日々是遊歩。見て、聞いて、感じて、それを殴り書き。

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東北ブルベ史上最高難度のコースに挑む。 BRM720宮城600 Part.1

 ブルベ終了後、すぐに泊まりがけの出張に出たりしていたため、レポートの執筆開始が大幅に遅れていました。

 まあ、どう足掻いてもブルベは「プライベートな時間の遊び」ですから、「パブリックな時間」である仕事をおろそかにしては成り立たないので仕方がありません。
 記憶が薄れないうちに、プロットは色々、書き溜めてあるので、今回からレポートを開始します。

 では本題です。
 今年のSR取得をかけた、シリーズ最長距離の600kmブルベ、BRM720宮城600に参加してきました。

 このブルベは、北関東に本拠地を置くAJ宇都宮さんとの共同開催のブルベです。
 AJ宇都宮さんといえば・・・「最後の最後まで坂を登らせる山岳コース」というイメージが強い訳ですが、今回のブルベも強烈です。

 何といっても、600kmの積算獲得標高が、7,200mオーバー。
 あと一息でSR600じゃないか!というレベルの山岳っぷりです(AJ宇都宮さんの方では、宇都宮ブルベ史上、最高難度の600なんていう話も出ていたとか・・・。それなら、東北史上最高難度だよ)。
 通常だと、600kmのコースなら積算獲得標高は6,000m前後ですから、どれだけ強烈な場所を走るのかは、大体、ご想像頂ける通りです。

 噂では、ゆくゆくはSR600より厳しいコースにしてやろう、という目論見があるそうですが、マジで勘弁して下さい。
 いやもう、今の段階でお腹いっぱいすぎますから・・・。

 それにしても、ブルベの前日〜直前には、色々と大変なことが起きる、というのがパターンになってきている私ですが、今回のブルベは、いつもに輪をかけて、色々な騒ぎが起こっていました。

 本番の2週間前までは、少々、仕事が忙しくなりそうな気配はあったものの、それだけ、という程度でした。
 そして実は、前泊を一緒に、というお誘いもあったため、喜んでそれに飛びつかせて頂いたりもしていたのですが・・・。

 その後、あっという間に仕事のスケジュールが詰まってきて、最後の最後まで確保してあった前日、そして週明けすぐの空白日にも出張の予定が組まれてしまい、かなり絶望感が漂う状況に・・・。
 出張先は、前後どちらも新幹線移動という事で、かなりハードな日程になってしまいそうです・・・。

 結果的に、前日は夜中に、同じブルベにチャレンジする漬物さんに拾って頂き、スタート地点まで運んで頂く事になりました。

 そしてむかえたブルベ前日。
 仕事の出張の方は、なかなか面白い内容の物であり、本業的には充実した時間を過ごす事ができました。

 そして、とんぼ返りで出張先(青森県弘前市)から仙台に戻ると、既に19時頃。
 いつものブルベなら、荷物をまとめて全泊先へ移動を開始するか、既に移動中の時間でしたが、翌週の準備のために、また一仕事を片付けなければならないと言う状況で・・・。

 それらを終わらせたら、時間は21時を回っていました。
 今更、ネカフェやサウナに行くのも馬鹿馬鹿しいので、会社内で車体を組み、荷物を整理して着替えると、打ち合わせスペースの椅子を繋ぎあわせて簡易寝台を組み、「俺はもう寝るぞ!」と宣言し、タオルをかぶって仮眠体勢に移行します。

 ・・・が。

 金曜だというのに、こういう時に限って飲みにも行かずに仕事(残業)をしている連中が多かったりして、組み上げた車体を見て「おい、これ何だ?」とか、仕事の事で「ちょっとわからん事があるから教えてくれ」的な話を持ち込む奴らが後を絶たず・・・。

 やっと静かになったのは、23時を回った頃だったでしょうか?
 それから、午前1時くらいまでは、意識が飛んだかどうか、という程度に体を休める事ができたものの・・・「寝た」とはとても言えない状況になっていました。

 まあ、それでも今回は600km。
 制限時間も長いから、途中で寝る時間も作れるよ、と、安易に考え、待ち合わせ場所へと移動し、無事、漬物さんと合流を果たしました。

 そして、自転車談義・ブルベ談義に花を咲かせながら、寒河江市のスタート地点となる駐車場へと移動します。

 到着したのは、3:30頃。
 既に参加者と思われる皆様が駐車場で待機中・・・と、思ったら、窓の外にヘッドランプの明かりが。
 何方か、スタッフの方がいらっしゃったのか、と思い、漬物さんと、隣のマスに車を止めていた(というか、先に止まっていたので、その横につけた:笑)ごとーさんも車から出て挨拶すると・・・。

 職質なう(笑)。
 (2013年7月20日 3:34のツイートより)

 ・・・どうやら、スタート地点に設定されていたゆーチェリーの駐車場をはじめ、山形県内では最近、車上荒らしが多発しているため、警察も警戒を強化し、パトロールをしているようでした・・・。

 ちなみに、警察官の方に呼び止められたりした際には、こちらから挨拶するなり何なりした上で、先に身分証明書等を提示すると、職質時間は短く済みます。
 (そんなに受けてるんかい!と言われてしまうかもしれないが、まあ実際、ここ2年間で、よく受けたんだな・・・。警戒区域が解けていなかった地域で色々、活動していた時期があったから)


13072301.jpg
やがて夜が明けてきた。
この日は夏とは思えぬほどの低温で、
この時間帯は夏装備だと震えるくらいだった。


 その後、駐車場では消防団の皆様が訓練で展開したり、と、少々賑やかな状態になったりした所で、徐々に周囲が明るくなり、何となく皆様の姿形がわかるようになってきた所で、参加者同士のご挨拶がかわされます。
 既にご一緒していた漬物さん、ごとーさんはじめ、ちゃりけんさんうにょんさん、ランドヌール宮城スタッフのKさん、Sさんや、ブログを読んでいる、という皆様、本当に多数の方にご挨拶させて頂きました。

 2年前の秋には、全くソロだった事を考えたら、信じられないくらい、顔見知りの方が増えてきましたね・・・。

 そして受付ブースが設置され、参加者受付と車検を開始。
 今回から、スタッフ業の一環として、車検を担当する事になっていたので、車検係として、何人かの皆様の車検を行います。
 車検をしていると、皆様の車体装備を間近に見られるという、副次的な実益があったりするのが・・・?

 車検も一通り終わると、ブリーフィングが開始され、コース上の注意事項が説明されます。
 この日の二日前、山形県内は記録的な大雨に見舞われ、水害により道路が寸断されたりしていた地域もあったため、場所によってはその影響が考えられる、という話が出ました。

 実際、18日から19日深夜にかけて、コースの一部が冠水により通行止めになっていたのですよね・・・。
 20日朝の段階では、通行止めは解除されていましたが、「片側通行」になっているという、ちょっとした不安材料があったりしましたが・・・。

 そして午前5時。
 「それではスタートして下さい!」の号令とともに、参加者一同は各自のタイミングでスタートして行きます。

 私は先頭集団の最後尾あたりにつけて、まだ寝静まったままの寒河江の町へと走り出しました。

 という所で、本編部分は裏置きです。
 興味のある方は、以下のRead moreをクリックして下さい。

1.大雨の爪痕を越えて快走

13072302.jpg
夜明け直後の寒河江の町。
午前中は薄曇りの時間帯が多く、
熱中症の心配はそれほどでもなかった。


 実際の出走者数は20名程度なので、先頭集団、といっても、約半分がそれに属している事になります。
 周囲をうかがうと、楽山さん、ちゃりけんさん、K関さんら、宮城ブルベ常連の中でも快速系の皆様をはじめ、夏油TTの年代別チャンピオンであるスピードマンのごとーさんが先頭を引き、かなりのハイペースで流れているようです。

 これだけのペースで進んで、大丈夫かな、と思ったものの、特について行くのがしんどい訳ではないので、そのままついていく事にします。


13072303.jpg
この段階から、
コースは微妙にアップダウンを繰り返している。
宇都宮出発組は、
300km走ってからここを通るのか・・・。


 ただし、快速走行にあわせて走っているため、普段なら足を止めて撮影するような場所も、目で見るだけでスルーしてしまう事が何度か(^^;)。
 道路の間近にある、ハケの出水による滝とか、ダム湖の水面から立ち上る川霧とか、そういうオイシイ場面を横目でチラチラチェックしつつも、前走者との差が開き過ぎないように注意しつつ前進を続けます。


13072304.jpg
前日までの雨の影響か、
まだ早朝であるためか、
とにかく雲が低い。
大した標高の山ではないのだが、
中腹より下まで雲に覆われている。


 雲が低いためか、場所によっては風で流れてきたらしい霧雨が顔に当たり、ヒヤリとした感触を伝えてくる事もありました。


13072305.jpg
五月雨を あつめ過ぎだぞ 最上川
(読み人知らず)


 コースは最上川沿いを上流方向へと進んで行きますが、何度か交錯する河川の川面が、大雨の影響で濁り、かなりダイナミックな姿になっている所も多くありました。
 とある場所では、巨大な流木(根っこと葉っぱ付き。つまり、斜面から崩れ落ちてすぐの樹木)が、波間に浮き沈みしている姿を見せられたりもして、この時の大雨被害がどんな物だったのか、嫌でもうかがい知る事ができるような場面もありました。


13072306.jpg
途中のアップダウンで中切れが発生。
朝日町の市街地を抜けると、
集団の人数は半分くらいになっていた。


 朝日町の市街地にかかる直前くらいのアップダウン地帯で、先行する集団から脱落しはじめる人達が出始めます。
 私はここで、巨大なサドルバッグを装備した車重を活かし、下りで得た速度をそのまま登りに転じて一気に数名を追い越し、先頭集団に再合流しました。


13072307.jpg
コースは白鷹町に入ると、
なだらかな斜面をトラバースするようになるため、
前方の視界が一気に開ける。

13072308.jpg
霧が発生していなければ、
この辺りの景観が物凄かったはず。
昨年4月、丸森から七ヶ宿を経て、
この付近まで走ってきたときには、
雄大過ぎる風景に感動しっ放しだった。


 これだけ開けて広大な視界の風景の中、風もほとんどないために、集団はペースを維持したまま、快走を続けます。
 このまま、PC1まで到達してしまうのか、と思いましたが・・・。


13072309.jpg
少々、道路が怪しくなりはじめた。
この泥と、丸太は・・・?

13072310.jpg
と思っていたらすぐに、
泥土堆積が酷い区間に出た。
どうやらここが、
冠水通行止めになっていた区間らしい。


 ここがどうやら、大雨の影響が著しかった区間なのでしょう。
 道路と交差する河川から、両岸に500mほどの範囲に渡って路面は泥で汚れ、川に近い100mほどの範囲は、路上に泥土や流木が堆積し、家屋の中には、1階の窓が破壊され、床が泥で埋まっているような物もありました。

 これは・・・冠水というレベルの被害ではなく、もはや土石流災害の現場、と言った方が、実際の状態をイメージし易い状況なのではないでしょうか?
 記録的な大雨で、コース近くでも孤立した集落等があった事は、事前のニュースや道路情報を見てチェックしていましたが、実際の現場を見ると・・・ううむ。

 しかし、被害はとにかく局所的であったためか、1kmも走ってしまえば、先程の泥土に埋まった景色が嘘だったかのように、「普通の道」が復活しました。
 これは治水技術を褒めるべきか、どうなのか・・・。


13072311.jpg
コースは飯豊町に入る。
さらに遠くまで、
見通しが利くようになった。


 県道10号沿いを走って行くと、昨年の丸森ー飯豊コースで折り返し地点になっていたコンビニなど、見覚えのある風景がいくつか出てきます。
 ここまで来たら、PC1はもうすぐです。

 PC1チェック:6:58

 さすがに想定以上のハイスピードで走ってきただけあって、当初予測の到着時間を30分以上、上回ってのチェックでした。

 ここで、途中のコース状況を宮城側本部に報告。
 寒河江スタート組は大丈夫でしょうが、宇都宮スタート組の皆様は、夜、暗くなってから、あの洪水被害の跡を通るのですから、危険性を喚起しておく必要があるでしょう。

 なお、現段階でこの日の宇都宮スタート組の皆様のレポートを見ていると、大きな影響はなかったようで、安心しました(^^;)。

2.変調到来の峠越え
 PC1では、一緒の集団で滑り込んだごとーさん、追いついてきたうにょんさん、漬物さんや、途中、洪水被害の撮影で先頭集団を離脱された楽山さんなどの皆様にご挨拶。
 本当の先頭メンバーは、その間に出発してしまい、ごとーさんは慌ててその後を追いかけて行きました。

 私はボトルにドリンクの補充を行うとともに、会社で支給された救急キットに入っていた米国製の非常食で補給。
 40gで200kcalという「ブタの素」そのものの固形物ですが、これが何というか・・・。

 小麦粉と大豆粉末をココナツミルクで練り固め、キャラメルかザラメ糖を熱で溶かしたシロップを"つなぎ"にして固めて焼いた、という感じの・・・。

 ・・・言葉を選ぶのが面倒なのでストレートに言ってしまえば、まずいと言うしかないシロモノでした。

 あの震災時、このキットを開いた同僚の中には、「これを食うくらいなら、1時間待ってパンを買う」と町へと出て行ったという逸話があるのも頷けます。
 と同時に、米国製でなく、日本製の栄養補助食品の数々が、カロリー量・価格・消費期限の面では遅れをとっていても、日常食としても優れた味覚特性を持っている事が、とても素晴らしい事である事を思い出させてくれました・・・。

 まあいい、次に行くか、と、PC1を出発します。
 そしてこの非常食が、この後、またちょっとしたトラブルの種になってくれたりする事に、この時は気付いていませんでした・・・。

 PC1からしばらくは、昨年4月の丸森ー飯豊ブルベと同じコースを走ります。
 漬物さんとのファーストコンタクト地点を過ぎ、県道250号を羽前小松駅方面へと進みます。


13072312.jpg
最初に「峠」とつく峠。
諏訪峠を越える。

13072313.jpg
ん?こんなイベントがある・・・?
いや、「あった」のか・・・。


 小松の交差点付近で、うにょんさんが追いついて来られ、しばらくは一緒に前後して走ります。
 前回、十和田ブルベではニアミスしていながら、互いに気付かずスルーしていたという、ちょっと不思議な状態になっていましたね、そういえば・・・(^^;)。


13072314.jpg
この時間帯になると、
晴れ間が広がりはじめた。

13072315.jpg
スカイバレーに続く道に入ると、
空はすっかり青空になっていた。


 米沢市街地を掠めて、県道233号〜234号を南へと進みます。
 米沢市付近では、フラットな農地の中を走りましたが、ここから先は登り基調の道になります。

 そしてここから先が前半のハイライト、白布峠を越える道筋になります。
 この峠は標高1,500mほどにもなる峠で、山形県と福島県の県境にもなっています。

 また、福島側はヒルクライムレースのコースにもなっており、南東北では自転車で越える難所としても知られている場所です。
 「今回は北側からだから楽だよ」という話を何名かの方から聞いていましたが・・・さてさて・・・。


13072316.jpg
この峠に続く道は、
なぜか少々変わった絵柄の標識が多かった。

このアルビノ?のニホンザルとか、
ニホンカモシカとか・・・。
距離表示も、
「もうすぐ!」「あとすこし!」など、
ツッコみたくなる物が多かった(^^;)。


 ところで私はこの段階で、少々集中力が低下してきている事を意識せざるを得ませんでした。
 先程、腹に収めた非常食が、どうももたれると言うか何というか。
 補給時点で、豊富に含まれている、というよりも、ダイレクトに植物油脂の塊を食べた(ホントにそんな味がした)という感じがして、嫌な後味が残っていたのですが、その後味が妙な違和感になって腹部〜食道の中で暴れている感じがします。
 おかげで、普段だったら絶対に車体を止めて写真を撮るであろう、立派な東屋まで建てられた湧水をスルーしてしまったり、その他にも色々あった見所を見落としたりしてしまっていました。

 ちょっと状況をリセットしよう、と、県道2号に接続するポイントの自販機で停止し、この段階で体が欲するままにコーラをドーピングします。
 何人かの参加者に追い越されましたが、この時点では「まだまだ後から追いつけるだろう」なんて楽観的に考えていました。

 登坂を再開し、川を渡ると、道の勾配が急に増してきます。
 ギアを軽い方へ、軽い方へと落として行き、なるべく負荷をかけないように気をつけて走ります。

 そして、この段階でまた別の問題が発生。
 この日、私はコンプレッションタイプのレッグカバーを使用していたのですが・・・締め付けがキツ過ぎるのか、徐々にカバーを装着している部分の筋肉に、筋肉痛のような症状が出てきてしまいました。
 そんなに急にトルクをかけたり、ギシギシと思いギアを踏んでいる訳でもないのに、これはおかしいぞ・・・?

 そう思って、レッグカバーを引きずり下ろすと、先程までの筋肉痛のような症状はすっかり消えて、いつもの感覚で足を回す事ができるようになりました。
 ・・・そういえば、以前、私はコンプレッションタイプのソックスで失敗した事もあったよな・・・と、苦い記憶を掘り起こしつつ、両足のレッグカバーをずり下ろし、ルーズソックス状態にして走る事にしました。


13072317.jpg
やがて道は白布温泉街に突入。

・・・うぐ、この坂は・・・。


 白布温泉街に入ると、道の勾配は急激に急になり、恐らく15%程度は楽にあるだろ、と言いたくなるような急坂が出現します。

 インナーロー、34×27Tでも、ギッシギッシ、というゆっくりしたペースでしか動けません。
 ケイデンスは60を切り、速度も5km/hを上回る事はないという状態で、ゆっくりゆっくり、登坂をせざるを得ません。
 一度、ダンシングで登坂してやろうかと思いましたが、suewという重量物が後ろにくっついているためか、強くハンドルを引きつけるとすぐに前輪が浮いてウイリーしてしまいそうな、そんな感覚を覚えます。

 宇都宮スタート組は、帰りにこれを登るのか・・・。
 先にこれをクリアしておけるのは、幸運だ、と、そう考えて何とか踏みこたえます。

 何とか超絶的な激坂区間をクリアし、白布温泉街を抜けます。
 さあ、後は白布峠を越えれば、しばらくは下り基調だ!と思い、温泉街を抜けた先の、わずかな距離の下りを通過中に・・・何だか、意識の中に、ふうっと霧のような物がかかった感覚があり、頭が少し重くなった・・・という感じがありました。
 全く初めての感覚だったので、何だろう急に、とは思ったものの、目の前に峠の登りが現れたので、そのまま、先を急ぐ事にします。

 白布峠の最後の登りにかかると、空は完全に晴天になり、標高の高さもあって、ジリジリと背中を焼くような、そんな感じの天気になってきました。


13072318.jpg
時々現れる標高表示。
最初は喜んでみていたが、
やがてウンザリするように・・・。


 白布峠の登りが本格化しはじめてしばらく経って、体の違和感が想定外のレベルになっている事に気付きます。
 いかに登坂が苦手とはいえ、普段であればそれなりの速度で登って行けるような斜度の範囲でも、何だか全身に力が入らず、意思に反してフラフラと蛇行を繰り返します。

 サイコンの速度表示は、4km/h。
 ・・・嘘だろ、ちょっと遅過ぎるだろ、と、体に鞭打って、普段、この勾配ならこれ位の速度は出せる、というラインまで頑張って踏み込んでみると、8〜10km/h程度は出ているようです。

 しかし、それは今の体では頑張って出せる速度であり、長時間出せる力ではありません。
 なぜだ?と、相変わらず靄がかかったような頭で考えてみますが・・・。

 ハンガーノックかと思い、手持ちのジェルを補給してみましたが、特に変化はありません。
 例の非常食のブロックを口にしてみましたが、喉が嚥下を拒否するようにウエッとなるので、水で無理矢理流し込みますが、嫌な後味が残っただけで変化はありません。
 熱中症かとも思いましたが、日差しが強い事を除けば、空気は冷たく快適であり、それほど暑さを感じる事はありません。

 木陰を選んで停止する事を、何度も繰り返します。
 途中で、前泊を一緒にしないか、と声をかけて下さったTさんが追いついてきて、梅入りの補給食を食べるか聞かれましたが、今は固形物が喉を通らないため、とにかく上まで登る事を伝えて先に行って頂きます。

 ほとんどの皆様に抜かれながら、体調不良の原因を考えると、いくつか思いついた中の最後に、「睡魔」という言葉が浮かんできました。
 午前中の気温が高くなりはじめた時間帯、張りつめた気を緩めた瞬間に意識の中に忍び込んできて、全身のパフォーマンスの大幅低下を招いてくれるアレです。

 ・・・うむ、前夜は徹夜も同然である事を考えたら、完全に一致するな・・・。

 そして、それと意識すると、睡魔の攻撃はさらに強烈な物になり、蛇行もさらに激しくなり、休憩停止の回数もどんどん多くなって行きます。
 少し広い駐車帯みたいな場所で、一旦大休止を取りたいと思いましたが、この高度だとあまり樹木が育たないため、そんな場所は炎天に晒されていて、休憩に適した場所とはとても思えませんでした。


13072319.jpg
それでも不動滝の写真を撮ってた。
我ながら、なんか執念めいているな(^^;)。


 そんな事を考えつつフラフラ走っていると、ガードワイヤーの切れ間が視界に入ります。
 もう限界も限界を感じていたので、車体をガードワイヤーに立てかけ、道路外側のコンクリート基礎に腰掛ける形でしばし目を閉じてみます。

 ちょうど通りかかった漬物さんに、随分心配をおかけしてしまったようですが、自分が何を受け答えしたか、実はあまりはっきり覚えておらず・・・(^^;)。
 フッと意識が落ちたとは思いますが、首の後ろが日光にジリジリ焼かれる不快感ですぐに返ってきてしまい、仮眠失敗。
 仕方がないので、とにかく木陰を探しつつ、先を進む事にします。


13072320.jpg
そして到達した西吾妻トンネル。
これを越えれば、
峠の頂上はすぐだという意識があった。
(実際には、温泉街から峠までの半分くらい・・・)


 もうここまで来ているなら、先を急いでも大丈夫だろう、という思いが強くなりましたが、トンネル内のひんやりとした空気が気持ちよく、ここで寝てしまいたいという衝動と戦うのは、かなりの精神力を要しました・・・。
 いや、中に待避所があったら、本当にそこで寝ていたかもです(^^;)。


13072321.jpg
トンネル出口の左手、
深い谷を挟んだ彼方の尾根に見えた滝。
双竜の滝、という名で良いのかな?

13072322.jpg
最上川源流の碑も撮影。
仮眠場所を求めて近付いたものの、
そんな場所はなくコースに戻ったのは内緒だ。

13072323.jpg
振り返って見れば、
目線より高い場所に尾根がない。
ずいぶん高くまで登ってきた。


 もうすぐ峠が近いはずだ、という意識があったため、多少、精神的な余裕が復活したようです。
 ただし、時間は峠の頂上への到達予測時間を大幅に過ぎており、デッドエンド時間が近付いているのが実態です。

 相変わらず、足は全然回らず、蛇行を繰り返しています。
 ドリンクも、2本持っていましたがどんどん少なくなり、もうあとはただの水が1/3程度残っているだけになっています。

 そんなとき、「お疲れさまですー!」という声に振り返ると、自転車乗りが一人、後方から接近してきて、そのままのペースで追い越して行きました。
 反射ベストを身に着けていない所を見ると、地元のローディーでしょう。

 「ブルベの人ですよね、大丈夫ですかー」
 「いや、さっきから眠くてしんどいんですよ」
 「もうすぐ、ホントにもうすぐ頂上ですから!もう一息っすよ!」

 そんな激励を受けて、少しだけ力が復活します。

 地元ローディーの方の言葉通り、次のカーブを曲がると開けた場所が前方に見え始め、もう一度、カーブを曲がったらそこに駐車場が現れました。
 その反対側の木陰には、擬木のベンチが・・・。

 もう、ここしかない!と思い、後ろから来た参加者には「寝て行きます」と声をかけて、ベンチまで車体を引きずって行きます。
 通過デッドエンド時間までは約10分あったので、アラームを10分後にセットしてベンチに横になります。

 霞がかかったようだった意識が、瞬時に深い霧の中に落ちたように感じ・・・た瞬間にアラームが耳元で鳴り響きました。
 10分間が一瞬で過ぎたかのように感じました。

 起き上がると、頭の靄は幾分か薄くなった気がします。
 よし、これなら行けるかな、と思い立ち上がった・・・と同時に、先程から胃の中で暴れていたものが一気に込み上げてきて・・・リバース。
 口にしてから2〜3時間ほど経っているはずなのに、ほとんど消化された様子もない非常食が、そのまま口から飛び出しました。
 粉と油脂の塊にしか感じられませんでしたから、消化が遅く、運動中に食べるようなシロモノではなかったのかも知れません。

 口に残った胃液などを流すため、貴重な水を全て消費・・・。
 しかし、これをやらないと、歯がボロボロになって虫歯の原因になってしまいますから仕方がありません。


13072324.jpg
そんなこんなを経てから、
コースに復帰。
既に通過デッドエンド時間を過ぎており、
下りでどこまで時間を詰められるかが勝負だ。


 少し寝て、胃の中身がなくなった事から、ずいぶん体は楽になった気がします。
 峠の駐車場からのわずかな登りをこなすと、そこが峠の頂上でした。


13072325.jpg
時間の余裕はないのだが、
ここからの長い下りに備え、
レインスーツを羽織ったりするため停車。
そのついでに記念撮影。


 デッドエンド時間は、15.5km/hでノンストップ走行の条件で出している物ですから、下りで速度が上がれば、多少はそれを下回る経過時間で先に進む事ができます。
 物凄く長い信号待ちが連続しない限り、郊外の道でそれに再度。追いつかれる事はないだろう、と考えて峠の下りにかかります。

 一度停止して汗が冷えていたためか、レインスーツを羽織っても風は体に冷たく、歯の根が合わないくらいにガチガチと震えが襲ってきます。


13072326.jpg
たまらず、途中の展望スペースで停車。
檜原湖がよく見えている。

13072327.jpg
と、視線を下げれば、
これから行く道が・・・。


 今からこのクネクネ曲がる道を下り、あの桧原湖岸を南下して、猪苗代湖の北へと向かう。
 こうやって見ると、ずいぶん遠い距離に見えますが、下り基調なので、大体、一時間程度で到着・・・できればいいな。
 まあ、いつも通りに行けば良い。

 既に時間に貯金がないので、焦る気持ちがある反面、どうせ下り基調で、15.5km/hの倍の速度は簡単に出せるので問題ない、という思いもあって、楽観的なのか悲観的なのかわからない気分で先を急ぎます。


13072328.jpg
桧原湖岸を南下。
猪苗代湖方面へと下り基調の道を進む。


 途中、自販機でドリンクを補充し、ついでに低標高域まで降りてきたのでレインスーツを脱いでサドルバッグに縛り付けると、そのまま下り基調の道を進み続けます。
 そこから先は、白布峠での不調が嘘のように、一気に道を進む事ができました。

 PC2チェック:12:50

 ぎょえ〜!
 PC1から6時間もかかったのか!
 (当初想定では5時間弱程度で到着する見込みを立てていた)

 しかもPC1の段階で、デッドエンドに対して1時間半も稼いでいた貯金が、ほぼゼロになっています。
 (白布峠の段階でゼロからマイナスになり、その後の下り基調の道を走って何とか少しだけ取り戻したが、パンク修理もままならない程度しか残っていない)

 このタイムロスは、この先、思わぬ所まで尾を引きそうだな・・・。
 その予感が的中するのは、それから12時間以上経った後の話になります。



(Part.2に続く)


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コメント
筋肉痛が
お疲れ様でした。白布でオイラもかなり脚を使ってしまい、というより使わざるを得なくて、その後響きました。もう木曜なのにいまだに筋肉痛が残っています。つらかったね~!
2013/07/25(木) 16:33 | URL | 下りのみ俊足系のちゃりけん #4A9T8td.[ コメントの編集]
Re: 筋肉痛が
ちゃりけんさん、お疲れ様でした。
そして完走、おめでとうございます!

序盤の100kmから、いきなりきっついコースでしたね・・・。
といっても、私は半分しか走れていないのですが(^^;)。

私は筋肉痛は残りませんでしたが、PC6付近でDNF後、
輪行中はとにかく寝て、寝て、寝て、寝まくりになるくらい消耗していました。

しかし、途中で終ってしまったため、
今年はSRを逃してしまいました・・・。
次に600を走るとしても、1000の直前か直後という、
ちょっと厳しい状況だったりします。
2013/07/25(木) 20:26 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
No title
毎度のことですが読みごたえがありますね~

福島は17年間住んでいたので庭ですが
自転車で走ったことはないのです
まー自転車始めて2年ですからね(^^)

では
YO-TAサンの健闘を画面で応援させていただきます

早く疲れが取れるといいですね
2013/07/25(木) 22:30 | URL | cos69 #uRckqWJE[ コメントの編集]
Re: No title
cos69さん、コメントありがとうございます。

よくよく考えたら、私はこちらに来て2年目で、東北六県全てを自転車で走っていますね・・・(^^;)。
福島の会津地方は、今回初めてでしたが、良い場所でしたね!
制限時間なしで走ってみたい場所でもあります。

ブルベの疲労は、おかげさまでずいぶん軽くなっています。
雨さえ降らなければ、自転車通勤を再開したいのですがねぇ〜。
(梅雨前線は、いつまでここに居座るつもりなのやら)
2013/07/26(金) 00:23 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
凄い観察力!!
僕なんて全然どこをどう走ったのか覚えてないのに、さすがは観察系と呼ばれる程の凄まじい観察力と記憶力だと思います。
正直痛いとか苦しいとかもういやだーとかそういう事しか覚えてません(´ε` )
あとちゃりけんさんは登り苦手とか言いながら普通にやたら速いうえにゴール後も余裕ぶっこいてたイメージが…
2013/07/26(金) 00:32 | URL | ごとー #DL7C8m6w[ コメントの編集]
Re: 凄い観察力!!
ごとーさん、ありがとうございます。

いやー、これでも今回は記憶の混濁が激しくて、
どっちが先でどっちが後だったのか、分からなくなっているエピソードが色々あります(^^;)。
特に、ナイトライドに入ってからは、写真記録も残っていないので、
何があったのかを思い出すだけでも大変だったり・・・。

次回からは、暗くて手ぶれピンボケ確定でも、
何かしら節目の記録は残すか、
ボイスレコーダーの導入を本気で考えようかと思っています(^^;)。
2013/07/26(金) 09:00 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
No title
お疲れ様でした。
スタート前からかなりの寝不足だったんですね。
それでも体力・気力を削りながら、風景写真を撮ってるあたりは、習慣というか執念というか、まあ、さすがですw。

楽しいレポートだけでなく、今回の夜明けの一枚や晴れあがっていく空など、臨場感にあふれたきれいな写真もいつも楽しみにしています。
次回は是非、夜景写真にも挑戦してみてください(ムチャブリ)。
2013/07/27(土) 07:34 | URL | いわん #-[ コメントの編集]
Re: No title
いわんさん、コメントありがとうございます。

いや、我ながら、やめときゃいいのに、と思う時もあるのですよ、写真撮影(^^;)。
でも、記憶を繋ぎ止め、思い出す時のトリガーにもなりますから、
時間&体力に余裕がある時は、できるだけ撮り続けようと思っています。

夜景写真ですか・・・。
長時間露光ですね〜(^^;)。
そんな余裕を持って走れるかどうか・・・。
(いや、過去にやってましたね、真っ暗画像:笑)
2013/07/28(日) 01:32 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
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Author:YO-TA
2011年7月に東京から仙台に移住。
相変わらず、デジカメ片手に、サイクリングやハイキングを楽しんでいます。
突然、突拍子もないことをやらかしますが、それはまあ、ご愛嬌という事で…。

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