日々是遊歩。見て、聞いて、感じて、それを殴り書き。

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【実走編3】EAST END OF THE WORLD 2016年BRM715北海道1200

 北海道1200のレポートを書いている途中ではありますが、文章中に、主観的に「暑い」だの「寒い」だのの表現が出ていることが少々気になりまして、実際の気温はどんな感じだったのか、気象庁のアメダス観測結果から調べてみました。
 (ほぼリアルタイムでこういう情報がわかるなんて、便利な世の中になった物だ・・・)

 とりあえず、今回までのレポートの範囲となる地域を見てみると・・・。

7/15日
 札幌周辺(朝5時):14.5℃前後
 石狩沼田(PC1:11時頃):23.7℃
 旭川(13〜14時頃):25〜27℃
 上川(15時頃):22.7℃
 遠軽(20時頃):14.3℃

7/16日
 北見(到着時:0時):14.7℃
 北見(出発時:4時):14.3℃
 美幌(5時):14.4℃
 弟子屈(7〜8時):15.4〜15.8℃
 別海(往路:12時):20.6℃
 厚床(14時):21.1℃
 納沙布岬(16時):18.4℃

 やっぱり、沼田から旭川前後の範囲は、暑かったんだな〜(^^;)。

 しかし、暑いと思っていた別海、厚床は、そんなに高い気温ではありませんね・・・。
 別海よりも東の地域は、昼でも20℃を越えていませんでしたし、体感で暑さを感じたのは、日差しが強かったのでしょう。

 ただ、レポートにも書いたとおり、北海道1200開催期間中は、夜の冷え込みはそれほど厳しくありませんでした(大体、14度前後だった)。
 結局、昼夜の気温差はそれほど大きくなく、走り易い気候にあったと思います。

 去年のPBPは、特に二日目の夜は、一桁(手元記録で6℃)まで落ちていたからなあ・・・(あれはきつかった・・・)。

 では本題です。
 北海道1200のレポート、実走編のその3をお送りします。

 札幌のつどーむを15日の朝5時40分グループでスタートし、北見のPC3に、スタートから日が変わった16日の0時過ぎに到着し、仮眠体制に入りました。
 ここで3時間ほど寝てから、2日目、納沙布岬への道を進むつもりでいましたが・・・。

 以下、その後の展開をお送りします。
 興味のある皆様は、以下のRead moreをクリックしてください。

1.濃霧のパノラマ
 北見のPC3で、ふっ、と熟睡感とともに自然覚醒したのが、3:40頃でした。
 4時出発なら、ちょうど良いくらいの時間です。

 そろそろと布団から這い出すと、4人でいっぱいの部屋に残っていたのは、私ともう一人だけでした。
 充電のため、プラグに繋いであったスマホとデジカメを引っこ抜き、生活用品を再度、ドロップバッグに押し込むと、ちゃりけんさんがちょうど顔を出して、準備ができたら出よう、と声をかけてきました。

 急いでホールに出て、ドロップバッグを所定の位置に戻してから、パンを一個とバナナを一本、かき込むように食べ、眠気覚ましに、と、ハッカ飴を何個か鷲掴みして外に出ました。


16071556.jpg
朝4時。
そろそろ往路クローズの、
北見PC。


 朝4時。
 北見の気温は・・・手持ちの装備で対応できる程度でした。

 ちょうど、正規の時間でPCがクローズになる頃なので、これに合わせて出発する人が多いようで、ホールや自転車置き場には、かなりの数の参加者の姿がありました。

 ちゃりけんさんと私は、4時には出発準備が整っていましたが・・・Sさんが出てきません。
 まあしかし、すぐに追いついてくるだろう、という事で、予定通り朝4時にPC3、北見をスタートしました。


16071557.jpg
そして朝一番のヒルクライム。
美幌トンネルへ。

16071558.jpg
トンネルを抜けた先は、
霧が濃く立ち込めていた。


 これから、最低でもあと2回は通り抜ける事になる美幌トンネルを通過して、峠の反対側に出ると・・・。
 美幌側は霧に包まれており、遠くの景色が真っ白に霞んでいます。

 この先、美幌峠は霧の中なのでしょうか。


16071559.jpg
陽気な外国人の皆様が、
賑やかに通過していった。


 仮眠を済ませたからか、参加者の皆様は疲れもリセットされたようで、スタート直後と変わらない速度で走っている姿もありました。
 複数日に渡るブルベを走る上では、この回復力もまた、重要なファクターになります。
 自分の疲労のピークがどのあたりに来るかを予測して、先手を打った補給・仮眠計画をたて、それに応じた行動をする事もまた、完走を目指す上では重要な事になります。

 もっとも、さらに強い皆様は、計画なんて関係無く、行き当たりばったりを楽しみながら完走してしまうのですけれどね・・・(^^;)。


16071560.jpg
美幌市街地は霧雨。
冷たい霧がウェアを濡らし、
早朝の冷気が身を切る。


 全体的に天候には恵まれた今回のブルベですが、この日の早朝の霧雨は冷たく、まだ起き抜けの体の暖まりを大きく阻害してくれました。
 PCを出て、まだ1時間程度でしたが、一旦、コンビニで補給をする事にします。

 ここで私は、ホットの缶コーヒーと、プリンを2カップ補給。
 しっかり食べておかないと、これから先の美幌峠も冷え込んでいたら、カロリー不足になりそうです。

 コンビニ前のコースを、沢山の参加者が、ウインドブレーカーやレインスーツ装備で走っていきますが、さすがにそれは暑そうな気がします。
 (私は、メリノウールの長袖(薄手)に、半袖ジャージ、AJ-PBPベストだけだった。)


16071561.jpg
美幌市街地を抜けて、
美幌峠に向かう。
何だか不穏な表示が出ている。


 コンビニで補給中に、地元の方から、朝も早くから沢山の自転車が・・・から、テンプレートなやりとりがあった後、少し北に行くと、霧は相変わらずだけれど、雨は降っていない、との情報をいただきます。
 お礼を言って、走り始めると、やがて路面がドライになり、アイウェアにべっとり貼りついた水滴も、拭った後には再び付着しない状態となりました。


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いかにも北海道という感じの、
広々とした畑と丘陵地。
霧に煙った感じが、
また趣を引き立てていた。

16071563.jpg
街路樹にシラカンバを配置された道を、
まっすぐに進む。


 美幌峠は、前回、2014年に開催された北海道1200では、時間的に夜中が参加者の通過のピークとなり、それと同時に台風に伴う荒天が到来したという最悪のタイミングになったとの事です。
 防風吹き荒れる峠から、弟子屈方面(峠の反対側)に下ろうにも下る事ができず、多くの参加者が峠の上にある道の駅でビバークを強いられました。

 その時の皆様は、自販機室内にいた皆様を自販機組、トイレに避難した皆様をトイレ組と呼んで、今でも伝説として語られています。
 そして、未明にブルベ続行は不可能と判断され、中止となりました。

 そんな事もあって、美幌峠は今回のブルベでも、ある意味、象徴的な場所として参加者の間で語られていました。
 まあ・・・「伝説の地の訪問」とか、「聖地巡礼」とか、そういう方向だったわけですけれどね(^^;)。

 それにしても、例によってメリハリがないというか、いつから峠の登りが始まったのかを、体感で捉えづらい登りです。
 気がついたら、ギアがだんだん、軽い方に追い込まれていて、体は連続的にかかる負荷で苦しさが増幅されてくるという・・・。

 この感覚は、本州の峠越えでいきなり激坂にぶつかる、ハードパンチ一発より、ずっと体に厳しく響きました。
 ボディーブローでじわじわ体力を削られ続け、なぶられ続けている気分で、緩い斜面を登っていきます。

 やがてペースが合わない事もあって、ちゃりけんさんとははぐれて、私の方が先行するようになっていました。


16071564.jpg
長い長い緩斜面。
登って行くと、
先行者の背中がいくつか見えてきた。


 峠までの距離はさほどでもないはずなのですが、緩やかな直線の坂が一定の勾配でいつまでも続くので、精神的なダメージがあるのか、妙に長い登りに感じます。
 そして高度を上げていくと、下界で見た表示のとおり、周囲はガスに包まれ始めました。


16071565.jpg
徐々に視界が悪くなる過程を見て欲しい。
まだここは普通に霧がかかった程度。

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徐々にガスが濃くなり始めた。
そろそろ、無灯火の対向車が怖いレベル。

16071567.jpg
最も霧が濃い範囲はこんな感じ。
アイウェアにも水滴がつき、
拭っても拭っても視界が回復しない。


 これで対向車に突っ込まれたらたまらないなあ、と、前照灯をONにして登坂を続けます。
 ハンドルに装着している前照灯は、美幌の市街地でコンビニ補給中に、EL540からEL530に換装してあり、電池の残量を気にせず使用する事ができます。

 実は、この段階でドロップバッグからGPS用の予備電池を抜いてくるのを忘れており、今後、再び北見に戻る前にGPSの電池が切れる可能性が生じていました。
 一応、EL540用の予備電池として、ニッケル水素電池×4本を持っていましたが、できればそれは灯火用として使いたいところであり・・・。

 そんなわけで、予備灯火であるEL530を霧の中で自分の位置を誇示するためのライトとして使用していたのでした。
 今となっては旧式で、ナイトライドで使用する場合の明るさも今ひとつですが、アルカリ乾電池4本で連続90時間も使えるライトですから、電池切れを心配する必要が無く使えるのは、非常にありがたいものです。


16071568.jpg
国立公園の指定地域に入った。
ここまで来たら、
峠までは近いはず。


 この、阿寒国立公園の指定地域境界を示す標識を過ぎてしばらくしたら、勾配は急に緩やかになり、GPSの地図上でも、峠の向こうの屈斜路湖の外輪山の上に出たことが示されました。


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そして、伝説の地まであと2km。

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周囲のガスは相変わらず濃密で、
周囲の風景を幻想的に染め上げていた。

16071571.jpg
そして到着した伝説の地。
道の駅ぐるっとパノラマ美幌峠。


 伝説の地、「道の駅ぐるっとパノラマ美幌峠」に到着です。

 ぐるっとパノラマ・・・いや、まあ、この時は、ぐるっと全方向、濃霧で真っ白でしたが・・・。

 というか、道の駅の建物前から、道路を振り返っても、通過する自動車、参加者の姿がほとんど確認できないレベルの濃霧です。
 ちょっと、濃すぎませんかね(^^;)。

 また、峠の上ということで、風もそれなりに通るため、寒さが体にしみます。
 これはさっさと下界に下ろう、と思ったのですが、話好きらしい人に捕まってしまい、たっぷり20分ほど相手をさせられることに・・・。

 寒さが限界になってきたので、一方的に打ち切って下りにかかろうとしたら、ちょうどちゃりけんさんが到着したところでした。
 しかし、もう寒さで体が限界だったので、そのままスタートします。


16071572.jpg
美幌峠の下りをスタート。
本当はこの方向に、
屈斜路湖の素晴らしい風景が見えるはず。


 GPSの地図上には、かなりの急カーブが連続する道形が見えているので、スピードは控えめに高度を落としていきます。
 屈斜路湖が見えるはずの方向に視線を向けますが、やはり周囲は真っ白で・・・

 と思ったら、雲の層の下に出た瞬間の、とある急カーブの外側を見たら、そこに雲の切れ間から漏れる朝日を反射する、神秘的な屈斜路湖の姿が!


16071573.jpg
一瞬だけ見えた屈斜路湖。
ベストアングルだった急カーブでは、
急に止まれるはずも無く、
次のカーブで撮影。
うむむ、残念ながら木々が被っている。


 その後、道路脇に設置されている駐車場などで何度か止まったものの、どの場所も目の前は樹木に遮られており、先ほどの、神がかり的に美しい屈斜路湖の姿は目にすることができませんでした。

 むむむ・・・。

 まあしかし、一瞬とはいえ目にすることができて、記憶の中に刻みこめたのは確かです。
 あの、一瞬だけ見えた神秘的な屈斜路湖の姿は、カムイのご褒美か悪戯、と考えておきましょう。

 道はそのまま屈斜路湖沿いの平坦地へと繋がり、弟子屈方面へと続いていきます。

 しかし・・・暑い。
 平地に降りてきたら、峠の下りを意識した装備では、暑くなってきました。

 一旦停止して、メリノウールインナーと、AJ-PBPベストを装備から外します。
 この判断は正しかったようで、弟子屈のコンビニまで防風装備で走っていた皆様の多くが、暑さで睡魔を誘発され、非常に苦しい思いをしたようです。

 装備を解いている間にちゃりけんさんが追いついてきたので、ここで合流して、この先の長いコンビニ不毛地帯に備えて、弟子屈のコンビニを目指すことにします。

 弟子屈のコンビニは、朝一番に腹ペコサイクリスト達の大量来店を受けて、なんだか凄い状況になっていました。
 私もその中に紛れ込んで、二度目の朝食になる補給に向かったのでした。

2.果てしない直線路の先に
 参加者でいっぱいの弟子屈のコンビニを出発すると、ここから先は、いかにも北海道らしい風景のど真ん中を横断して走る区間になります。

 これから横断するのは、根釧台地(こんせんだいち)と呼ばれる、日本最大規模の台地です。
 1/25,000地形図で見ても、等高線の幅が非常に広く描かれ、本当に「平坦」という言葉を形に表したような地形になります。

 コースは基本、国道243号沿いをトレースして進みますが、弟子屈からは、丘陵地を越えて虹別、西春別駅前などを過ぎて、別海町の市街地に至るまでの間、特に虹別から先は、集落と集落を最短距離で繋ぐ直線道路の区間となります。
 この区間の国道243号は、通称が「パイロット国道」と言うらしく、「とにかく最初に引いた道路」という感じが、ありありと伝わってきます。

 まあ~、開拓時代か、近代土木の時代に、最大限の効率を目的に敷設された結果、どこまでもまっすぐな道路ができてしまったという感じでしょうか・・・。

 美幌峠の登りと下りでの疲れがある程度、取れたと思われる頃、弟子屈のセイコーマートを出発し、パイロット国道へと踏み込みます。


16071574.jpg
最初は丘陵地帯。
この辺りの最高地点に向かう。


 北見のPCの出発と、補給のタイミングがほぼ同じであったためか、この辺りは沢山の参加者と前後しながらの走行になりました。
 そろそろ、上空の雲は流れ、日差しが復活して、またも炎天下の暑い道が復活しようとしていますが、この先のド平坦直線が炎天下だったら、かなりきついよなあ・・・と、この段階で少しうんざりします。


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パイロット国道のコース中最高地点は、
このスノーシェルターを抜けた先。
路面に刻まれた横溝のグルービングが、
登坂の抵抗をわずかだが上げている気がする。


 スノーシェルターの設置ポイントは、東北地方では峠の最高地点が多かったりするので、ちゃりけんさんと二人で、あそこで坂は終わりで、あとは下り基調だ、と、ぬか喜びした地点でした。
 スノーシェルターに近付くと、その中の道路が登っており、通過してさらに先まで登っているという状況に、うげっ、と変な声が出てしまいます。


16071576.jpg
スノーシェルター内をノロノロと登坂。
盛大に傾いているが、
ノールック撮影により、
ご容赦願いたい。

対向車や追い越す車が、
横溝グルービングを踏んで、
ヴーンともヴィーンとも聞こえる音を発していた。


 この丘陵地のアップダウンで、私はちゃりけんさんから少し先行する形となりましたが、まあ、この先の下り基調~ごくごく緩斜面だがほぼ平坦な地形で、すぐに追いつかれるでしょう。
 そう踏んで、そのまま前進を続けます。


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いかにも北海道な風景が、
ど~ん、と広がる。


 どこまでも広がる平坦な土地と、その中を縦横に走る防風林、そして、そんな場所をまっすぐ貫く道路線形など、これぞ北海道、と言いたくなる風景です。

 この、根釧台地は、火山灰性の土地で、地力的に痩せている上に、千島海流に起因する海霧のため日照時間が短く、耕作に適さない地域になるようです。
 結果的に、基幹産業は酪農となり、別海町などは、牛乳の生産量が日本一になっているとの事です。

 ちなみに、風もかなり強い地域らしく、衛星写真や航空写真などで見ると、格子状に配置された防風林の幾何学模様が、広大な台地全域を覆い尽くしているのがわかります。


16071578.jpg
そんな根釧台地をグングン進んで行く。
道路は基本、平坦基調の直進になる。


 人が住む集落の周辺では、多少は農作が行われているものの、基本的に周囲は牧草地が多いらしく、刈り取った牧草がロール状にまとめられている場所なども多く見かけます。
 牧草地内に見える農家や畜舎の姿は、いわゆる「北海道の風景」そのもので、そんな風景がどこまでも続いているように見えます。

 ただし、そんな道筋なので、パイロット国道上にはほとんど日影がなく、また、緩い向かい風の影響もあって、非常に暑さが体に響いてきます。
 途中、暑さに負けて、コンビニに飛び込みます。

 場所は西春別駅前。
 鉄道も駅もないのに、なぜ駅前?と思ったら、かつてはここに鉄道(JR標津線)が走り、西春別駅が町の中心にあったのだとか。
 鉄道自体は、平成元年に廃線となり、地名だけ、「駅前」が残ってしまったようです。
 (今回は事後の机上調査だったので、駅跡などは見に行っていない)

 そして、この辺りから、復路にかかった皆様とのスライドが始まりました。

 西春別駅前のコンビニで補給後、出発すると、あの三船さんとのスライドがありました。
 今回の北海道1200は、60時間くらいで走るという計画のもとで走行しておられるようで、私がスライドした時点では、まだまだ余裕そうでした。

 ちなみに、本当の先頭は、とっくにこの辺りを通過して、さらに先へと進んでいたようです。
 そりゃもう、同じ人間とは思えないレベルの速さでね・・・。


16071579.jpg
そして、さらにまっすぐな道を進む。
別海町に入った。


 別海町に入ったくらいの場所で、カウベルの音がカラカラと響いたので顔を向けると、道路の右側に手製らしい応援看板を掲げた、地元の方(らしい)の応援がありました。
 長々と続く直線路で、かなり精神的にも来るものがあった頃なので、これは非常にうれしかった!

 この、手製の看板は、復路では反対向きに設置されており、そこでもまた、励まされたのでした。
 いやあ、本当にありがたかった!


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ホルスタイン(なのかな?)がいっぱい(笑)。
放牧場で、のんびり長閑に過ごす姿が
目立つようになった。

16071581.jpg
牛の横断注意の標識。
幸い、今回は横断中に出会う事はなかった。

16071582.jpg
それにしても、
いい加減に曲がりたいのだが・・・。


 虹別や西春別駅前などの人工密集地を除けば、ほとんどの区間をまっすぐ、まっすぐ、ひたすらまっすぐ走ってきたので、そろそろ気分的にも、何かが来るものを感じ始めていました。

 平坦基調とはいえ、地形に沿ったアップダウンは多少、あるのですが、基本的に、どこまでも道路をトレースして、いつまでもまっすぐ走る・・・。
 そして、眼前に広がるのは、時折防風林があるものの、基本、地平線まで続く牧草地・・・。

 ツイッターにも、この道路のあまりに長い直線路を画像にした上で、心からの願いとして、「曲がりたい」という一言を流していましたが、本当にそんな気分でした。
 実はこのパイロット国道、全体的に舗装が悪くて、道路の左端を走ろうと思ったら、ガタガタと嫌な振動を全身に受けることになり、かといって振動が少ない場所は、というと、車線のど真ん中、轍がない場所しかないので、ここを走るとなると、後ろからトラックや車が、(場合によっては)高速道路かよっ!という速度で突っ込んでくる、
その恐怖と闘う必要も生じてきます。

 いや~、なかなか、色々な意味で削られます、このまっすぐロードは・・・。

 というか、この道路、「あの地平線越えて」系の歌をうたうアーティストの皆様に、自走で走ってもらったら、格段に表現力が上がると思いますが、どうでしょう?
 「あの地平線を越える」ことがどれだけ困難で、苦痛を伴う自己変革を伴うか、マリアナ海溝並に深くふか~く、理解できると思いますからね・・・。


16071583.jpg
それにしても、君たちはいいねえ・・・。
牛を見て、そんな事を考え始めたら、
危険な兆候かも(^^;)。


 いつまでも、どこまでもまっすぐ走っていると思っていましたが、やがてほんの少しだけ、雰囲気が変わりはじめました。
 道路の左手に樹林が貼り付き、時折、その木々の間から、蛇行した川の流れが見えるようになりました。
 どうやら、別海の市街地を南北に分断する西別川に沿う区間に出たようです。

 GPSの地図には、既に別海の市街地が見え始めています。

 やっと到着したか・・・すごく長く感じたぞ・・・。

 市街地の入口で右折し、PCに設定されている町民体育館を目指します。

PC4チェック(489.9km):11:47

 昼過ぎに到着できれば良い、と思っていたので、ぎりぎり午前中に到着できたのは上出来です。
 また、北見出発時点で、正規時間に対して貯金ゼロ近くまで使っていましたが、ここで正規時間ベースで貯金を約2時間に増やしています。

 暑さと、いつまでもまっすぐな道でうんざりしつつも、そこそこ良いペースで進んできたようです。
 暑かったので10分ぐらい休憩を、と思いつつ休憩所で休んでいると、スタッフのチコリンさんから、「ちゃりけんさんが先に出たよ」とのお話を頂きました。

 その時は、私がお手洗いかどこかに入っている間にすれ違ったのかな、と思っていましたが、どうやら、ちゃりけんさんは、私が西春別駅前のコンビニに立ち寄っている間に先行して、数分の差でPCを出発していたようです。
 納沙布岬までには追い付けるかな、と、こちらも正午頃、別海を出発する事にします。

 さあ、次は通過チェックの納沙布会館。
 そこは東の果ての地、納沙布岬まで数分の場所であるとともに、今回の1,200kmブルベの折り返し地点でもあります。

 納沙布岬を過ぎて、この別海に戻るまでが、今日の行動距離と決めているのと、そこを過ぎれば600kmを越えて、制限時間が緩和されるため、今後の展開が一気に楽になります。

 完走を確実なものにするための第一歩。
 折り返し地点に向けて、相変わらずの炎天下の道に出発しました。

3.大湿原地帯を行く
 別海の市街地を抜けると、周囲は牧草地だけでなく、ほとんど人の手が入っていないような原野に近い環境も目立つようになってきます。
 風蓮湖へと注ぐ川沿いには、昔ながらの泥炭地がそのまま、残っている場所もあるようです。


16071584.jpg
とにかく、最初は相変わらず、
こんな炎天下を進む。


 そして、ここから先は、今までの根釧台地の地形とは異なり、かなり大きなアップダウンを伴う道筋に変わりました。
 別海の市街地を南に抜けた瞬間から、別海温泉の跡地前を通って矢臼別橋に至るまで、長い長い下り坂が始まり、これ、戻る時は登るんだよな、と、ちょっと嫌な気分になる場所もあったりします。

 何度かアップダウンを繰り返して走った後、国道244号との交差点に至る直前に、ちょっと寄り道したい場所があったので、横道に逸れます。


16071585.jpg
奥行臼駅逓
【実走編1】で取り上げた、
本願寺駅逓と同様に、
別海~根室地域の発展に貢献した駅逓。


 この駅逓所は、事前チェックの段階でコースのすぐそばにあったため、事前の机上調査でここにあることはわかっていました(本願寺駅逓は、本当に偶然、撮影していたもの)。

 駅逓所の役目などについては、実走編1をご覧頂くとして、この駅逓所は昭和5年まで、実際に駅逓所として使用された後、昭和56年まで、宿屋や個人の住居としても使用されていたことから、明治43年建築、大正9年に改築された当時の姿を、非常に良好に残しているとの事です。
 残念ながら、現在は修復工事中で、平成30年までは一般公開を中止している状況のようです。

 私が到着した時、ちょうど、ブルベではない、一般の自転車ツーリストスタイルの方がいらっしゃいましたが、その方も修復中である事を残念に思っている様子でした。

 そして、ここから数百メートル南に行った所に、標津線の奥行臼駅がまだ現存していた事に、帰宅後の机上調査で気付き、うがあああ!と悶絶したのでした・・・。

 奥行臼駅の存在は全く知らなかったため、この駅逓所の前でUターンして、コースに復帰し、厚床方面へと進みます。


16071586.jpg
しばらくの間、
こんなアップダウンが続く。

16071587.jpg
風蓮川を渡る辺りで、
道は泥炭地に近い湿地を横断する。
左は歩道転用された旧道路敷?
どうやら、
国道の線形が見直されたらしい。

16071588.jpg
厚床に入り、
行き先表示に、
「納沙布岬」の文字が出た。


 厚床の入口で、ちゃりけんさんに追い付きました。
 暑さでへばった、眠い、との事だったので、厚床市街地に入ってすぐのコンビニに入って休憩します。
 納沙布岬まで、あと55kmほどです。

 ここでは、スタートから当別ダムくらいまで、一緒のパックの中にいたトマゾーさんと再会しました。
 とはいえ、トマゾーさんは既に復路。私達はまだ往路という事で、約120kmほどの差が開いている事になりますが(^^;)。

 ペース配分などの話を聞くと、やはり私などよりずっと速いペースを維持したまま、走り続けているようで、北見のPCに私達が着いた直後に、トマゾーさんは出発されていた様子・・・。
 う~む、今のペースが精一杯な私には、真似できないな~(^^;)。

 納沙布岬は凄い好天である事をお聞きして、互いの幸運を祈ってお別れでした。

 そして、この厚床のコンビニ前では、暑いから、と、私とちゃりけんさんは、本州感覚で水を浴びてジャージを濡らして走ろうとしたら・・・。

 「さ、寒っ!」

 海から吹き付ける風は思ったよりも冷たく、太陽の放射熱で受ける熱量以上に、強烈に体温を奪ってくれたのでした。
 いやあ、何やってんでしょうね、私達(笑)。
 (ってか、アメダス観測で、この時の厚床の気温、21.1℃しかないし)

4.東の果ての地へ
 体を温めるため、そそくさと厚床をスタートします。


16071589.jpg
納沙布岬までの距離が、
どんどん短くなる。
カウントダウンのようで、
見ていて楽しい。


 厚床から根室方面に向かって進むと、蒲鉾のような地形の、尾根筋を走って行くのが実感されるようになりました。
 厚床を出発してしばらくは、最高地点から少し北側を通るため、左手に見えるのは風蓮湖でしょうか。

 道路は、進行方向左手にずらりと防風防雪柵が並び、場所によっては風力発電用の風車がズラッと並ぶなど、風が強い地域である事を実感させてくれる風景があります。
 しかし、この日はこの段階では、風はそれほど意識されない程度であり、気持ちの良いサイクリングが楽しめそうでしたが・・・ここで私の身体に少々、異変が。

 軽い飢餓感というか、急に空腹を意識するようになって、胃袋の上側がシクシクとしはじめて・・・。
 これは、600km以上のブルベでたまに生じる、胃痛の兆候の一つでもあります。潰すには・・・それなりの量の食事をして、胃酸を消化に振り分けることが第一になります。

 ちょうど、ちゃりけんさんも睡魔にやられている様子だったので、道の駅スワン44ねむろにピットインします。


16071590.jpg
伝説の場所。
2年前の、
三船さんのビバークポイント。


 ちゃりけんさんが、昼前くらいから、しきりに睡魔を気にされていますが、そういえば初日と比べて、給水する姿を見ていません。
 もしかすると、熱中症の入口の症状かもしれませんので、余計なお世話かもしれませんが、「もうちょっと水を飲んでみては」と申し出てみました。

 とりあえず、私はここで一旦、食事をすることにして停滞。ちゃりけんさんは、そのまま先行して納沙布岬に向かうとの事です。
 根室市内に、有名な回転寿司のお店があるとの事で、ちょっと心惹かれましたが・・・ここは、帰路も考えて、早目に胃酸を抑えた方が良いでしょう。

 レストランで、期間限定だという「コンコンセット」というメニュー(鴨せいろそばと、いなりずしのセット)を頂きました。
 その際、配膳にレストランの店長らしい方が現れ、「ずいぶん、自転車の方がたくさん来ますが・・・」というテンプレなやりとりが勃発(笑)。
 やはり驚かれました(^^;)。

 食事を終えて外に出ると、なんと、Sさんが休憩中でした。
 今度はSさんとパックを組んで、根室市街地~納沙布岬方面を目指します。


16071591.jpg
温根沼大橋。
今回のコースは、
全体的にPBPのコースに似た流れだ、
という声も聞かれた。


 折り返し地点に近くなった所で、こうやって象徴的なランドマークである大型橋を渡る。
 PBPのコースも、そういえば、折り返し地点のブレストの手前で、こんな形で象徴的なランドマークである橋を渡って行きます。

 ・・・まあ、私はイマイチ、ピンとこないのですがねぇ・・・と言ったら、かなりの皆様から思いっきり、「あ~、ブレストまで行ってないんだったね~(ニヤニヤ)」と煽られましたです。
 やかましわ!(爆笑)

 この、温根沼大橋の周辺の風蓮湖の風景は、日本とは思えないほどに、素晴らしい景観でした。
 折り返してきたら、ちょうど夕日の時間帯になりそうですから、どんな風景に化けるのか、物凄く楽しみです。

 根室市街地は、まあ、市街地らしい交通量の中に放り込まれました。
 そして、ここに至るまでの間にも、多くの参加者との擦れ違いがありましたが、ここで同じ仙台から参加しているOさん、そして、ランドヌール宮城のベテランコンビである、KさんとTさんとの擦れ違いがありました。

 皆様、順調に距離を重ねているようです。こちらも負けていられません。

 根室高校前を通過すると、前方が開けて海が見えました。


16071592.jpg
正面に広がる海。
先程までのオホーツク海ではなく、
太平洋だ。


 先程まで、左手に見えていたのは、オホーツク海。
 そして、今、目にしているのは太平洋です。
 ついにここまで来たのだな、という実感が強くなります。

 同時に、風は強い向かい風に変わりました。
 ほとんど、何も風をさえぎる物がない場所なので、海からの風が直接、吹きつけています。


16071593.jpg
タンネ沼、温根沼の脇を抜け、
双沖、歯舞地区へと向かう。


 双沖地区を抜けるあたりで、Sさんが睡魔につかまったとの事で、一旦停止し、私はそのまま単独で先行します。
 歯舞地区を抜けて高台へと登りあげると、遠くにオーロラタワーが見えはじめました。

 あそこが折り返し地点だ。
 しかし、それが見えてからが遠い(^^;)。

 途中、風力発電の巨大な風車が、ブォンブォンと風切り音を立てながら回っている下を抜け、さらに向かい風が強くなる中、前進を続けます。


16071594.jpg
このモニュメントが見えたら、
もう目的地は近い。

16071595.jpg
納沙布会館に到着。
ここが折り返しのチェックポイントだ。


通過チェック 納沙布会館(567.5km):16:23(手元記録)

 よくここまで、と、待機していたスタッフの皆様に労いの言葉をいただくとともに、帰りの補給食に、と、スポーツ羊羹2切れを差し入れでいただきます。
 補給食は、北見のドロップバッグにまだ予備がありますが、この先を考えると、とてもありがたい差し入れです。

 ご自由にどうぞ、と置いてあったドリンクをいただき、10分ほど、休憩させていただきました。


16071596.jpg
チェックを終わらせた後、
せっかくここまで来たので、
そのまま岬の先端まで行ってきた。


 ついに到着しました。
 ここが今回の旅の折り返し地点。

 そして、日本の国土の中で、一般人が立ち入る事が出来る東の端、East Endです。
 グリニッジ天文台を中心に置いた、国際標準の世界地図の中では、最も東に位置する日本という国の、さらに東の先端。
 East End of the World. という今回のブルベのサブタイトルを象徴する場所でもあります。

 そして、この納沙布岬は霧の名所であり、ここまできれいに晴れ渡る日は珍しいとの事です。
 岬の先端からは、手を伸ばせば届きそうな距離に、歯舞諸島の水晶島が見えています。
 肉眼でも、海岸崖の形がはっきりわかるくらいです。
 北に目を転じれば、水平線の上に黒く、陸地が見えていて、あれが国後島。

 こんなにはっきりと見える物なのですね・・・。


16071597.jpg
岬から北のオホーツク海を見る。
水平線の上に見えるのが、国後島?
肉眼では、もっとはっきり見えた。


 周囲には、北方領土の返還、生き別れになった家族を思う皆様が建てた石碑やモニュメントが多数、並んでいます。
 こんなに近いのに、行くことができない場所。なんだか複雑な気分です。

 ひとしきり感傷に浸ったあとは、さらに長い復路の旅にかかる事にしましょう。

 「帰りは北岸ルートでもいいよ」

 という案内がありましたが・・・。
 ううむ、まだまだ先は長いし、不確定要素をあまり入れたくないからな・・・。

 という訳で、私はまだまだ、参加者たちが頑張ってこちらに向かっているであろう、南岸ルートを選択。
 残り636.7kmの、復路の旅へと向かったのでした。


(続く)



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プロフィール

YO-TA

Author:YO-TA
2011年7月に東京から仙台に移住。
相変わらず、デジカメ片手に、サイクリングやハイキングを楽しんでいます。
突然、突拍子もないことをやらかしますが、それはまあ、ご愛嬌という事で…。

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