日々是遊歩。見て、聞いて、感じて、それを殴り書き。

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自転車で遠くへ行こう BRM909宮城400女川八戸 Part.2

 しばらくぶりに、通勤車、BSモールトンを洗車してやりました。

 まあ、初夏くらいからずっと、汚れもそのままに乗っていたので、いい加減、何とかしてやろうかと思ったのですが……。
 洗剤をかけて、風呂場のシャワーを強めに当てたところ……。

 フロントディレイラーのアーム部分から、ペースト状に固まった黒い塊がボトボトと落ちる落ちる……。

 ちょっと待て、こんなに汚れてるなんて、初めてなんですけど!
 と思って、そのペースト状のものを回収すると、その手触りが、何か記憶にあるものと一致することに気づきます。

 これ、チタンの固着防止に使っているモリブデングリスと同じだ!

 正確には、モリブデングリスが劣化して、二硫化モリブデンが析出した時のグリス汚れです。
 ということは、これ、二硫化モリブデンが付着して、油分が飛んでペースト状に固まったのか?

 実は、通勤車は現在、チェーンにはAZのハンマーオイルを使用しています。
 このオイルには二硫化モリブデンが配合されており、油分が飛んでもモリブデンが固体潤滑剤として作用するため、長期間、潤滑効果が維持され、音鳴りも防がれる、というのが特徴です。

 実際、注油間隔が開いても音鳴りがしないので、いつ注油して良いのか、迷うことも多々あったりするオイルです。

 しかし、配合されている二硫化モリブデンは黒い粒子であるため、オイルを塗抹したその瞬間から、チェーンが真っ黒になるという弱点があったりもします。

 そして……固体潤滑剤のモリブデンは、周囲に飛び散って付着すると、オイルが飛んでペースト状の塊になって残るため、清掃時に思わぬ汚れの発生に驚かされる、という特性が追加されました。

 いや〜、しかし、あの黒い塊がボロボロ落ちてきた瞬間は、何が起きたのかと思いましたよ(^^;)。
 次回からは、違うオイルを使おう(使い切ってないケミカルの山を漁らねば……)。

 では本題です。
 女川から、北上川沿いを遡上したあと、種差海岸を経て八戸まで行こう、という、ワンウェイ、片道ライドの400kmブルベのPart.2です。

 PC1に到着したのは、ほぼ、事前の想定通りの時間でした。
 次のPCは、北上川沿いにぐんぐん遡上した、岩手県盛岡市。
 おそらく、到着する頃にはナイトライドになっているでしょう。

 というわけで、興味のある皆様は、以下のRead moreをクリックしてください。


1.残暑厳しき道を行く
 午前10時に女川を出発し、だいたい想定通り、13時ごろに登米市米谷のPC1に到着。
 今年は長雨と冷夏だったため、この日のような暑さの中を走ったことがほとんどなかったため、この段階で暑さでうだるような気分になっていました。

 暑さを避けるべく、イートインで、ごまだれざるうどんとクーリッシュのベルギーチョコ味の補給を済ませて駐車場に出ると、既に参加者の姿は少なくなっています。
 皆様、この暑さの中、元気だなあ……。

 さて、それでは、ほぼ最後尾となったポジションから、コースに復帰です。

 次のPC、盛岡までの距離は137.4km。
 うん、遠いな(^^;)。

 これだけ区間が開いた場合、ベテランの皆様は、ある一定の距離、または一定時間ごとに休憩を入れ、その場所における仮想クローズ時刻を過ぎない程度の時間を意識しながら前進するなど、自分なりのリズムを設定すると思います。
 しかし、これが初めての400km、または、初めてのブルベ(という方もいらっしゃった)の場合、あまりに長い距離のため、気ばかり焦ってペースを乱してしまうこともあります。

 私は、途中の水沢辺りで計画的に休憩を入れることにして、PC1を出発しました。

 この先の一関市では、この日の天気予報で、最も最高気温が高くなる、という予報が出ていた場所です(実走スタッフのSさん情報)。
 今の段階でも暑いのに、計算してみたら、一番暑い時間帯にそこを通りそうなんですが……。

 米谷の市街地内で、先に出発していたエンメアッカのYさん、実走スタッフのSさんに追いつき、先を進みます。

 かつては、楓橋という民間出資の舟橋だったという米谷大橋を渡り、右岸の堤防上を北上します。
 やがて、右手に錦桜橋が見えてきました。


17090919.jpg
これから渡る錦桜橋。
この橋も、かつては民間出資の
舟橋だったらしい。

17090920.jpg
錦桜橋は幅員が狭いため、
自歩道橋の通過が指示されていた。
頭上から容赦なく日光が照りつける時間のためか、
歩行者の姿はなかった。

17090921.jpg
錦桜橋から上流側の北上川。
川面は本当に穏やかだ。


 北上川は、東北地方では随一の延長と集水面積を誇る河川ですが、河床勾配の緩やかさは日本でも有数のレベルにある河川らしく、かなりの距離(河口から約50kmほど)まで来ているのに、流れは非常に穏やかで、「瀬」のように、波が砕けた様子は見られません。
 時折、釣人なのか、遊覧なのか、カヤックやボートが浮かんでいる姿が見られましたが、穏やかな流れのため、池の上に浮かんでいるようにしか見えませんでした。


17090922.jpg
そして、県境越え。


 平坦基調、あるいは、ごく緩やかな勾配で登って行く道、だと思っていましたが、この区間は、両岸が北上川が削った崖になっており、崖沿いの狭い安全地帯を縫うようにアップダウンを繰り返す、という、炎天下に走るにはきつい道でした。
 時々、開けた農地に出るので、おお、しばらく平坦だ、と思っていたら、流入河川や農業用水を超える橋へと登り上げないといけないとか……。

 暑さも本格化してきたようで、頭上から照りつける陽光とともに、下から上がってくる照り返しも強く感じられるようになり、まるでオーブンの中で炙られている気分になってきました。
 微妙にジリジリ、体力を多めに削っていく、というイメージの中、我慢の北上を続けます。


17090923.jpg
川面は相変わらず穏やかだ。
この辺りから、
1時間周期くらいで、
意識的に川面を撮影していた。

気晴らしとともに、
同時にサイコンをチェックして、
移動ペースの確認を行う意味もあった。


 途中、どの辺りだったか、過去の洪水時(カスリーン台風到来時とか)の水位が電柱に表示されていました(気付いたときには通過していたので、画像なし)。
 どれもこれも見上げるような高さになっており、両岸を崖で狭められた流路に、広い集水域から集まった水が大暴れしながら下っていく様子が目に浮かぶようでした……。

 こんなに穏やかな川面を見せている川ですが、展勝地あたりでは龍神伝説も残されており、治水技術が発達する以前からの古い集落は、全て自然堤防や河岸段丘の上、というあたり、暴れ川という方が、本来の姿なのでしょう。
 北上川の、治水の歴史に伴う河道の変遷などは、興味のある皆様は調べていただくと、激変としか言いようのない状況がありますので、とにかく驚かされると思います(お時間があれば、ぜひ、お調べください)。


17090924.jpg
前を行くSさん、
さらに前を行くのがYさん。
皆様も暑さにやられているようだった。


 この時間帯は、かなり我慢を強いられながらの走行になっていました。
 普段はきっちりペースを刻んでいくSさんも、私よりずっと速いはずのYさんも、ボトルの水を浴びたり、自販機に自主停車したりしていました。

 ちょうどこの一関区間は、アップダウン続きでペースメイクにも差が出たためか、何度か前後しつつの走行でした。


17090925.jpg
14:22分撮影の北上川。
かなり上流まで来たのに、
まだ穏やか過ぎるほどの川面だ。

この少し上流にある一関遊水地が、
河口から80km。
今走っている場所は、
東京時代に走っていた多摩川だったら、
既に古里〜白丸ダム付近になっているはずだ。


 今が一番暑い時間、本気を出すのは、涼しくなってから。
 何度も自分に言い聞かせながら、なんとか1時間当たりの移動距離を、15〜20kmの間に保って前進を続けます。

 しかし、川崎町あたりまで来たら、もう暑さ耐性の限界に来ました。
 道路の反対側に自販機が並んでいるのが見えたので、吸い寄せられるようにそちらに向かいます。
 すぐ後ろに来ていたSさんも同様だったようで、同じように自販機に吸い寄せられてきました。

 自販機は南向きだったため、正面は陽光が強烈に照りつけています。
 それぞれ、ドリンクを買った後、日陰を求めて後ろにまわって、砂利の上に座り込みます。

 気温は高くとも、湿度は低かったため、日陰で風に当たっていれば、かなりの涼しさを感じられます。
 とにかく、一旦、体を冷やさなければ……。

 その後、すぐにYさんも同じ自販機に吸い寄せられてきて、三人で日陰に身を寄せる形になりました。
 で、ここまで来て思い出しましたが、川崎町には、コース近くに道の駅があったのでした。
 そこで休憩すればよかったよ、と愚痴りつつ、500mlのつぶつぶオレンジをグビグビ飲みながら顔の汗を拭うと。

 じゃり。

 ……塩が結晶化してやがりました……。
 なお、アームカバーも当然、白い粉を吹いていました。

 う〜ん、この発汗量は……。
 ここまでの間、塩分と、多少のカロリー補給のためミネラルキャンディをエンドレスドーズしていましたが、それで正解だったかもしれません。

 今年初めて思いましたが、なんて夏っぽい状態だ、これ(^^;)。

 そういえば、この川崎町で停車した自販機の近くに、「河崎の柵跡」という白柱標識がありました。
 この時は、暑さでまいっていて、あまり気にしませんでしたが、帰宅後の机上調査の結果、これが前九年の役に関連した遺跡であったという……。

 しまった……。大物を逃した……。
 またこのコースを走る機会があったら、覚べつ城(べつ、は字体が出なかった)の擬定地とともに捉えて、長々解説してやる……。

 狭い日陰に座り込んで、約15分くらい。
 15時になったタイミングで、コースへと復帰しました。
 今の季節ならば、17時頃から徐々に気温が落ちてくるはずなので、あと2時間の我慢、と言い聞かせての出発でした。


17090926.jpg
川崎を出発しさらに遡上。
そろそろ、平泉に入るはずだ。

17090927.jpg
時々、こういう木陰の道になる。
こういう場所は涼しくて良いのだが、
すぐに終わって炎天下になってしまうのが……。


2.平泉町、いつものアップダウン地帯へ
 コースを進み続け、平泉町の表示を超えると、アップダウンは一層、強く現れます。
 ここからしばらくの間は、宮城ブルベでは物見山300、宮城1000でも通過する、河岸段丘の縁沿いのアップダウン地帯に入ります。

 走り慣れた道なので、頑張りどころもわかっているため、完全マイペースで走ることにします。


17090928.jpg
で、完全マイペースということは、
私の場合、あちこちで止まって、
撮影しまくる、という事でもある。


 何度か止まって撮影しているうちに、SさんとYさんは先行して行ってしまいました。
 まあ、走り慣れた区間なので、何人に抜かれようときにする必要はありません。


17090929.jpg
いつも何となく撮ってしまう場所。
春だと田植え直後の、
鏡のような水面だが、
今は実りの黄色に染まっている。

17090930.jpg
ここもなんだかんだで、
いつも撮影してしまう場所。
遠くまで広がる黄色い水田。
長雨の影響は、遠目にはわからなかったが、
今年の実りは、例年比でどうなのだろうか?


 宮城の他のコースでは、午前中に走るので順光になる風景も、夕方近い時間に走ったため、オレンジに色づき始めた逆光になっていたのが印象的でした。
 秋の実りの景色には、色づき始めたオレンジの光が似合う、と思うのは、私だけでしょうか?
 とにかく、この区間は、普段も四季折々の景色を楽しみながら走っているだけに、今回も目で見る風景がとても楽しく感じられました。


17090931.jpg
そういえばこの平泉周辺は、
蝦夷の棟梁、アテルイの伝説も有名だ。

17090932.jpg
途中に一箇所、集落内を通らず、
バイパス化された区間があった。


 何度も繰り返し走っているコースだと、道順が頭に入っているためか、バイパスの開通でコースが変化した場所もすぐにわかります。

 ここは今まで、県道14号沿いに、画像左の外にある集落内をクネクネと通った後、一直線に、右手に続いている崖線(河岸段丘の、さらに上の段)に到達する道と成っていましたが、現在は崖線沿いを抜けるバイパスが開通し、集落をショートカットしています。
 この少し先が、蘇民祭の立像がある交差点、といえば、過去に宮城ブルベを走ったことのある皆様にも、位置がわかりやすいでしょうか……。

 その、蘇民祭の像の脇を通り抜け、藤橋の袂で北上方向に曲がったところには、北上川の旧河道がそのまませき止められた池や沼がいくつか現れます。
 そのうちの一つ、大沢沼の横にある「大沢沼さわやかトイレ」が近くなったところで危険水位になったので、トイレ休憩と、近くの自販機でドリンク補給を入れました。
 ここでコーラを解禁しようかと思ったのですが、残念ながら売り切れだったので、カロリー量的に変わらないファンタオレンジを補給しました。

 時間は16:30頃。
 そろそろ、日没が近づき、周囲はオレンジ色に染まり始めていました。

 できるだけ明るいうちに、展勝地の北に進みたいところなので、まだタイムアウトまでは大丈夫ですが、そろそろ真面目に進んだ方が良いでしょう。
 大沢沼のトイレの先、最後のコブ程度のデコボコ区間を抜けると、水沢江刺駅近くの平坦地へと突入しました。


17090933.jpg
水沢江刺駅近くの平坦地。
この先、しばらくは、
こんな地形のど真ん中を走る。


 水沢江刺駅入口交差点のところにあるコンビニで、数人の参加者らしい自転車乗りが休憩しているらしい姿を横目で見つつ、江刺の市街地へと進みます。
 時間は17時頃になっており、ちょうど夕方に交通量が増加する時間帯を迎えていました。

 江刺はコンパクトにまとまった市街地ですが、交通量の増加による緊張は、他の町と変わりありません。
 精神的に消耗した感じがあったため、やはり計画通り、この江刺あたりで一旦、休憩を入れることにして、コース上のコンビニに入ります。

 仮想クローズまでは、1時間半ほど。
 暑さにやられていたものの、オンタイムで走れているので、問題はありません。

 PC間の距離が遠く離れているこの区間は、特に単調な風景の中になると、「ちゃんと進んでいるだろうか、間に合うだろうか……」という焦りを生み、思わぬところでペースを乱されてしまうことがあります。
 今回のブルベも、江刺や花巻あたりにPCがあれば、そこで一旦、チェックを入れることで、ペースを間違っていないと安心できた部分もあったでしょう(これ、精神的には物凄く大きい)。

 今回のブルベでも、DNFになった皆様は、ほとんどがこの区間で体調不良(多くは熱中症の症状)を訴えたり、ペース配分が狂ってタイムアウトになったり、という状況が見られましたので、この区間が攻略上のポイントになったのかと思われます。

 私は、というと、約120kmのポイントで、日没が近づき、急速にオレンジ色が濃くなっていく風景を見ながら、あと5時間半くらいで80km弱。
 1時間当たりの移動距離は、16km以上を確保していけばいいんだな、と、再度、自分の状況を捉え直してからコースに復帰しました。

 復帰直前に、マヤさんが颯爽と走り去る姿が見えました。
 おや? 先行されていたはずですが……先ほど、水沢江刺近くで休憩していた集団の中にいらっしゃったのかな?


17090934.jpg
17:30頃、太陽は西の稜線の上に、
厚くかかった雲の向こうに沈んだ。

周囲は急激に涼しくなっていく。
さあ、そろそろ本気を出そうか!


3.日没〜ナイトライド開始
 日没とともに、周囲は急速に涼しくなっていき、路上の温度計の表示も目に見えて低くなってきました。
 一関市内では、低くても27℃だったそれは、江刺市街地を出て最初の表示が25℃。
 展勝地近くに至った頃には、23℃に落ちていました。

 江刺の市街地を出てすぐのあたりで、マヤさん(少々ペースが落ちたように見えた)を追い越し、展勝地に至るまでの長い長いド平坦を進む間に、また一人に追いつきましたが……。

 その方は休憩のためか、展勝地の駐車場へと入って行きました。
 ここから先は、延々、ひとり旅になります。


17090935.jpg
展勝地にある、ジジ岩、ババ岩。
道路の右の岩がジジ岩。
中央分離帯の岩がババ岩。

この岩は、地域の龍神伝説を今に伝えている。


 展勝地を通る時には、必ず画像に収めているジジ岩、ババ岩ですが、これはこの地に伝わる龍神伝説にちなんだものです。

 何度かこのブログで紹介していますが、伝説の内容は、昔、この地に住んでいた老夫婦が可愛がっていた幼子が龍神の子であり、洪水と共に姿を消してしまった。
 老夫婦はそれを悲しみ、いつか子供が帰ってくるかもしれない、と、岩になって待ち続けている、という悲しい物語です。

 龍神や大蛇(蛟)は、伝説の中では暴れ川や洪水を表す「記号」のようなものである場合が多いことを考えると……この伝説は恐らく、老齢になってから得た子供か、可愛がっていた孫を水害で失った悲劇を伝えるもの、になるでしょうか……。

 穏やかな水面を見せる北上川は、決して優しいだけの川ではないのです。
 そして、北上川沿いに限らず、龍神の伝説や、龍神を祀る祠がある地域は、少なからず洪水被害を受けてきた地域であることを忘れてはならないのかもしれません……。

 さて、そんなしんみりした内容はさておき、ここから先はしばらくの間、残照の中を進むことになりました。


17090936.jpg
18:01撮影の北上川。
おそらく、上北市黒岩地区付近。
珍しく、平瀬があった。

残照がなくなってきており、
手ぶれが激しくなってきた。


 18時の撮影の後、コースは北上川から少し離れた位置を通るようになったのと、急速に残照がなくなっていったため、一時間ごとの北上川撮影はできなくなりました。

 まあいい。

 涼しくなって、走りやすくなったし、どうせ暗くなって、撮影も満足にできないはずですから。
 できるだけ先に進むことを考えましょう。

 しかし、ここまで来て、路面のガタガタが段々、我慢できなくなってきました。
 夕方の交通量増加のため、どうしても車道の端の、本当に端に寄せないといけない場面が多くなっていましたが、そのラインは、轍が沈んでいる分、盛り上がって網目状のひび割れになっていることが多いわけで……。
 段々暗くなっていく周囲に合わせ、ライトはすでに点灯しているものの、昼間の陽光と比べたら、路面状況がわかりづらいのは仕方がありません。

 ガタガタ路面に辟易しながら到達した4号バイパスは、国交省直轄管理路線だけあって、見事な路面状態が維持されており、さすが高規格道路、と、感動してしまいました。
 ……なんか、感動するポイントが一般性を欠いていますが、まあ、それくらい、ガタガタに我慢ならない状況だったというわけです。

 そして、18時を回ってからは、残距離と腹具合の相談も必要になってきました。
 このまま走り続けても、PC2に到着するのは、20時半を超えたくらいの時間でしょう。

 さて腹具合は……食事を入れたほうがよさそうだな……。

 国道4号バイパスを離れて、一旦、釜石・遠野方面に向かった先には、栗駒600でPCに設定されたコンビニがあります。
 コース的には、そこを左折して残り37kmほどを北上することになっていますが、時間と距離を考えると、ここで一回、大きめの補給を入れておくべきでしょう。

 目的のコンビニには18:30頃に到着。ここでまた、大休止を入れて補給です。


17090937.jpg
ここに至るまでの間に、
残照はほぼ完全になくなった。

地平線に見えるのは、
ごくわずかな残照と、
花巻市の町あかり。
自動増感で、
かなり明るく写っている。


 駐車場で明太焼うどんを補給していると、まずはマヤさん。
 そして、SさんとYさんが少し遅れて到着し、同じように補給に入りました。

 マヤさんは、いつも通り、好奇心でキラキラした目をしておられ、まだまだお元気そうです。
 Yさんは、仕事の都合で盛岡で離脱しないといけないとのことで……。
 Sさんは、暑さにやられたダメージがあるのか、足がつり気味で苦しそうでした。

 私はここで、道のガタガタに対抗するため、グラブの中に化粧用のパフを仕込んで、即席の振動吸収材にするという、通称「チコリンパフ」を投入することにします。
 これは、北海道の道を走る際に、チコリンさんが編み出したことから命名されている技で、多くのランドヌールの手のひらと指を、路面振動から守っています。

 私は、極厚パッドで有名な、Mavicのキシリウムグラブを使っていましたが、パッドの防御が甘い部分もあるので、それを補う形でパフを仕込みます。
 気温はさらに下がったようで、さっき通過した参加者は、すでにウインドブレーカーを装備していました。

 ……いや、まだそこまで冷えていないと思うけどな??(^^;)

 まだ皆様は補給中でしたが、一足お先に出発します。
 ここから先、コースは市街地を離れ、外灯がほとんど無い区間も多いため、前照灯もフルバーストにして走行を再開です。

 案の定、路面のガタガタは続いていますが……チコリンパフのおかげか、手のひらにダイレクトに響く感じは、かなり緩和されたように思われます。

 おお、これはいい!
 自分がハンドルを持つときに、特に接触する部分に挟むようにすれば、もっとパッドが薄いグラブでも、400以上のブルベを走れるかもしれない!

 一部では、このチコリンパフのおかげで、グラブは純粋にデザインで選べば良くなった、という評価まである技ですが、そこまでの効果があるのであれば、今後も積極的に使うことにしましょう。

 まあ、今回は、後半の国道4号の路面が派手に荒れている、という試走スタッフからの報告を受けて持参していたものであり、まさか、こんなに早い段階から使うとは思っていませんでしたけれどね(^^;)。

 途中、ウインドブレーカーを追加装備中だったらしい参加者と、メカトラでDNFした参加者を追い越しました。

 真っ暗な道沿いですが、時々、左手に広い空間が現れたことがなんとなく感じられます。
 何度か、川に近接して走る場所があるので、そこに至ったのでしょう。

 東北新幹線を何度目かにくぐった先で、左前方の空が、今まで通過した都市をはるかに上回る規模で明るくなっているのがわかりました。
 この辺りで、あれほどの規模の光を出す都市といえば、岩手県の県庁所在地、盛岡市以外に考えられません。

 しかし、あまりにも規模が大きかったため、遠近感を見誤ったらしく、思ったよりも走らされてから、やっと都南大橋を渡るポイントに至りました。


17090938.jpg
都南大橋から見た、
盛岡市街地方向。
橋の外灯が明るいため、
町あかりは控えめになってしまったが、
肉眼では前方の空が白く見えるほど、
強い町あかりが見えていた。

17090939.jpg
久々に撮った、北上川。
20:30頃。さすがに何も映らない(笑)。


 さあ、ここまで来たら、PCまでは残り3kmほど。
 もう、何も問題なく、到達できるでしょう。

 都南大橋は、トラックが多く通っていたのと、撮影したかったのもあって、自歩道を徐行で通過しました。
 北上川を渡った先、赤十字病院前あたりで、後方からの自動車が途絶えたのを確認後、車道に復帰し、4号を北上方向に向かいます。

 さあ、あともう少しでPC……

 ボフッ!

 ん? んんん?
 何だ?

 フロントバッグに、何かが当たったような衝撃があり、ライトの光軸が激しく揺れました。
 同時に、左手の甲に何かが落ちてきたので、反射的にキャッチしてしまいましたが……。

 この手触りと形、EL540じゃないか?
 そういえば、前方を照らす光の範囲が狭くなっています。

 慌てて歩道上に乗り上げて状況を確認すると……。


17090940.jpg
ハンドルに設置していた、
ライト等のエクステンダーマウントが折れていた。


  はいぃぃ??

 いや、何でこんなことになってるの?
 全然わけがわからない!

 この日のライト構成は、フロントキャリア下にVOLT700、EL520の二灯を装備し、近場を照射する角度でセット。
 ハンドル上にライトマウントを装備し、その上に遠間を照らす形で、EL540をセットしてありました。
 そして、先ほどの衝撃後、その照射範囲が近場しかありません。

 うん、確かに、自分のライトマウントが折れた結果だな、これ。

 数秒間、放心してしまいましたが、PCまであと数百メートルだ、と思い出し、まずはPCまで行くことにしました。
 盛岡市街地に入ってしまっているので、町あかりが強かったので、ライトは近間を照らずだけの状態でも十分、走ることができて、助かりました。

PC2チェック:20:53

 さあ、貯金は2時間になりました。

 ここでコースは約半分をクリア。
 順調に進んできていますので、まずは次のPCの二戸、そして、朝の冷え込みに注意しつつ、北上山地の北の端、軽米町を越えて、久慈に時間内に到達できれば、完走が見えてきます。

 ええ。

 何も問題がなければねっ!

4.力ずくの復旧でコースに復帰だ!
 いやいやいやいや。

 無事に、貯金を2時間に増やして辿り着きましたけれど。

 ライトのエクステンダーマウントが折れるとかさ!
 どうしろっつーのよ、こんなトラブル!


17090941.jpg
アームのビスの位置で破断しているので、
部材の肉厚が足りない部分に疲労が集中し、
ポッキリいった、という感じだろう。

なお、アームの部材はアルミ。
自宅を出る前にバーの位置を調整した時は、
何も問題がなかったのに、
いきなりパッキリ逝ったよ。


 悔しかったのと、あまりにあまりの出来事に、もう、逆に可笑しくなってしまい、笑い飛ばしたくて仕方がなかったので、先着していた方に、一通り、障害発生状況などを披露してしまいました(色々迷惑な奴だな ^^;)。
 私のブログの読者さんだったことが判明したので、「これ、絶対にブログのネタにしますから!」と、わけのわからない宣言も出しておきます(だから迷惑だって ^^;)。

 いやね。
 ブログなんかを書く身からすれば、ネタとして考えたら、これほどおいしいネタもないんですよ。

 でもね。
 走ってる身で考えたら、単純に装備の装着ポイントが減るわけですから!
 しかも、これから一晩走り続けるのに、よりにもよって、壊れたのがライトマウントとか!

 どんだけおいしいタイミングで、おいしいトラブルが発生してるんだってーの!
 さすがに、こんなの、ネタでもいらんわ!

 ……と言いたいところですが(ってか、現地で散々、そう叫んでましたが:笑)、トラブルが起きてしまったものは仕方がない。
 まったく、あまりの出来事に、久々に勝手に筆が進むという状況が発生しましたわ(純粋に、ネタとしてみたらオイシイからね。二度はいらんけど ^^;)。

 プリンとカットフルーツ(梨があったので、迷わず選んだ)を補給しつつ、復旧方法を考えます。
 幸いにして、今回のブルベは、コースは記憶を基に走っているため、GPSマウント台座は使えなくとも問題ありません。
 ならば、ライトの台座さえ、装着できれば良いわけなので……。


17090942.jpg
不具になったマウントの片腕を外し。

17090943.jpg
ライト台座をハンドルに直付け。
これで光軸さえちゃんと設定できれば、
問題ない。


 幸いにして、EL540は本体の全高がYOLTシリーズより高いため、光とフロントバッグが干渉せずに、前方に光を飛ばすことができました。
 これで何とか、近場をキャリア下の二灯、遠間をハンドルのEL540で照らす体制を維持できます。

 いやあ……しかし、今となっては、このブルベ前に、「コース記憶だけで走る!」という決意を固めたのは、偶然ですが、超ナイス判断でしたね。
 これでGPS頼りでナヨナヨ走っていたのなら、この先、色々と困った事態になっていたでしょうから。

 さて、それでは壊れたエクステンダーマウントは……捨てていくわけにもいかないので、容量的に余裕のあったフロントバッグに詰め込んで行くことにします。

 おのれくそ。
 絶対に完走したくなってきたぞ、これ。

 妙な形で気合いを入れ直し、盛岡市街地の縦断から、さらに国道4号沿いを経て、フォトチェックの北上川源泉公園、そして、二戸のPC3まで行くことにしましょう。
 幸い、時間は……。

 色々やっていたら、PC停止時間が1時間近くになってるよ!
 うぉい!


(続く)



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プロフィール

YO-TA

Author:YO-TA
2018年1月に、東北勤務から再び東京に転勤となりました。
相変わらず、デジカメ片手に、サイクリングやハイキングを楽しんでいます。
突然、突拍子もないことをやらかしますが、それはまあ、ご愛嬌という事で…。

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