にドカッと積み上がっているので、間違いようがありません(^^;)。

 自転車を降りて、運動をやめた今、冷気がジワジワとレインスーツの内側まで冷やそうと染み込んできます。
 幸い、周囲は乾燥しているため、速乾性素材のジャージやインナーからは、ゴアテックスを通してどんどん水分が抜けて行っています。

 汗冷えは、それほど心配しなくても良さそうですので……さっさとシャワーを浴びて、寝ますかね。

 今日の走行ペースから1時間借金程度は許容できる、と判断し、2:15まで寝ることにして、装備転換等の作業に入りました。

(続く)



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Author:YO-TA
2018年1月に、東北勤務から再び東京に転勤となりました。
相変わらず、デジカメ片手に、サイクリングやハイキングを楽しんでいます。
突然、突拍子もないことをやらかしますが、それはまあ、ご愛嬌という事で…。

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