日々是遊歩。見て、聞いて、感じて、それを殴り書き。

11月≪ 2018年12月 ≫01月

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

1/71の旅日記 2018 Clover Hokkaido 1200参加記録  Part.3

 このCH1200レポートのPart.1で、イタラタラキ駅逓所について触れたところ、ランドヌール札幌代表様より、「やはり食いつきましたね?」と言われてしまいました(^^;)。
 なんと、CH1200のコースを固める段階、つまりは昨年段階の試走中、駅逓所跡の標識を見た時に、私が走ったら食いつくだろうなあ、と思っていらっしゃったとのことで……(笑)。

 う〜ん、なんとも正確に予測されてしまった(^^;)。

 ちなみに、あわせて私が興味を持ちそうなコース紹介を頂いてしまったので、また北海道に走りに行きたくなってしまっているのですが……(これがホントに楽しそうなコースだったりするのですよ ^^;)。
 さすがに1年に何度も渡航費を出せない上に、来年に、と考えても、来年はPBP開催年なので、それに参加するかどうかはともかく、遠征費を温存しておきたいという考えもあったりするわけで……。

 う〜ん、これは悩ましいぞ(^^;)。

 では本題です。
 CH1200レポートのPart.3をお送りします。

 随分と楽しく走れたDay1の日程は終わり、音更ベースへと戻りました。
 ここからは、PC3のクローズとともに行動を開始し、Day2のコースを走行する予定でいます。

 Day2を走破すれば、走行距離は600kmになり、制限時間が緩和されます。
 とにかく、コース攻略のためには、このDay2をできるだけ早く走破し、Day3に向けてできるだけ長く、インターバルを確保する必要がありますが……。

 さあ、その前に、Day1終わりのインターバルを有意義に過ごすことができるのか。
 そして、相変わらずの雨予報のDay2を、どうやって走るのか。

 興味のある皆様は、以下のRead moreをクリックしてください。

1.休息そして再開
 Day1が終わって実感したことは、「雨ブルベって、こんなにきつかったっけ?」の一言でした。
 しばらく、参加したのは晴天のブルベばかりだったので、雨で薄暗くて視界が悪く、路面状況が水たまりで隠され、とにかく緊張を強いられる時間が長かったため、普通の300kmブルベの1.5倍以上、疲れた気がしました。

 PC3のチェックを終わらせ、部屋に戻ってまずやったことは、雨と汗でグチャグチャの装備を脱ぎ捨てて、シャワールームに飛び込む事でした。
 全身が火照っているような気分だったため、ぬる目の湯を体に浴びせ……

 痛ぇッ!!

 反射的に、シャワーを体から外し、皮膚に刺すような痛みが走った、肩から首の後ろあたりを触ってみます。
 皮膚の表面が、熱を持っているように熱く、手ですくったぬるま湯をゆっくりかけてみると、皮膚表面がピリピリするように痛みます。

 これは……もう、長年の付き合いなので、すぐにピンときました。

 私はアトピー性皮膚炎持ちの体質で、長時間、何かが体に接触していたり、擦れたりすると、表皮に炎症が発生しやすい体質です。
 そして、雨で濡れたウェアやレーパンのパッドは、普段の晴天時よりも攻撃性が増して、股擦れなどが起きやすくなるのは、ブルベを走った事のある皆様ならば、何度か経験している事でしょう。

 毎回、雨ブルベのあとは、大なり小なり、ウェア擦れで全身が真っ赤になり、数日、ステロイド軟膏のお世話になる体質である事を、最悪のタイミングで思い出す事となりました。

 見える範囲でチェックしてみたら、両肩のビブショーツの紐が当たる部分をはじめ、脇腹、下腹など、ウェアが強く当たる部分が赤く腫れ上がっており、首の後ろ~両肩の肩甲骨あたりは、水をかけてチリチリ痛む感じから、皮が擦り切れてしまっているようです。
 ついでに、レーパンのパッドが当たる部分は、特にパッドの外周に沿った縫い目のラインがミミズ腫れのように盛り上がって腫れており、水気を拭き取り、表面が乾くと、猛烈な痒みが襲ってきました。

 これは参った。まだ、雨予報が二日続くのに。

 悪い事に、Day1の走行中に着用していたアンダーウェアは、今年から使い始めた製品で、雨天時のライドなどは未経験でした。
 晴天時のドライ性能は桁外れに素晴らしいため、北海道用装備として採用していましたが、雨天時の特性を未テストで投入したのは失敗だったか……。

 チクチクする痛みに耐えつつ、シャワーを浴び、体の水気を吸い取ると、タオルがうっすらとピンクに染まります。
 どうやら、見えない範囲でも、かなりの部分が擦り切れて微妙に出血しているようです。

 特に酷い炎症になっている部分にステロイド軟膏を塗りこみ、その他の部分には保湿剤を多めに塗りこんでおきます。
 Day2からは、念のために持ってきていた、2016年の北海道1200でも使用した、しなやか目のアンダーに換装する事にします。
 もはや、手遅れかもしれませんが、何もしないよりマシでしょう、

 装備のバッテリー交換などを終わらせると、時間は0時過ぎ。
 あとはもう明日、起きてからにしよう、と、炎症からの出血でベッドを汚さないよう、バスタオルを敷いてから横になります。

 意識があったのは、10分くらいでしょうか。
 チクチクする背中の痛みが、ステロイド軟膏のおかげで一時的にとはいえ、引いてくれたのが助かりました……。

 ……と、ここまで、レポート執筆のために行動記録を見直していて、ここで私は、致命的な失敗をしていた事に気づかされます。

 私はこの日、仮眠の前に食事をしていませんでした。
 空腹のまま、仮眠したところで、体のコンディションは栄養不足のままであり、十分な休養を取ったことになりません。
 前回の北海道1200では、仮眠時間が削られる事は覚悟の上で、たっぷり食事をしてから仮眠していたのに対し、今回はそれを怠っていました。

 一体、何故こんな初歩的なミスをやらかしたのやら……。

 雨天ライドで普段より集中を強いられて消耗していた上に、走行中に想定外に強い睡魔に捕まってペースを乱され、宿に戻れば想定外のアトピーの炎症発生があり、冷静な判断ができなくなっていたのでしょうか。
 とにかく、この夜は倒れるように寝てしまった事は確かです。

 16日の2時30分頃。
 部屋の外がさわさわと賑やかになり、その音で目が覚めました。
 PC3( Day1ゴール)のクローズである、3時ちょうどくらいに行動を開始する参加者がほとんどのようです。

 起き上がって、ベッドに座る姿勢になりましたが、頭がグラっと揺れて、そのまま枕とは反対側に倒れ込みそうになります。
 疲れが残っているのか、と考えかけて、2時間半寝ている、よく寝た、と思い直して立ち上がります。

 カーテンを開いてまだ真っ暗な外を見ると、雨がしとしとと降り続いています。
 どうやら、天気は残酷なまでに予報通りになっているようです。

 仮眠に入る前に、この日の行動着に着替えていたので、そのまま食堂に行き、行動前の食事をとります。
 途中、フロントのホワイトボードに張り出されていた、参加者の出発時間リストを見ると、この段階でのDNFは1名のみ。

 おいおい、あの雨ブルベの中で、まだ一人しかDNFしていないとか、どんだけ頑丈なんだよ、皆様(^^;)。

 さすが、国内のランドヌールの中でも、選りすぐりの精鋭とも言えるメンバーだけあります。
 この程度の雨でDNFを選ぶ人は少なかったようです。

 というか、Day2の出発時間(数時間前)を見ると、昨夜から既にDay2のコースを走っている人達もいるというね……。

 自分の準備だ、と思い直し、食堂で出発前の食事をする事にします。
 初日の夜~未明の食事提供は、カレーでした。物凄く美味しく感じられて、あっという間に2杯を平らげてしまいます。

 野菜ジュースも美味しくて、大カップに3杯ほど、グビグビ煽ってしまいましたが、今思えば、私の体は水分とともに、ビタミンやミネラルが不足していたのでしょう。
 寝る前に食事を摂っていれば、この辺りの体内のミネラル調整などは、寝ている間に終わっていたはずですが、私の体はこの時、ガス欠状態だったに違いありません。

 ただし、自分自身は、「これだけ食えるなら、今日も大丈夫だな」と、安心していたのですから、妙な気分です。

 食事を終えて一旦、部屋に戻り、アームカバーとレッグカバーを装着、レインスーツに袖を通します。
 レインスーツは、昨日の雨がまだ十分に乾いておらず、冷え切って冷たい感覚が全身に広がりました。

 宿の出口で、まだ乾いていないシューズを履くと、一瞬でソックスが水浸しになったように冷たくなりました。
 この日のスタートコンディションは、残念ながら良いとは言えない状態です。

 ただ、周囲で準備中の参加者も大体、似たり寄ったりの状況で、シューズに足を突っ込む時、「うわ、冷てぇ~」という声が上がったりしていました。

 フロントにはぜっとさんがいらっしゃったので、軽く朝の挨拶を交わして、駐輪スペースへ移動します。

 一歩外に出てすぐに感じたのは、寒さでした。

 この日のアメダス帯広観測所における、午前3時の気温は16.1℃。
 東京で毎日、30℃越えの猛暑の中にいた(夜も25°C越えが当たり前だった)体には、十分すぎるくらいの低温です。

 また、雨は全く止む気配がありません。
 今日は最初から、フルレイン装備で出発する事にします。

 車から、耐久性重視で選んだチェーン用のオイル、ナスカルブのスプレーを取り出して注油。
 本当は、水置換オイルを吹いて、そのオイルが馴染んだ後にチェーン全体を脱脂して吹き付けたいところですが、そんな贅沢は言っていられません。

 出発準備が整ったのは、3:15頃。
 3時出発予定からは15分遅れですが、これくらいの遅れならば、最初の平坦地で取り戻せるでしょう。

 今日、Day2のコースは、狩勝峠、樹海峠を越えて、富良野から美瑛へと、丘陵地を抜けて進み、再び樹海峠、狩勝峠を越えて戻ってくる約300kmです。
 天候の事もあり、Day1よりもずっと厳しい条件になりそうです。

 しかし、今日を乗り切れば、走行距離は600kmを越え、制限時間が緩和されます。
 想定通りとは行かずとも、それほど遅れずに走る事ができれば、少し長く睡眠時間などを取れるはずです。

 今日もまた、暖かいベッドに潜り込む事を目標に、冷たい雨の中に走り出す事にしましょう。

2.未明の平坦地を進む
 予定より少々遅れましたが、取り戻せるくらいの遅れですので、とにかく前に進む事にします。

 音更ベースを出発し、今日は西へと進路を転じます。
 しばらく、ずっとまっすぐに十勝平野を西へと進むわけですが、暗くて変化が乏しく、出だしからかなりしんどい道になりました。


18081566.jpg
日の出が近づき、
空が藍色に染まり始めた。
(16日、4:08)


 平坦だと思っていた朝一番の新得への道ですが、どうやら微妙な登り坂のようで、昨日の更別方向への道のようには進めません。
 それでも、23〜25km/hは出せるので、まあ、想定の20km/h以上ペースは保てそうでした。

 途中、信号待ち中に後方から「オハヨーゴザイマス」と、英語圏特有のイントネーションで話しかけられたので、「おはようございます、Good morning!」と返事をすると、笑顔で「Morning!」と返されました。

 この時は気づいていませんでしたが、記憶にあるフレーム&キャリアの形から、アメリカから参加のエリックさんだったようでした。
 その後、すぐにエリックさんは私を追い越して先に進んでいき、やがてテールランプも視界から消えてしまいました。

 う~ん、羨ましいくらいの走力だな……。
 私から、何分遅れで出発したんだろう、と考えたところで、ふと思い出しました。

 私、ホワイトボードに出発時間を書き込まずに出てきちゃったよ……。
 慌てて歩道上に車体を止めて、最悪、チコリンさんが気付いてくれるかな、と思いつつ、「3:15に、既にスタート済みです」とツイートを流しておきました(これが3:53頃)。

 しばらく後でチェックしたら、ぜっとさんから、「書いておきます」というリプライが来ていました。
 すみません、お手数、おかけしました……って、あれ?この時、まだスタートにいらっしゃったの?(^^;)

 まあとりあえず、スタート時間申告で失敗やらかしましたが、戻るのも何なので、コースを進み続けます。
 この十勝平野の道ですが、まだ暗い上にまっすぐで変化が無いためなのか何なのか、行き合う車の中に、かなり乱暴な運転をするドライバーが混じっていました。

 こちらの進行方向の信号が青なのに、こちらが自転車と見るや急加速して信号無視し、こちらの眼前ギリギリで交差点を突っ切って行った車が一台。
 こっちの直進通過を待たずに、クラクションを鳴らしながら右折で突っ込んできた車が一台。

 よく事故らなかったものだと、我ながら不思議に思います(ナンバー、撮影して控えておけばよかったか??)。


18081567.jpg
清水町方面へと十勝川を渡る。
雨の影響なのか、
増水して濁流になっていた。
(16日、4:25)


 清水町を過ぎると、やがて肉眼だけでも十分、明るさを感じるくらいの時間になってきました。
 雨は相変わらず降り続いています。というか、山に近付くにつれて、雨脚は強くなる一方に感じられるのですが。
 気温の低さも相変わらずで、行き合う参加者の中には、寒い、と、体がガタガタ震えている人もいます。

 清水町方面に向かっている途中で、逆方向に進んで行く参加者が1名。
 「大丈夫ですか?」と声をかけると、軽く首を振って応えた?ように見えました。
 もっと手前で引き返しているなら、忘れ物を取りに戻ったのかと考えるところですが、この時間にこの位置からだと、PC4(美瑛)への到着が厳しくなりそうですが……。

 清水町で国道38号、通称十勝国道を狩勝峠へと北上するようにコースは進みます。
 清水町のセイコーマートは商品搬入中で、まだ開いていませんでした。
 開店は6:30。現在の時間は5:30頃。

 さすがに1時間も停滞できないので、この先にあるセブンイレブン(24時間営業)で、狩勝峠前の補給をしておくことにします。

 皆様、考えることは同じらしく、かなりの数の参加者がそこに停滞していました。


18081568.jpg
補給に寄ったコンビニの駐車場で。
雨はやまない。
いや、どんどん強くなっている。
(16日、5:37)


 先行して休憩していた参加者が数名、喫煙スペースのベンチで震えながらインスタントラーメンをすすっている姿があり、大丈夫かなあ、と、余計な心配をしてしまいます。
 中には、再スタートしていく時に、逆向きに走り始める人達がいらっしゃって……。

 「逆ですよー!」と声をかけようとしましたが……直前に正しい方向に何人かが出発して行っているのを一緒に見送っているので、さすがに間違えたとも思えません。
 もしかしたら、ここから引き返すことを選択したのかもしれませんので、余計な声がけはしない方が良いのか、と思い、黙ってその背中を見送りました。

 駐車場でカレー麺と、スポーツドリンクを補給&補充すると、胃の中が温まったからか、かなり気分的に楽になりました。
 ここまで使ってきたテムレスに手を入れると、浸水していたのか汗冷えか、非常に冷たい感覚だったので、追加で水作業用のゴム手袋を購入し、指切りグラブの上からさらに装着します。

 まあ、これで何とか狩勝峠は越えられるでしょう。

 透湿性皆無のゴム手袋は、走り始めて数分で汗が飽和し、手のひらに仕込んだチコリンパフがグチャグチャと不快な感覚を伝えてくるようになりました。

 新得町に入り、2016年の北海道1200で東から十勝国道に合流した交差点を過ぎます。
 あの時は、真夜中に土砂降りの雨を受けながら、既に行動時間が24時間に達しているという、かなり厳しい条件からの狩勝峠越えになっていましたが、今回は仮眠開けの朝一番です。

 あの時の自分とは違うのだよ!
 さあ、狩勝峠にリベンジと行きましょう!

3.土砂降りの狩勝峠越え
 新得町の市街地を越えると、徐々に道は登り勾配になっていきます。
 北海道らしい、緩やかな斜度で長い距離を登っていく道であり、2年前には真夜中の大雨を受けて、非常に消耗させられた場所でもあります。

 さあ、それでは、リベンジの峠越えの始まりです!


18081569.jpg
その前に、
睡魔が忍び込んだので、
屋根付きベンチで少し休憩。
(16日、6:27)


 うん、スパッとリベンジしたかったけれど、睡眠時間が2時間程度ですから、さすがにキツかった(^^;)。
 数分、腰を落ち着けたら、さっきのコンビニで飲んだホットコーヒーが効いてきたのか、睡魔は何とかおさまったので、再度、登坂を続けます。

 雨は、完全に土砂降りの様相を示し始めました。
 上から落ちてくる雫だけでなく、下から跳ね上がるしぶきも凄くて、既にシューズは完全に水没し、ガッポガッポと嫌な音を立てています。
 これ、あとで物凄い臭いを発するようになるんだろうな……。


18081570.jpg
狩勝峠名物の、合目表示。
(16日、6:46)

 
 狩勝峠の登りが本格化すると、見覚えのある「○合目」の標識が出始めました。
 前回登った時は、この数字がなかなか上がらない事にイライラしながら登った覚えがあります。
 というか、何合目か、の表示よりも、頂上までの距離を表示してほしい、と思うのは私だけでしょうか?

 ……まあ、距離表示があればあったで、鳥海山の鳥海ブルーラインのように、いつまでも残距離が減らない事に絶望しそうな気がしますが……。
 (鳥海ブルーラインは、1kmごとに残距離表示が出る。これが急登区間だと、絶望的に進まないので、心が折れるのである……)

 それにしても、これだけ酷い雨に加えて、霧も濃くなってきました。
 これでは、峠の頂上は真っ白な風景になりそうな気がします。

 こんな日に、こんな峠を自転車で走るなんて酔狂なことをやるのは、私たちくらいだろう……と思っていたら、反対車線側に設置されている歩道上、カーブの向こうから、カランカランと鈴の音が聞こえ始め、「???」な気分になりました。

 ……歩行者がいたよ……。

 え?マジで?何で?こんな時間の、峠道の国道を、上から降りてきた歩行者がいるの?
 しかも、普通のパーカーにジーパン、ビニール傘の軽装だよ?

 どうやら、この3合目付近にある公園施設の利用者?か、職員?の人らしく、あっけにとられている私に「こんにちは」と挨拶して、施設方面へと歩いて行きましたが……。

 人間、信じられない物を見ると、思考が停止するんですね(^^;)。
 狐に化かされた気分で、再度登坂を続ける事にします。


18081571.jpg
標高を上げるごとに、
霧が深くなってきた。
(16日、6:57)


 標高を上げていくほどに雨は強くなり、路面を雨水が波打って流れています。
 追い越していくトラックが、轍の中の水を跳ね上げ、真横から浴びたくないシャワーを浴びることがあったりもしました。

 Day1の野塚峠も雨の峠越えでしたが、今日の狩勝峠は気温も低く、厳しさはさらに上をいっているでしょう。
 ヘルメットから落ちる雫がレインスーツの中に伝って落ちると、背中がゾワッとなるくらいの冷たさでした。


18081572.jpg
途中で見た風景。
これ、前回の1200の直後、
大雨で崩れた場所では?
(16日、7:12)


 前回の北海道1200の開催から数ヶ月後、北海道は大雨の被害を受け、この狩勝峠も土砂崩れで通行止めになっていました。
 おそらく、ここがその現場なのでしょう。

 十勝国道、国道38号は、滝川市から釧路市までを繋ぐ、北海道の東西の動脈路線です。
 前回の1200でも、今回のCH1200でも、時間を問わずに大型トラックの通行量も多く、なるほど、重要路線だと思わされる状態になっていました。

 そんな路線ですから、復旧は急務だったと思いますが、さすがにまだ完全復旧までは至っていなかったようです。
 まあそれでも、こんな大雨の日でも普通に通れるくらいに復旧しているのですから、関係者の皆様は、良い仕事をなさっているようです。

 2年前の1200では、ガス欠で停止してしまった場所を、あ~、ここだったな~、と思いつつ通過。
 あの時は、停止場所から少し登ったら洞門の中に入り、それを出たら峠の頂上だったな、とこの先の道筋を思い出しました。


18081573.jpg
洞門出口から狩勝峠の頂上を見る。
暗い場所から写したので、
外が露光オーバーになった……ではなく、
外で測光してもこの白さだったりする。
(16日、7:30)

18081574.jpg
狩勝峠頂上に到着。
10mほど先に、
参加者が停車しているが、
それさえ煙るくらいの濃霧。
(16日、7:31)

 
 狩勝峠の頂上は、この、頂上を示す路上標識が、数メートルくらいの距離まで近づかないとはっきり見えないくらいの、物凄い濃霧に包まれていました。
 展望台周辺から十勝平野方面を振り返ってみましたが、見える風景は「驚きの白さ」でしたね(^^;)。

 そういえば、前回の北海道1200では、美幌峠が往復ともに真っ白でしたっけ……。
 私はどうやら、北海道の峠の見事な景観を見られない呪いがかかっているようです(^^;)。

 さて、狩勝峠の頂上に着きましたが、この段階で当初想定から40分遅れ。
 この先は南富良野市街地まで、長い下り区間ですが、この大雨と濃霧では、そこまで順調に下っていくことができるのか……。

 とにかく、先を急ぎましょう。
 まだ、Day2は始まったばかりです。

3.大雨の中の峠下り
 狩勝峠は分水嶺にもなっており、新得から登ってきた私の前で、南富良野方面に流れていく水は石狩川水系となって日本海へ。
 今来た方向、路面を波打って流れていった水は、十勝川水系となって太平洋へと注いでいます。

 ちょうど今、目の前で路面を流れる水の方向が後方から前方に変わり、まさしく峠越えの瞬間なのだという実感を持つことが出来ました。
 出来れば、別の形で実感したかったですが(^^;)。

 さて、登ったからには下りが待っています。
 本来なら、ボーナスステージのはずの峠の下りですが、今は嫌な予感しかしません。
 狩勝峠を登っている間、標高が上がるとともに呼気が白くなり、気温の低下を嫌でも実感させられていたためです。

 頂上手前の洞門出口で一旦、停車して、寒さ対策としてジオラインL.W.長袖をウェア内に着用していますが、それで防げるのかどうか……。
 とはいえ、登ってきたからには下らないといけないので、嫌な予感を感じつつも、下り坂へと突入しました。

 うん、予想通り。

 寒いっ!!

 雨と汗で濡れた体に、この日の寒気が容赦なく突き刺さります。
 この日、狩勝峠を挟んだ両側、新得(標高約185m)、幾寅(標高約350m)の朝7時の気温は15℃前後。

 狩勝峠は標高640mくらいなので、山岳の気温低下の法則(100mあたり0.6℃減)に従えば、気温は12~13℃前後。
 これに濡れたウェアに吹き付ける走行風の影響が上乗せになると、体感温度は一桁になっていたでしょう。

 また、路上には派手に水溜りが出来ており、路面のクラックや穴が見えなくなっています。
 そういう場所を出来るだけ回避して進むと、どうしても速度は控えめになりがちです。

 途中、直線に近いなだらかな右カーブで、私を追い越していく参加者がいらっしゃいましたが、直後に大型トラックが追い越して行き、わだちの水をド派手に跳ね上げます。
 バケツの水をぶっ掛けるかのような、派手な水の膜が飛びました……が、追い越していった参加者がまだ右前にいたためその人を直撃し、私までは届きませんでした……。
 あの水の量、大丈夫でしたか?>追い越していった方。

 そういえば、エンメアッカ号のブレーキはマイクロVブレーキを選びましたが、こういう雨の峠下りでは、Vブレーキの「握りはじめからガツンと効く」特性がありがたかったですね。
 キャリパーブレーキなら、しばらくギューッと握っていないと十分に減速できない場面でも、Vなら強めにグイッと握れば、瞬時にガクッと減速するので、何度がコツコツ握ったり開いたりして微調整するだけで、だいたい望みどおりの速度まで落としていけます。

 おかげで、握力もリムウォールもブレーキパッドも温存した走りが出来るのは、この車体の想定外の利点になっています。
 まあ、後ろについていた人がいらっしゃったら、キャリパーブレーキとは明らかに違う勢いでの急減速×数回、という車体挙動が恐ろしかったかもしれない(一人旅で、後ろには誰もいなかったのが幸いした)のと、下ハンで握ると、体が前に吹っ飛びそうなレベルで効き過ぎるという欠点もあるのですが……。

 麓に近付くと、下り勾配が緩くなって減速の方が顕著になってくるので、足を回して加速しようとしますが、既にチェーンが油切れを起こしているようで、金属同士が擦れ合うギシギシ感が強くなっています。
 この時、使用していたオイルはナスカルブ(スプレータイプ)。
 耐久性の高さで、一時はブルベにおける利用率が非常に高いオイルでしたが、この時の天候は大雨注意報発令中(後日知った ^^;)であり、さすがにそんな天気の前では歯が立たなかったようです。

 やがて勾配はどんどんフラットに近くなり、「こんなに遠かったっけ?」と思う距離を走ってから、幾寅の市街地に。
 ここにセブンイレブンがあったはずですが、GPSかサイコンの操作に気を取られていた間に通過してしまったらしく、麓郷方面への右折ポイントに来てしまいました。
 まあ、曲がった先にもコンビにはあったはず、と暢気に構えて右折し、その先のコンビニに入ります。

 ところが、このコンビニが、「ゴミはお持ち帰り頂いています」というお店だったのが少々問題でして……。
 多分、ゴミ箱の有無について、同じようにここに入ろうとした参加者に何度も聞かれたのか、店員さんがちょっとピリピリした対応になっていたのは仕方がないでしょう(^^;)。
 まあ、お店の方針ならば仕方がありませんので、出たゴミはレジ袋にまとめて、サドルバッグのドローコードに縛り付けて走ることにしました。

 さあ、この先は樹海峠です。
 登りの距離はそれほど長くありませんので、サクッと越えられると思いますが……。


18081575.jpg
実際、サクッと越えた。
ここは意外に快調に通過。
(16日、9:02)

18081576.jpg
樹海峠の名の由来は、
「富良野の樹海」と呼ばれる、
深い樹林地を見下ろすためらしい。

なお、この樹海は、
東京大学の演習林なんだとか。
(16日、9:03)


 樹海峠を下った先は、テレビドラマ「北の国から」の撮影地等として有名な麓郷を抜け、上富良野から、ラベンダー畑などの景勝地として知られる美瑛に至ります。

 ……そのはずでした。

4.決断
 樹海峠を下りはじめたくらいから、雨脚が弱まってきました。
 麓郷に至るくらいになると、路面のわだちなどが徐々に乾き始め、路面のコンディションが部分的にドライになったりもしてきます。

 麓郷から上富良野方面に向かう道は、いかにも北海道、という感じの、丘陵地に広がる広大な農地です。


18081577.jpg
近くに遠くに、
旅行雑誌やパンフレットで見るような、
北海道の丘陵地らしい風景が広がる。
(16日、9:21)


 本州ではまず見ることができないような風景に、思わず気分が高揚……できない理由がありました。

 このあたりで、一旦、レインスーツ内のウェアが乾いたのですが、それがいけなかったのか、それともここまでの蓄積が影響したのか、全身のアトピーの炎症が、強烈に勢いを増してきました。

 細かい描写は避けますが、とりあえず、ウェアが触れている場所、全部がかゆい。
 いやもう、全身の肌が、火照ったように熱くなってかゆい。

 集中力も途切れがちになり、何度も止まって一息ついて、あまりに酷いかゆみが出ている場所はつねったりして何とか誤魔化しつつ、進みますが……。

 集中が途切れがちになり、操作が雑になったためか、フロント変速時に変なトルクをかけてしまうようで、チェーンの脱落を頻発させるようになってしまいました。
 何度目かの丘の登り帰しで、思い切りトルクをかけようとした瞬間にフロントでチェーンがはずれてクランクがロック、そのまま落車しかけるなんて事もあったりして……。


18081578.jpg
何度目かのチェーン脱落時、
道端に転がっていた。

多分、キタキツネの頭骨。
(16日、10:05)


 集中力が完全に切れていることを嫌でも思い知らされるとともに、この後、今日だけで(峠越え2回を含む)残り150kmほどのコースを走れるかどうか、全身の猛烈な痒みの中で、出来るだけ冷静に考えてみます。

 この時、スマホで見た天気予報、午後から、さらに酷い大雨になる見込みになっていました。
 そして、次のPCの美瑛まで行った場合、想定の到着時刻は、今出せるペースではクローズギリギリか、それを少し過ぎた頃。
 その時刻になると、美瑛から帯広までの公共交通機関の接続が極端に悪くなることはわかっていました(事前調査済み)。

 西に少し行った富良野から帯広方面への電車は、約2~3時間間隔(1日、5~6便)。
 今なら、14時過ぎの電車に間に合わせられそうで、それに乗れば、18時前には帯広着です。

 私はここで、DNFを選択しました。

 全身掻痒で集中が続かない、メカも何となく不調な上に、深入りすると脱出機会を失いそう。
 ならば、無事の帰還に残ったリソースを全て突っ込もう。そう考えて走り出すと、なんだか意外とすっきりした気分になりました。

 途中でコースを外れ、富良野にショートカットすることにして、残る丘陵地帯を進みます。
 スマホやGPSのマップを見ると、キューシートNo.29でベヘルイ方面に町道に折れる場所を道道沿いに直進すると、どうやら富良野駅方面にちょうど抜けられそうです。

 そのすぐ手前で、ぜっとさん、かとさん、じぇんさんの3人パックに追いつかれました。
 このままコースを離脱して富良野に出る旨を伝え、私は一人、道道を直進します。

 そのすぐ先に、トイレつき駐車場の標識が出たので、これ幸いと駐車場に入りましたが……。
 お手洗いらしい建物が、駐車場付近には見当たりません。
 もっと先の駐車場なのか、と出発しようとしたら、駐車場から50mほど先の道沿いに、入口が反対側を向いた形でお手洗いが設置されていました。

 いや、これ、わかりづらいよ(^^;)。
 (もう少しでスルーするところだった)

 とりあえず、一旦、用を足すついでに体の様子を見ようと、個室でウェアを脱ぐと……見なきゃ良かったという気分になりました。
 体を動かすとウェアが擦れる場所(わき腹や骨盤、肩甲骨まわり)をはじめ、左右や肩の縫い合わせ部など、生地がどうしても強く当たる部分に酷い炎症が発生し、表皮が擦り切れ、うっすら出血している場所もあります。
 下半身の方はサドルと擦れ合うため、さらに悪い状態になっており、完全に皮が擦り切れた患部から染み出した血漿が固まってパッドが皮膚に貼り付いており、今、レーパンを脱いだら悲惨な事になりそうなので、宿(塗り薬などを持参してきている)に戻るまで放置です。

 とりあえず、ある程度の表皮保護効果はあるかもしれない、と、本来なら、股擦れ防止用に持っていたワセリンを上半身全体に塗りたくり、じわじわ患部にしみる痛みに耐えつつ再度ウェアを着用して出発です。

 脱出ルートに選んだ道道も、案外容赦なくアップダウンが続く道でした。


18081579.jpg
脱出ルート経由で富良野市街地へ。
雨風が急激に強くなり始め、
何人か、一般の自転車ツーリストも、
駅方向へと急いでいた。
(16日、10:56)


 富良野市街地近くまで出た所で、雨風が再び強烈に叩きつけてきました。
 狩勝峠の上で浴びていた雨よりも雨脚が強く感じたのは、強烈な南風に煽られ、体の横から勢いよく雨粒が叩きつけていたからでしょうか。

 同じ道沿いを、ブルベスタイルではない普通のロード乗り、パニアバッグを左右に下げたツーリストらしい自転車乗りが、同じように富良野市街地を目指して急いでいました。
 富良野駅に到着したのは、12時半頃。
 何人か、駅の庇の下で輪行準備中の自転車乗りの姿が見えます。

 私も乗り付けて、屋根の下をお借りして車体をパッキング。
 正直、北海道で使う機会はあるかどうか、と考えてた鉄道用輪行セットが役に立ってしまいました。

 窓口で切符を手配する時に聞くと、電車は14:19発。
 東鹿越駅で新得駅まで代行バスに乗り換え、新得駅から再び、電車で帯広着(17:30)というスケジュールになるようです。
 代行バス、という言葉に、「これ、自転車ですが、バスは大丈夫でしょうか?」と輪行袋を示すと、「トランクに空きがあれば大丈夫」との事で、切符を発行していただく事に。

 撤退の算段も整ったので、DNFの連絡を入れ、帯広まで切符も手配できている事をあわせて報告すると、お気をつけて、という言葉を頂き、私のCH1200は終わりました。

 そして、このDay2は、ここに掲載した画像が、撮影画像のほぼ全てです。
 Day1は午前中だけで80枚以上を撮影していたのに、この日はたったこれだけ。

 それだけ、余裕がない状態だったのだろうと、レポートを書いている今でも、そう実感させられたのでした。


(続く)

関連記事
コメント
コメントの投稿
【Font & Icon】
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

YO-TA

Author:YO-TA
2018年1月に、東北勤務から再び東京に転勤となりました。
相変わらず、デジカメ片手に、サイクリングやハイキングを楽しんでいます。
突然、突拍子もないことをやらかしますが、それはまあ、ご愛嬌という事で…。

Twitterでつぶやき中
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
月別アーカイブ
最近のトラックバック
ブログ内検索
RSSフィード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
雨雲レーダー
リンク