日々是遊歩。見て、聞いて、感じて、それを殴り書き。

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一連のヤマカガシ報道に思う

 最近、どうもブルベを走っても、マンネリ化というか、漫然と走っているように感じています。

 いつ頃から、こんな気分になっているんだっけ……と思い返すと、大体、去年のシーズン後半くらいから、そんな感じがしています。
 これは、GPSを本格導入し、画面にコースを表示させながら走ることに慣れ始めた頃に符合している気がします。

 実際、GPS導入以降は、コース予習等もあまり真剣にはやらなくなっており、画面表示を見ながら走ればいいか、なんて気分で走り出していることも多かったり……。
 (例外的に、北海道1200は、かなり真面目に予習した。あと、自分が引いたスーパーフラット200の試走は、さすがに記憶だけで走れた……)

 おかげで、全体的に趣味にかける情熱が減退しているというか、マンネリ化が進んでいる気がします。
 うむむ、これはいかん……。

 という訳で、秋の女川八戸400は、久しぶりに記憶だけで走ろうかな、と考えています。
 GPSは、ルート表示なしで、現在地確認用としてだけ使用する設定で。

 ただ、問題なのは、その辺りに、また会社の研修が突っ込まれそうなのですよね……。
 もし日程が合わなくなったら、試走で走ることも考えてみます。

 では本題です。
 先日、兵庫県で児童がヤマカガシに咬まれて、一時、意識不明の重体になるという事故がありました。

 これに絡んで、テレビ局等の各社が色々と報道していた内容に、まあ、毎度ながらですが、色々思わされました。
 ヘビ、という、一般的に嫌われる傾向のある動物に関する、あまり面白い話ではありませんので、本当に興味のある方のみ、以下のRead moreをクリックしてください。

 さて、この事故に関しては、ヤマカガシというヘビにかまれた児童が、毒の影響とみられる症状で一時、意識不明になったものの、血清を投与してからは意識も回復し、快方に向かっている、というのが大まかな流れです。

 当初は、市街地の公園で咬まれた、という報道だったため、「市街地で、児童が猛毒を持つ危険なヘビに襲われた!」という論調の報道が次々と出たようです。
 しかし、後に児童らの実際の行動履歴を再現してみると、

1.宝塚市の寺院の参道(山林のような場所)でヤマカガシと見られるヘビを捕獲、咬まれる(1回目)。

2.ヘビを友人のリュックに入れて帰路につく。

3.咬み傷からの出血が止まらないため、公園の水道で患部を洗う。
 ※既に、体に毒が入っていたと思われる。
 ※また、当初はここで咬まれた、との誤解があったため、市街地で咬傷事故が起きたと報道された。

4.友人宅で遊ぼうと、ヘビをリュックから出す時に咬まれる(2回目)。

5.その夜、児童に頭痛などが発生。病院に搬送される。

 という経緯を辿っており、結果的に、ヘビと遭遇し、咬まれたのは、市街地から離れた場所であること。
 当初報道では、「ヘビに襲われた」という表現でしたが、実際には、「児童らが捕獲しようとしたため、防衛行動として咬み付いた」という状況であったことが明らかになりました。

 で、私が気になったというか、色々思わされたのは、報道各社の当初の報道姿勢についてです。

 冒頭にも書いたように、当初の報道は(特に民放のワイドショーでは)、軒並み、「市街地で、児童が猛毒を持つ危険なヘビに襲われた!」という論調の報道が多く見られました。

 しかし、ヤマカガシは積極的に人を襲う事はまずない種類のヘビです。
 このため、少し爬虫類の生態に詳しい人の間では、児童らがヘビをいじめたり、もてあそんだりした結果ではないか、との懸念をもとに、今後の事故防止のためにも、もっと正確な報道をすべきだ、という論が、SNSなどに多く投稿されました。

 その結果を受けて、という訳ではないでしょうが、NHKでは報道初出の翌日夜段階で、ヤマカガシというヘビの習性等に関して、非常に正確かつ分かり易い報道を行っていました。
 
 臆病な毒ヘビ ヤマカガシを知って!(NHK News Web)
 (ヘビの画像がデカデカと表示されますので、苦手な方は注意)

 ヤマカガシというヘビの習性や生態等の基本情報は、上のリンクを見て頂ければ大体、お分かり頂けるでしょう。
 簡単にまとめると、

・カエルが主食。山林や水田地帯など、とにかく色々な場所に生息する。
・非常に臆病で、ヒトの接近を感じるとすぐに逃げる。
・不意に掴むなど、危険を感じさせるような事をしない限り咬まれない。


 という感じです。
 私も野外活動系の趣味を持つ人間なので、何度もヤマカガシには遭遇していますが、今まで、彼らが威嚇行動を取ったところさえ、見たことがありません。
 最悪の遭遇事例として、急な岩場を両手足を使って登っているとき、お互いの鼻先が触れ合うか、というほどの至近距離で遭遇したこともありますが、一瞬の硬直の後、転がるような勢いで逃げて行った、なんて事もあります。

 こういう知識や体験があれば、今回の初出報道がおかしい内容、まあつまりは、センセーショナルな報道で煽って(ウケを狙って)、注目を集めようとしている状況であったことは明白でした。
 こういう報道姿勢は、東京の都心でカラスが増加した時をはじめ、スズメバチが生息圏を住宅地に広げ始めた時期や、ツキノワグマとの遭遇禍、最近では外来種であるヒアリの報道でも見られていることです。

 ちなみに、こうした、センセーショナルな報道で煽る報道の結果、無用な恐怖心から過剰な反応を引き起こし、実際にこうした生物に遭遇した際に、誤った対応を引き出した例もあります。
 また、「危険な動物を駆除しろ〜!」という論調に繋がり、地域の生態系の破壊などに繋がった例もあります。

 結局、私などは、「ま〜た、テキトーなことやってやがるよ」という感じで、民放各社の報道の確度に対し、不信の度合いを高める結果になったわけです(いや、ホントに関係者の皆さん、素人にここまで言われるなんて、しっかりして下さいよ……)。

 ちなみに、当初の報道で色々、煽りとして出ていた情報を、正しい知見から検証してみますと……。

・ヤマカガシの毒は、ハブの10倍強く、危険なヘビだ。
 致死量などの数値で見れば、確かにそうです。しかし、毒の強度だけでヘビの危険性を語ることはできません。

 たとえば、沖縄には、「ヒャン」と「ハイ」というヘビが生息しています。
 両種ともに「コブラ科」に属し、ハブの5倍程度の猛毒を持ちます。

 しかし、小型のヘビであり、口をめいっぱい開いても、人間に牙を立てられません(咬み付けない)。
 さて、それでは、この猛毒を持つヒャンとハイは、人間にとって危険なヘビでしょうか?(脅威度ゼロですよね?)

 また、ヘビの毒は、種類によって発現メカニズムが全然違いますので、致死量の単純比較で危険性を煽るのは、正確な情報の伝達にはなりません。
 ハブ、マムシ、ヤマカガシの毒の発現メカニズムを大まかにまとめると、同じクサリヘビ科のハブ、マムシは似たような発現メカニズムを持ちますが、ヤマカガシの毒は全然違います。

 ハブとマムシの毒は、咬まれた直後から激痛とともに患部を腫れあがらせるとともに、血管を圧迫して血流をとめてしまい、組織の壊疽(腐って落ちる状態)を引き起こすなど、猛烈な反応を示します。
 この激痛と患部周辺の腫れにより、行動が阻害されたり、冷静な判断力を喪失することなどにより、手遅れになるケースも多くなります。

 一方で、ヤマカガシの毒は、血液を固める血小板を異常に刺激して細かな血栓にしてしまうため、傷口が塞がらなくなるという作用を持ちます。
 結果、今回の児童の例で見られるように、血が止まらなくなったり、微小な血栓が脳の毛細血管に詰まる(結果、頭痛が発生する)などして、長い時間をかけて症状が悪化します。
 しかし、今回の児童のケースのように、子供の体力でも、昼に咬まれ、夜まで自律行動出来たように、ゆっくりと作用しますので、「ヤマカガシに咬まれた」ことがわかっていれば、対処する余裕は十分にあります。

 さて、より危険なヘビはどれでしょうか?

・ヤマカガシは1970年代以降、4人の死者を出している、恐ろしいヘビである。
 マムシの咬傷事故が原因とみられる死者は、毎年10人くらい出ていますが、何か?
 1970年代以降で言うなら、約50年経っていますので、単純計算で500人の死者が出ていると思われますが、危険性はどちらが上ですか?
 ちなみに、マムシの咬傷事故発生件数は、年間1,000〜3,000件程度と言われています。
 (出典(PDFファイル):全国調査によるマムシ咬傷の検討

 ハブの咬傷事故は、沖縄県によると、年間100件程度。死者は、血清の普及と医療の発展により、2,000年以降はゼロのようですが、1ヶ月ほど入院する重症例が、毎年数件、報告されているそうです。
 (出典:沖縄県ホームページ内「ハブの被害」

 対して、ヤマカガシは、咬傷事故自体がほぼゼロ(統計などは、探したが見つからなかった)で、ごく稀に今回のようなケースがある程度です。

 さて、これでもヤマカガシは、危険で恐ろしいヘビと言えますか?

 さらに言うと、ハブ、マムシは口の先端に毒牙があるため、咬まれたら確実に毒液を体に注入されます。
 ヤマカガシの毒牙は、口の一番奥にあるため、しっかりがっつり咬まれない限り、毒液が体に入りません。

 また、マムシやハブは、少し刺激を受けた程度で積極的に攻撃してくるのに対し、ヤマカガシは逃げます。
 「窮鼠かえって猫をかむ」の状態で咬むことはありますが、私の体験にもあったように、逃げることを優先するケースがほとんどです。
 (土いじりや草刈り中に、間違って掴んでしまった、などの場合は、さすがに咬んでくるかもしれないけれど)

 ヘビの危険性を考える場合、こうした要素も考慮して判断しないと、正確な評価にはなりません。

 個人的な判断ですが、ヤマカガシに関しては、「人が攻撃しない限り、無害」というのが、私の認識です。
 ハブは、東北在住の私が出会う可能性はほぼゼロですが、出会いたくないヘビの筆頭です。樹上性が強くて、肩から上をいきなり咬んでくることもある=頭に毒がまわり易い上に、蛇体が大きいので、一回に注入される毒液の量がシャレにならないですしね。

 しかし、特に九州以北の本州にお住まいの皆様であれば、最も危険なヘビは、遭遇確率も高ければ、攻撃性も強く、年間、複数の死者が出ているとも考えられている「マムシ」です。
 こいつの危険性は、ヤマカガシなんて、比べものにならないです。

 私は、結構ヘビは平気な性格で、シマヘビやアオダイショウなどは、指でつついたり、素手で掴んだりしてしまいますが、マムシだけは駄目です。
 私は、マムシを見かけたら必ず距離を取り、慎重に出方を伺います。皆様も、本当に注意してください。

 なお、そんなことを言われても、ヘビの種類なんて、パッと見でわからないよ、という皆様。

・ヘビが好きそうな場所に、無暗やたらと近付かない。
・姿を見たら、触らない、近寄らない。


 この二つを守るだけで、咬傷被害に遭う確率は、一気に下がりますので、駆除だなんだと騒ぐ必要はありません。

 というか、シマヘビやアオダイショウなどは、人家に侵入するネズミなんかを捕食してくれますからね(特にアオダイショウは、とても優秀なネズミハンターだ)。
 下手に怖がるより、ヘビとうまく付き合う事を考えた方が良いでしょう。


最後に豆知識を
 ヤマカガシの毒についてSNS等で述べられている文章を見ると、このヘビについて、ある程度、詳しく知っているからこそ、誤解が発生している部分もありました。

 ヤマカガシの毒は、毒牙から出る毒以外にも、首の後ろにある頚腺という器官から出る毒がある(首の後ろの皮膚に、毒液を噴射する器官がある)ことも知られています。
 この頚腺からの毒は、捕食者がヤマカガシを捕まえようとした時に、とどめを刺すために首を狙って咬み付いた際、口内または顔面に毒液を吹きかける作用を持っていると考えられています。
 (なお、圧迫などの刺激がないと、毒はほとんど出ない)

 実はこの頚腺の毒は、ヤマカガシが好んで食べるカエル、特に、ヒキガエルの体内に存在している毒を貯蔵し、再利用しているものである事が、近年の研究で分かっています。

 この事実から、「ヒキガエルがいない地方のヤマカガシは無毒」という考えを持っている皆様も多くいらっしゃるようです。

 しかし、頚腺の毒と、毒牙(毒腺)から出る毒は、まったく別のものです。
 毒牙から出る毒は、ヤマカガシが生まれつき持っている物なので、ヒキガエルのいない地方の個体でも、普通に持っています。

 なので、ヤマカガシは必ず、毒を持っている蛇であることを意識してください。
 (ま、それ以前に、野外で出会ったヤマカガシが、ヒキガエルを食べているか、いないか、なんて、わかるはずがないんですけどね……)

 色々言われるヤマカガシの毒性成分に関してですが、学術的に正しい情報については、京都大学化学生態学研究ゼミの「ヤマカガシの毒成分」のページでご確認ください。


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プロフィール

YO-TA

Author:YO-TA
2011年7月に東京から仙台に移住。
相変わらず、デジカメ片手に、サイクリングやハイキングを楽しんでいます。
突然、突拍子もないことをやらかしますが、それはまあ、ご愛嬌という事で…。

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