日々是遊歩。見て、聞いて、感じて、それを殴り書き。

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あこがれの空の下を PBP2015参加記録 実走編 Part.1

 PBPから帰還して、仙台に戻ったら、急に涼しくなってしまいました。

 成田空港に降り立ったその瞬間は、物凄く暑くて、これからどうやって適応して行こうか、と、戸惑うくらいだったのに、一体どうしたことか・・・。

 まあ、おかげで軽く鼻がグスッている気がしますが・・・ま、気にするレベルの話ではないので、どうにでもなるでしょう。

 では本題です。
 既に、かなり遠い昔の夢の中の出来事のような感覚になって島行っているPBP2015の参加の記憶ですが・・・。
 多分、これって、記憶が美化される前兆なのでしょうね(^^;)。

 いや〜、まず最初に「総括編」を纏めて正解でした。
 苦しい記憶が生々しいうちに記録しておかないと、四年後に響きますからね・・・。

 一方で、こちら、「実走編」はコース上の実走時の状況をできるだけ美化されないままの記憶で、記録しておこうと思いましたが・・・。
 もう既に、一部の記憶は美化されている気がしますので・・・ま、とりあえず、読み物として楽しんで頂ければと思います(^^;)。

 総括編との間で、読み比べて矛盾や乖離がある場合は、総括編の方が正しいと考えて下さい・・・。

 という、何気に怪しい状況ではありますが、以下、PBP2015のコース上の状況を、詳述レポートに起こしてみます。
 興味のある方は、以下のRead moreをクリックして下さい。



 本当に来ちゃったんだな・・・。

 現地時間で8/15日の午後16時頃。
 ベロドロームという自転車競技場を眺めながら、私はそんな事をぼんやり考えていました。

 この日は車体装備がレギュレーションに見合った物かを検査される日でした。
 前日にフランス入りしたので、少々弾丸日程であった事は間違いありません。
 時間を夕方に申告していたため、12時間ほども飛行機のエコノミーシートに閉じ込められ、ギシギシ軋む体でしたが、バイクチェックまで時間があったので・・・。


15082901.jpg
ルイ14世!

15082902.jpg
ヴェルサイユ宮殿!

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凱旋門!

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エッフェル塔!

15082905.jpg
オベリスク!


 という感じの場所も、一応、楽しんできました。

 あ、そうそう、一緒に町を見て回って頂いた皆様の中では、恐らく、最も強烈に印象に残ったのは、この場面だったかと思います。


15082935.jpg
ヴェルサイユ宮殿前にいた、
ツタンカーメン。


 足下に空き缶か何かがある所を見ると、大道芸なんだと思われますが・・・。
 何でこんな場所にツタンカーメンが?という疑問は、恐らく、この画像を見た皆様の全てが、違和感とともに考えた事かと思います。

 そして、その違和感がどんな効果を発していたかと言うと・・・。


15082936.jpg
見事なバリア効果。
半径10mくらいの空間に、
人が近付こうとしない。


 ま、そうなりますよね・・・。

 あれだけ観光客でごった返すヴェルサイユ宮殿だというのに、ここだけピンポイントで無人地帯が発生していたのでした・・・。


15082906.jpg
最後にオマケの一枚。
エッフェル塔を真下から!


 誰が得するんだ、というツッコミは、飲み込んで下さい・・・。

 そんな訳で、色々あったのですが、ここから先は、PBP参加に関するエピソードに絞って話を続けて行きます。
 興味のある方は、以下のRead moreをクリックして下さい。

1.前日、バイクチェック
 さて、こうしてあこがれの地に立った私ですが、そうすんなりと運命の歯車が好転してくれた訳ではありません。
 到着当日の深夜、最初の異変が起きました。

 翌日のバイクチェックに備えて、バイクボックスから車体を引き出し、走れるように組み上げようとすると・・・。

 あれ?工具とライト一式を入れたポーチはどこかな?
 バイクボックスじゃなくて、機内預け入れのトランクの方だったか?

 という訳であっちとこっちをひっくり返して、探して・・・。

 ・・・ない・・・。

 え?
 なんで?

 灯火類と、それ用のニッケル水素電池、車体組み上げ用の工具類だけが、奇麗さっぱり、消えていました・・・。 
 (ちなみに、出発時の持ち物チェックシートを改めた結果、バイクボックスに収めた事を確認していた。また、2015/8/28現在、まだそのポーチを発見できていない。今では、空港で抜き取り盗難されたと考えている)

 こうして、リチウムイオン電池搭載のため、機内持込み品として持ち歩いていたVOLT700以外の灯火と、アーレンキーセット、携帯工具類を装備から欠いた状態でのスタートとなりました・・・。

 って、いや、いやいや!
 その前に、この状態じゃ、バイクチェックに通らないじゃん!
 (灯火、灯具類の数量が不足していた。フロントライト2灯以上、テールランプ1灯以上で常時点灯)

 そんな訳で、一緒に来ていたランドヌール宮城のメンバーから色々借用して、何とか最低限のチェックが通るだけの装備を整え、本装備はスタート地点、ベロドロームで出店が多数出るらしいので、そちらで購入して揃えることとしました。

 そんな訳て、ランドヌール宮城関係者とともに、ベロドロームの車検会場を訪れると、既にそこはお祭り騒ぎになっていました。
 会場に近付くにつれて増えて行く沿道の人々と声援。
 なんだこれ、日本のロードレース会場だと、こんなに盛り上がっているのは、宇都宮のジャパンカップぐらいじゃないか?


15082907.jpg
車検のため出発。
右側通行に戸惑ったのは、
初日くらい。

15082908.jpg
車検会場であるとともに、
翌日、スタート地点になる
ベロドロームで順番待ち。
前方のテントが車検場所。


 そんな戸惑いの中、車検の列に並ぶと、既にそこは多国籍空間。
 周囲を飛び交う各国語の響きを聞きつつ、時折、装備に関して質問のような、確認のような問いかけを受けつつ、先へと進みます。

 最初に、運営より送られてきたPDFファイルのプリントアウトの有無をチェックされ、フレームナンバーを手書きしたシールをフレームに貼られます。
 (ここでファイルの印刷を忘れた人の中には、スマホでPDFファイルを示してOKをもらったとの話もあるが、フランス全体に言えるのだが、人によって対応が大きく異なるので、定められた指示は守るのが良いと思う)

 その先のテントの下で、灯火とブレーキなどのチェックを受けますが・・・。
 私はテントの入口側でチェックを受けた後、先に進めと言われたものの、詰まっていたので待っている間に、何度も呼び止められてチェックを受ける事になりました(都合3回のチェックを受けた。これだけ受けてOKならば、文句は言わせぬ:笑)。

 ちなみに、チェックされたのはライト / テールライトのON / OFF、ブレーキの制動がきちんと効くかと、ハンドル等に変なガタがないか、という感じです。
 (ライト / テールライトのON / OFFは、各参加者が実演。ブレーキは検査員が握って確かめ、ハンドル等は検査員が揺すって確かめていた)

 テントの出口で、PDFファイルの打ち出しにACPのスタンプを押され、駐輪場に駐輪後、ベロドロームに進むように、と、身振り手振りで説明されます。
 (係員によって、英語の場合とフランス語の場合があった。一応、日本人には英語で対応して頂けていた様子)

 そこで時間は18時。
 有志で集合写真を撮る、という時間でもあったため、日本人が集まっている場所を探すと・・・AJ公式ジャージとセットの反射ベストを纏った人達が集まっている場所があります。
 (あの反射ベスト、日本人の目印としては、とてつもなく優秀だった ^^;)

 日本人が集まっている場所は、あそこに間違いない、と、その場に行ってみると・・・。
 撮影は終わった後でした(笑)。
 あちゃ〜、ほんのわずか、間に合わなかった!

 ただし、遠征先で出会った皆様など、パリでの再会を約束した皆様にご挨拶できたのは良かったです。

 一通り、ご挨拶を済ませた後、ベロドロームの施設内に入り、書類等の受け取りを済ませることにします。
 なお、ベロドローム内に入るには、先程、ACPの印を押されたPDFファイルの打ち出しが必要であり、ライダー以外の付き添いが入る事は許されませんでした。


15082909.jpg
ベロドローム内部。
つまりは、自転車用のトラック競技場。
これを国レベルで整備しているんだから、
凄いよなあ・・・。

15082910.jpg
書類受け取り場所へは、
この表示に従って進む。


 最初に、ゼッケンプレート等の受け取りに進みます。
 ここでは、どうやら上に示された国旗の言語での説明が可能です、という形になっていたようなので、ユニオンジャックが示された場所へと進みます。

 フレームナンバーごとに一式、書類がポリ袋内に纏められており、その中に、ジャージや反射ベスト等の引換券も含まれていました。

 「英語大丈夫?」
 「OK」

 そのやり取りの後、書類等について英語で説明を受け、ジャージ受け取り、反射ベスト受け取りへと進みます。
 夕方遅くの受付だったので、既に各窓口は空いており、スムーズに受け取りができました。


15082911.jpg
夕方遅くの時間設定だと、
これ位、空いていたので、
それほど時間がかからなかった、


 ジャージと反射ベストは、その場で試着した方がよい、と、先人の皆様よりの情報で見ていたので、早速、袖を通して見ます。
 私の受け取った個体は、特に問題がなかったようですが、ここで大き過ぎる、小さすぎた、縫製が甘い、などの様々な不具合があった皆様は、すぐに交換を申し出ていたようです。

 さて、その後、私は不足している装備を整えるため、出店へと向かいます。
 結果、フロントライト+予備電池、テールランプ2個、携帯工具等を購入して、しめて150ユーロの臨時出費が発生・・・。
 必要な出費であったとはいえ、痛いなあ・・・。

 また、各装備ともに、いきなり実戦使用というのが、不安点になってくれています。
 フロントライトの明るさ、ランタイムは十分なのか・・・。
 この辺りがぶっつけ本番というのは、何とも不安になりますね。

 ちなみに、PBPのベロドロームの出店では、車体から補給食まで、かなりの物を揃える事ができます。
 このため、特にベテランの皆様の中には、「何も持って来なくても大丈夫」などと言われてしまったりもしますが・・・。

 2015年の開催時には、車体の販売はベロドロームの建物内に限られていました。
 そして、出店がある場所は、バイクチェックを通過した先に限られており、ベロドローム内に入るには、チェック通過証明がないと駄目でしたので、「何も持って来なかったらアウト」でした。
 (少なくとも、最低限の装備がなければ、出店に近付く事さえできなかったのだ)

 まあ、今後参加される皆様は、スタート地点周辺の出店は、「忘れ物をしても、最低限の装備を整える事はできる」程度の物だと考えた方が良いでしょう。
 というか、ここでいきなり新しい装備を整えるよりも、普段から使っている信頼性の高い装備を持ってくる方が、ここ一番の場面において、メンタル的に高いアドバンテージとなるのは明らかです。

 何も持たずに渡航するのは、「経験とノウハウ」を持つ皆様にお任せして、自分が信頼できる車体と装備で固めましょう。

 全てが終わって、宿所に戻りはじめたのが19時頃。
 そろそろ、こちらでは様々な店が閉店してしまいます。
 ベロドローム近くのカルフールで、その日の夕食を買い込んで戻ろうとすると、買物の途中だと言うのに、「閉店だ、もう出ろ〜!」と、警備員に追い立てられます。

 まったく、なんて事だ!

 この、閉店時間というか、店を閉める時の手際の良さを、開店の時にも発揮してくれれば良いものを・・・。

 とにかく、ドタバタした一日を終えて、明日はついに、スタート当日を迎える事となりました。
 ドロップバッグに必要装備を纏め、私は新たに購入したフロントライトの充電を開始して、就寝となりましたが・・・。
 神経が高ぶっているのか、夜中に何度も目が覚めてしまいました。
 これが後に色々と弊害をもたらしてくれるのですが・・・。

2.初日、そしてスタート
 当日午前中、グッディーツアーの皆様に、ルデアックまで運んで頂くドロップバッグを預けると、車体にゼッケンプレート等を装着し、あとは部屋でゴロゴロして過ごしていました。


15082912.jpg
ドロップバッグ詰め込み風景。
これをもう一度下ろして、
番号順に並び替えて、
そして積み直すのだから、
大変な作業だったと思う。


 私は20時スタートだったため、15時頃、宿所を出発してベロドロームへ行き、周辺でゆっくり過ごしてからスタート地点に向かう事にしていました。
 ベロドローム周辺は、昨日以上のお祭り騒ぎでした。


15082913.jpg
お祭り騒ぎになっている
ベロドローム周辺。
ここにいるライダー、
全員がSR持ちなんだよな・・・。


 私たちが到着し、車体置場を確保してしばらくすると、80時間部門の先頭がスタート位置へと進みました。
 人混みがそこに殺到し、物凄い盛り上がりを見せています。

 私はスルッとベロドローム側に回り、先頭集団のスタートを、バルーンゲート付近で見る事ができました。


15082914.jpg
80時間部門の先頭。
この時間の先頭集団は、
PBPがレースだった時代の走りを残していて、
トップタイムでゴールするための
戦いを演じている。

先頭列か二列目の左の方、
灰色のジャージを着て、
微妙にカメラ目線の参加者が、
三船さんだろうか?

15082915.jpg
80時間組のトップグループがスタート。
フランス語のカウントダウンとともに、
物凄い盛り上がりを見せた。


 ほとんど、ロードレースじゃないか?という盛り上がりのスタートを見た後、私はウェルカムミールチケットを忘れたので、同行していた皆様から別れ、車体の見張りも兼ねて、外でゆっくりする事にします。
 事前補給、どうするかなあ、と思っていたら、サンドイッチのワゴン販売があったので、そこの列に並ぶと・・・。

 売り子のお姉さん(タンクトップにホットパンツという、絵に描いたような売り子さん:笑)が近付いてきて、「パン3個で2ユーロだけど、買わない?」と声をかけてきました。
 水は別売で1.8ユーロ。
 うん、日本の物価を知っていると、高い(笑)。

 「水とパン3個セットで3ユーロでどう?」
 「仕方ないわね、いいわ」

 という訳で、事前補給を入手。
 クロワッサン2個と、チョコチップ入りのパン一個。そして、Evianの500mlが一本という、ささやかな食事でしたが・・・。

 その直後、ウェルカムミール班が戻ってきて一言。

 「メシがなかった!」

 ・・・はい?

 どうやら、先行して入っていた参加者達が、想像以上の食欲を発揮したようで、16時以降に入った人達は、わずかに残っていたサラダと、凍ったままのチョコレートケーキの争奪戦を演じたようです。
 これなら、外でパンだのサンドイッチだのを選べた私の方が、余程マシな事前補給をしていたという事に・・・。

 まぁ、色々な事が起きるものですね。
 「イッツブルベ!」ならぬ、「イッツPBP!」という所でしょうか・・・。


15082916.jpg
スタートが進むにつれて、
少しずつ人が少なくなる。


 16時のAグループスタートから、次々とB, C, D・・・とグループのスタートが進むにつれて、周囲からは人の数が減って行きます。
 まあ、そりゃそうでしょうね・・・。
 18時を回ると、かなり周囲が空いてきたな、と実感できるほどになりましたが、日本人はこの後がスタートを迎える人がかなりの数、残っていました。

 ちょうど、スタート列に並ぶ人達が通る通路が近かったため、日本人が通るたびに声をかけ、声援を送ります。
 知り合いの皆様だけでなく、以前からSNSで情報交換させて頂いている皆様、全く面識がないけれど、同じ日本人、という人まであわせて、かなりの数の参加者に声をかけました。

 やがて、19時をまわり、自分達もスタートの順番が近くなったので、自分達も待機列へと向かいます。
 なお、この時、私と一緒にいたメンバーは、私と、ランドヌール宮城のちゃりけんさんと石巻のSさん、仙台在住のTさんの4人でした。


15082917.jpg
待機列へと向かう。
ここで計測チップの
装着状況を確認された。


 計測チップは足首につけろ、と言われていましたが、ここで改めて、左の足首につけろ、という指示が出されます。
 私は右足首につけていたので、慌てて巻き直してOKをもらい、先に進みます・・・が、人によっては右足首でもOKになっていましたので、その辺りは例によって、ケースバイケースという感じなのでしょうか・・・。

 よくわかりません(^^;)。

 前日に車検を行っていたテントで、ブルベカードに出走前サインを頂き、最終待機場所へと向かいます。
 最終待機場所の手前には、日本人参加者が一時的に集合している場所があり、北海道から九州まで、様々な地域からの参加者が声を掛け合っている風景がありました。
 日本人参加者は、約200名だったらしいですが、こうやって集まってみると、確かに多数になっていました。

 前回の開催時には、この待機列に入ってからの待ちが、時間帯によっては非常に長かったらしいのですが、今回はかなりスムーズに流れていました。
 また、水道水が引かれていて、ボトルに自由に水を補給できるようになっていました。


15082918.jpg
待機列からスタート位置への移動。
この坂を押しで登るのが、
意外にキツい(笑)。


 私の属するスタートグループは、T。
 Aからはじまっていますので、相当後方になっています。
 スタート位置につくと、ベロドローム前の芝生広場は、もう人の姿も疎らになっていました。


15082919.jpg
スタートポジション。
緊張と興奮と歓喜が渦巻き、
凄いテンションになっていた。


 スタートポジションに参加者がつくと、フランス語のアナウンスの他、英語で走行中の注意事項についてのアナウンスが入ります。

 「眠くなったら、コースを外れてさっさと寝ましょう」

 の一言が、かなりシュールでしたが・・・(^^;)。

 やがて、スタート時刻が近付き、フランス語でのカウントダウンがはじまります。
 ゼロ、と同時に先頭列が動き始め、スタートラインのセンサーが感応するピピッ!という音が周囲に響き渡ります。

 ゆっくりと動き始めた全体の列は、徐々に速度に乗りはじめ、そして一気に加速しながらベロドローム入口のラウンドアバウトへと突入して行きます。

 それが私の、PBP2015のスタートでした。


15082920.jpg
最初、市内は自転車優先で走れる。
信号も、ラウンドアバウトも、
全てスルー。


 スタート直後、サン=カンタンの市街地は、完全に交通規制状態で、PBP参加者優先で走る事ができました。
 黄色い反射ベストの集団が道路いっぱいに広がり、ノンストップでずんずん先へと進んで行けます。

 沿道には、あちこちに観客が現れ、アレ!アレ!という掛け声や拍手、ハイタッチなど、様々な形での激励を行っています。

 わたしも、とあるラウンドアバウトで、子供達が列になってタッチを求めていたので、スルスルッと近寄って、タッチをかわします。
 パパパパっとタッチして行った最後の子供まで来たら、バッチーン!という衝撃が肩まで響きました。

 どうやら、最後の子供は、思い切り掌を叩き付けてきて、来たようです。
 こちらは走行の勢いも乗っているので、衝撃は骨まで響きました・・・。

 「いってぇ〜、あの糞ガキィ!」

 思わず、大声が口から漏れてしまいましたが、日本語だったので多分セーフ(笑)。

 しかし、多くの皆様から注意されていましたが、この、スタート直後。
 テンションの高さに任せて、実力以上の高速で走ると、後々まで響いてくるという一言がありました。

 今回は・・・少々、引きずられてしまいましたかね(^^;)。
 今思えば、少しテンションが高いまま、相当の高速で走っており、少し落としましょう、という声がかかるくらいでした。

 全く足をつかないまま、数キロをいきなり走り切ってしまい、気付いたら随分久しぶりに、前方の信号が赤になり、車列が停車する所が見えました。
 ああ、ここからは郊外に入って、規制が解除されているのか・・・。

 車列にあわせて止まろうとして、すぐに信号が青になったので、タッチアンドゴーでスタート。


15082921.jpg
郊外に出ると、
周囲は急に開ける。

15082922.jpg
上画像のオリジナルサイズから、
中心部を切り出してみた。
(クリックするとオリジナルサイズで表示)
延々と、どこまでも続く、
反射ベストの列・・・。


 市街化された区画を抜けると、コース周辺は一気に開け、刈り取りが終わった麦畑や牧草地のような場所になりました。
 地形は緩やかな斜面の丘陵地になっているようで、道は登って、下って、を繰り返します。

 ・・・いや、文字通りにアップダウンの繰り返しで、平野が全くない・・・。

 出発前に、色々な方から、PBPのコースには平坦な場所はほとんどない。
 休みのないアップダウン続きのコースだ、と言われていましたが、日本でいう「アップダウンの多いコース」程度の物であり、平坦な場所もきっとあるに違いない、と思っていました。

 が、その認識は完全に誤りで、丘陵地をまともに通過して行く、文字通り休みのないアップダウンコースでした。
 そして、日本とは都市の成立由来が全く異なる(欧州=異民族の侵略に備え、高所に人が集まった)事から、町が近付くと必ず登りになり、最も高所に教会がある、という基本パターンが繰り返されます。

 これは私がDNFを決意して、そして撤退のためにそこまで自走した、カレー・プルーゲルまで続きました。
 恐らく、ブレストまで、ほぼ同様の地形が続いたものと思われます。

 郊外に出て、見晴らしが良くなるのと同時に、少しずつ周囲は暗くなりはじめました。
 時間は21時をまわり、さすがにサマータイムの高緯度圏でも、そろそろ夜の闇が広がりはじめます。

 途中、メンバーのハンドルの固定が緩んでいるトラブルがあったので、一旦停車して、そして再度走りはじめると、周囲は既に半分ほど、闇の世界となっていました。


15082923.jpg
最初の夜が訪れた。
というか、
既に夜になってから、
スタートしていたのだけれど。


 自分達の前方、遥か遠くまで赤いテールランプの列が続いています。
 あれが、噂に聞いていたランタンルージュの光なのだな、と、幻想的な光の列を見ながら思います。

 高速で右に光が流れて行くのは、恐らくラウンドアバウトなのでしょう。
 アップダウンのピークまで上り詰めた先で、空に向かって赤い光の列が伸びているのは、登り坂。
 その先で一旦、暗い空間になっているのが、尾根向こうの下り坂で、その先にさらに赤い光が見えているのが、その先に続くアップダウンなのでしょう。

 この、赤い光の列が続く幻想的な風景は、PBPのナイトライドの時間帯であれば、密度の濃淡はあれど、見る事ができました。
 新月近い月齢と、乾燥した大気の中で、それは驚くほど遠くからも確認する事ができたのでした。

 しかし、それにしても、どこまでノンストップで走り続けているのか・・・。
 気がつけば、スタートから約80kmほどを、全く地面に足をつかずに走っています。
 さすがにそろそろ一休みしましょう、という事で、深夜まで営業していたバーで給水と補給をする事にします(PBPの期間中だけ、深夜まで営業する店があるらしい)。


15082924.jpg
深夜営業中のバーで、
他の大勢の参加者とともに、
補給休憩。

15082925.jpg
後から後から、
大勢の参加者がやってくる。


 一息を入れると、再度コースに戻りますがそろそろ、冷え込みも顕著に感じられるようになってきました。
 道路脇でウインドブレーカーや防寒具を身に着ける参加者が増えはじめ、バス停らしい道端の小屋では、銀色のエマージェンシーシートに包まって仮眠中らしい参加者の姿が見られるようになってきます。
 今までは、露天でゴロ寝だったのに、体を冷やさないような対応が必要になってきているようです。

 私は、スタート時点で薄手のメリノーウールのアンダーを着用し、先程のバーストップの間に、オンヨネベストの上にPBP公式ベストを重ね着する事で体幹の保温に務めていたので問題はありませんでしたが、ぼちぼち、寒さへの対応を考えた方が良さそうです。

 しばらく進むと、右側に赤いテールランプが多数、集まっている場所がありました。

 「ウォーター!カフェー!」

 近付いて行くと、そんな声がかかっています。どうやら、私設エイドのようです。
 一旦停車して、暖かいコーヒーを頂く事にしました。
 次から次へと、参加者が集まってきて、ボトルに水を補給してもらったり、コーヒーをもらったりしています。
 冷え込んできたこの時間帯にあって、温かいコーヒーは非常に有り難い飲み物でした。


15082926.jpg
最初の私設エイド。
多くの参加者が立ち寄っていた。


 体を温め直した後、リスタートして途中の食事休憩ポイントを目指しますが・・・そこに至る前に、私は、最初の睡魔との戦いになるのでした。

3.最初の睡魔との戦い
 私設エイドを出てしばらくして、私の体が急に重く感じられるようになりました。

 あ、これは・・・いつもの睡魔だ。
 後ろを走っていたSさんも、時折、フラッと右に吸い込まれるようにふらつく姿から、それを察していたようです。
 小さな町に差し掛かった所で、5分仮眠しましょう、との提案を受けて、とある民家の壁に背を預けます。

 しかし、急に眠りに落ちる事ができるはずもなく、悶々としているうちに、アラームが鳴って仮眠時間終了。
 Sさんは寝息を立てていましたが、私は寝たのかどうか、わからぬまま、再度、車体にまたがって前進する事になりました。

 その後、AJたまがわの皆様のグループに混ぜて頂き、誰かと会話をしながら走る事で、何とか睡魔を紛らして、食事休憩ポイントに到着。
 先行していたちゃりけんさんとTさん、遅れ気味だったSさんとも合流できましたが、ペースが合わないTさんは、ここからは先行して走る事に。
 ちゃりけんさんとSさん、私の三人で、再度、パックを組む事にして前進を続けました。


15082927.jpg
再び暗闇の道を進む。

AJ公式反射ベストは、
ご覧の通り、
反射材面積が小さく、
ほとんど目立たなかった。

PBP公式ベストのように、
縦に大きな反射材が欲しい。


 この先で、やはり私は睡魔にやられそうになり、また、坂が苦手なSさんはアップダウン区間で少々遅れ気味になる事もあって、ちゃりけんさんと無駄話をしながら進む時間が多かった気がします。

 その後、とある女性参加者を追い越した時、「日本人の方ですか?」との声がかかります。
 パック外から、久々にかかった日本語に、「え?」と反応してしまいます。

 聞けば、つい先日の栗駒600にも参加されていた方だとの事で、思わぬ所で縁があったものです。

 PBPでは日本人参加者に対して、夜中でも女性一人で走らせている事について、厳しい目を向けられているとの話があることから、半ば・・・というか、ほぼこちらからの押し売りで、朝まで同行する事にします。

 まあ・・・少しゆっくりのペースで、かつ、話し相手がいれば、私の睡魔もどうにかできるだろう、という魂胆もあったりしますが・・・。

 途中、2度目の私設エイドにお世話になり、そこでベルリン勤務だったというフランス人のお爺さんと、色々な話をしました。
 寒さ対策のために、5〜6枚のジャージを重ね着しているなど、かなりの重装備でしたが・・・。

 「グッドラック、トゥーユー!」
 「ユートゥー!」

 快活な挨拶を残して、未明の寒気の中に走り去って行く、元気なお爺さんでした。


15082928.jpg
空が白んできた。

15082929.jpg
初めて川らしい川を渡った。
コース中、渡河ポイントなんて、
何か所あっただろう?
(日本と比較すると、極端に少ない)


 明け方になり、周囲を走る参加者の姿が、近くに、遠くに確認できるようになりました。
 周囲は相変わらずの丘陵地帯で、周囲の景色も相変わらずです。

 まもなくPC1という段階になって、物凄く長い距離に渡って続く、緩い登り坂が現れました。
 台湾人らしい人を前に、緩い緩い坂を、追いついたちゃりけんさんとともに登って行きます。

 不意に後ろから車が現れた時、反射的に出た言葉が、

 「オートモービル、カミーング!」

 だったのには、自分でも驚きましたが・・・。
 (オートモービル:Automobile carよりも、自動車というニュアンスをはっきり表す事が多いようなので、マレーシア滞在時に「自動車」の意味を伝えたい時に使っていたのが、癖になっていたようだ)


15082930.jpg
あと10kmでPC1という時に、
GIANT社のサポートがある、
との標識が出た。


 さすが、世界最大の自転車メーカー、GIANT社。
 こういう、世界規模のイベントにおいて、サポートを展開するだけの力と余裕があるようです。
 (日本のいくつかのイベントでも、同様のサービスを展開している時がある)

 こういう姿勢は、素直に素晴らしいと思ってしまいますね。
 世界的に信頼を獲得している事も、頷けます。

 日本のメーカーにも、こういう姿勢は見習って欲しい、と思うものの・・・資本力に差があり過ぎますかね(^^;)。


15082931.jpg
長い長い緩い登り坂。
どうやら、
二日目は晴天に恵まれそうだ。

15082932.jpg
最後に教会が見えて、
登りは終わる。
いつものパターンだ。


 この長い登りで、Sさんと日本人女性の方がはぐれてしまっていたので、しばらくここで到着を待ちます。

 「ヘイ、ジャパン!」

 そう声がかかって、インドからの参加者だ、という方が停車しました。

 「PCまで何キロかわかるかい?」
 「あと8キロほどだよ」
 「それにしても寒いな。防寒具を持って来るんだった。お前達は大丈夫か?」
 「俺達も寒い。この気候は、日本の冬と同じだ」
 「おお、寒いわけだよ!」

 というような内容の会話を、英語でかわします。

 「じゃあ、グッドラック!」

 そう言い交わすと、インドからの参加者は、先に進んで行きました。
 私たちはSさんらが合流するのと同時に、前進を再開します。


15082933.jpg
明るくなったからか、
町中に色々な激励の飾りがある事に
気付いた。

"ブレストへ 水平線を目指せ"
とでも書いてあるのだと思う。


 長い長い登りの果てに行き着いた教会から、明るくなった道を進むと、前方に何やら賑やかな場所が現れました。
 徐々に濃くなりはじめた朝霧の中、バルーンゲートが見えてきます。


15082934.jpg
それがPC1、
ヴィレンヌだった。

GIANTのサービスブースが、
右手に見える。


 最初の220kmがここで終わりました。

 とりあえずは、第一区間は終了です。
 これで全体の1/6をクリア。そして、これと同じ距離を、もう一度、クリアすれば、ドロップバッグがあるルデアック。

 そう考えると、短いのやら、長いのやら・・・。

 まだまだ序盤をクリアしたばかりだからな、と、言い聞かせると、DJブースらしい場所から、「4人の日本人が到着だ〜!」的なフランス語のアナウンスが流れているのを横目に、駐輪場へと車体を停めたのでした。


(続く)



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コメント
大変お世話になりました。
仙台在住のTこと、トマゾーです。
ちゃりけんさんのブログから飛んできました。

この度は、PBP前日のパリ観光から、大変お世話になりました。
今後とも、色々とお世話になるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
2015/08/31(月) 23:58 | URL | トマゾー #-[ コメントの編集]
Re: 大変お世話になりました。
トマゾーさん、コメントありがとうございます。

PBPでは大変お世話になりました!
無事の完走、おめでとうございます!

今思えば、序盤は足を引っ張っていたのではないかと心配しています(^^;)。
いやあ、それにしても、楽しい日々でしたね!

宮城ブルベにも、ぜひ、顔を出して下さい!
2015/09/01(火) 17:29 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
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Author:YO-TA
2011年7月に東京から仙台に移住。
相変わらず、デジカメ片手に、サイクリングやハイキングを楽しんでいます。
突然、突拍子もないことをやらかしますが、それはまあ、ご愛嬌という事で…。

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