日々是遊歩。見て、聞いて、感じて、それを殴り書き。

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あの山越えて海が見える BRM608群馬400 Part.2

 週末のブルベが終わってから、仙台は霧雨の日々が続いています。

 私のブルベハイシーズンが終わると同時に、見事に梅雨入りしてしまったようです。
 (次回までは一ヶ月、間があくからね・・・)

 そして現在、仙台では毎年恒例の「オクトーバーフェスタ」が開かれています。
 何で6月にオクトーバーなのか、という謎はさておき、この霧雨の肌寒い日に、大騒ぎしながらビールを飲んでいる皆様を見ると・・・。

 雨でも走るランドヌールに通じる何かを感じてしまいます(←違)。

 では本題です。
 BRM608群馬400、私にとっては2本目の400kmのブルベですが、峠を越えたらまた峠、という「峠峠峠峠峠」な山岳コースな上に、峠以外の部分も、細かいアップダウンを繰り返しているという、地味に脚を削られ続けるコースでした。
 逆に言えば、アップダウンを繰り返す間に、がっつり峠を越えるという感じで・・・。
 正午過ぎに越えた三国峠で、既にウンザリ感が出始めていたのに、その後も次々峠を越えて、「大蛇の住む場所」である八箇峠へと至りました。

 ここから先、さらに十日町の市街地へ下りてから、中山峠を越えて柏崎市へと向かいますが・・・。

 八箇峠の段階で、時間は16時半を回っていました。
 本当に日没までに、柏崎市の海岸まで到達できるのか・・・。

 という所で、詳細は裏置きしました。
 興味のある皆様は、以下のRead moreをクリックして下さい。

1.日本を代表する大河川をもうひとつ


13061101.jpg
八箇トンネルを抜け、
十日町市街地近くまで来た。


 八箇峠から十日町市街地までは、かなり急な下りが続く道筋であり、撮影のための数秒とはいえ、ハンドルから手を放すのが危険そうで、画像撮影の余裕もありませんでした。
 まあ、下り基調で、ガンガンに飛ばせる場所ではありましたが、雪国の宿命で、舗装の傷みが激しかったのでね・・・(結構、振動がね ^^;)。


13061102.jpg
そして十日町市街地直前。
これは植物の枝を押えるパネル?
何だか不思議な構造物だ。


 十日町市街地で、信号待ちが多くなったためか、久々に前後に参加者がいる状況になりました。
 何だか、市街地だけ、グループ走をしているような、そんな気分になってきます。


13061103.jpg
そして信濃川を渡る。
利根川に続き、
日本を代表する大河川、
二つ目を渡った事になる。


 さすがに400kmもの距離を走るコースだけに、随分スケールが大きな話になってきました。
 太平洋側と日本海側の、両方を代表する大河川を渡って進む、しかも、12時間以内に、自転車で、と、そんな事を一般の皆様に信じて頂くのは難しいかもしれません。

 しかし、ブルベを走っていると、そんな事も可能になってしまうのが不思議な話です。
 以前走った神奈川400でも、太平洋から天竜川の上流端まで、12時間以内に走っていますしね・・・。

 それにしても、日が随分西に傾いてきました。
 日没は確か、19時頃だったはずですが、それまでに柏崎に辿り着けるのでしょうか・・・。


13061104.jpg
それにしても、
正面の河岸段丘。
真っ平らだな・・・。

画像では見えないが、
斜面には崖面補強のコンクリート枠が、
びっしり埋め込まれている。

13061105.jpg
その河岸段丘から落ちる滝。
止まって撮影。
この時、後続の皆様に、
例によって何してんの?という視線を受けた。


 段丘面の落差がそのまま、滝になったという感じで、近くで見ると、結構な迫力がありましたね。
 ちなみに、地形図から読み取った限り、段丘面の落差は30~40m。
 ううむ、これは結構な落差だな(^^;)。

 この先で段丘面の下段から上段の平場までを、斜めにくり抜いたような構造のトンネルを抜け、段丘上の住宅地を抜けて、国道252号へ。
 252号を西に進み、PC2までの最後の峠、山中峠越えに挑みます。

2.夕日に向かって走れ!
 昭和50年代の青春ドラマか、と言いたくなりますが、山中峠越えの道が下の画像の通りだったので仕方がありません。


13061106.jpg
真正面に夕日。
超絶的に眩しいが、
まあ、西に向かうのだから仕方ない。

13061107.jpg
画像中央、家屋の屋根に、
まともに夕日が反射している。

太陽相手なら仕方がない、
で終わるところが、
人工物が相手だと、
単純に眩しいだけでなく、
腹立たしくなってくるのが不思議。


 国道252号の登りも、激坂というレベルの物ではないのですが、長々と同じような斜度が続く、嫌らしさ満点の道筋でした。
 左手に、梅雨に備えてか、随分大胆に水量を落としたダム湖が見え、それを過ぎたら・・・。


13061108.jpg
思ったよりずっと早く、
出口の見えないトンネルが登場!
なんだ、今度の峠は早かったな!


 この時点で、山中峠を越えたのか、なんて単純に思っていました・・・が。

 このトンネルは、越ヶ沢トンネルという別のトンネルで、中山峠の前座でした・・・。
 このトンネルを抜けた先、急激に高度が落ちて行くので、このまま柏崎まで・・・と思ったのですが、そう簡単な話ではなく、道の駅瀬替えの郷せんだを過ぎた所でふたたび道は登り返します。

 そこで先行していた参加者を一名、追い越して、前方に見えるトンネルに近付いたら・・・。

 こっちが本当の山中トンネルでした(^^;)。

 しかし、どちらのトンネルも長くて、誤解するには十分だった・・・と言い訳しておきましょう(^^;)。
 とにかく、これで前半の主だった峠は全て通過。
 あとは国道252号沿いに、柏崎市街地を目指すだけです。


13061109.jpg
途中、鯖石川沿いに出た所で、
またまた河岸段丘地形から落ちる滝。
形もさっきの滝に似ているぞ?
落差は10m程度しかないけど。


 河岸段丘は、もともと河川の河道筋の周囲が隆起し、形成された地形ですから、地下水や表流水が豊富であり、こうした「ハケ」と呼ばれる小水流や湧水があちこちに生じる物です。
 東京では、野川沿いに国分寺崖線が通っていて、野川公園などはこのハケの水を利用した自然公園が整備されていたりもしますが・・・。
 (東京時代、野川公園辺りが奥多摩まで走る時のルートだったので、たまに立ち寄っていた)

 さて、気になる時間の方は、この時点で既に18時近くなっており、そろそろ日陰で手持ち撮影は、手ブレ補正機能付きのデジカメでもキツくなってきました。
 しかも、滝撮影のために、F値を絞り込んでいるので、シャッタースピードが遅くなり、4枚撮影して、最も写りが良い画像でも、何となくぶれているような・・・。

 しかし、あまり時間をかけていられないので、先を急ぐことに・・・


13061110.jpg
と、こういう時に限って、
色々見つけてしまう。

真正面から夕日を受け、
水田に虹色の反射が出来ていた。
肉眼ではもっと奇麗だったのだが・・・。

13061111.jpg
余計な事をやっているうちに、
西日が本格的にオレンジになってきた。


 夕暮れがどんどん迫ってきています。
 道を進んでいるのは間違いありませんが、明るいうちに日本海にたどり着けるのか、段々不安になってきました・・・。

3.あの山越えて海が・・・
 相変わらず道筋は、微妙なアップダウンを繰り返しながら先を進みます。
 今までと違うのは、微妙に下りの長さが長くなってきた事と、平坦なコースが多くなってきた事くらいでしょうか。

 コースは、この先、国道252号を、跨線橋を越えるまで直進なのですが、一直線に続く場所になっても、前後に全く参加者が見えないので、徐々に不安になってきます(ちなみに、ブルベで使っている蛍光色のベストは、かなり遠くにいる参加者も、一目でそれとわかる位、物凄く目立つ)。
 本当にこの道筋で大丈夫かな、と思いはじめた頃に、行先案内の青看板が出たり、路線表示のオニギリが出たりして、やっぱり合ってるなあ、なんて思い直しながら進んで行きます。

 いい加減、周囲に薄暗さが広がりはじめた頃になって、前方に橋梁を思わせる路面の盛り上がりが見えてきました。


13061112.jpg
これが信越本線を越える、
跨線橋だった。
その向こうに見えるのが、
柏崎市街地!


 ここまでが凄く遠かった・・・。
 PC1を出てから、既に6時間半が経過。
 やっと次のPC到着が見えてきました。

 と・・・。
 跨線橋を越えた所の信号で止まっていると、汽笛の音とともに、柏崎方面から鉄道が近付いてくる音がします。
 先頭は牽引用の機関車で、かなりの編成の客車を牽引しているようです。

 そのサイドに、目立って目を引く黄色いライン・・・。
 あ、あれは!

 トワイライトエクスプレスじゃないかっ!


13061125.jpg
慌ててカメラを取り出し、撮影!
何とか、最後尾の車両だけは撮った。

なお、「鉄」な皆様には、
撮影技術的な物は、
要求されても困る状況だった事を
ご容赦願いたい。


 何という偶然!
 トワイライトエクスプレスは、土曜日は大阪初札幌行きの編成が運行されている筈ですが、ブルベのコース上で、そんなに都合よく姿を見られるような物ではないはず。
 この日、この車両を見かけた方は、他にいるのでしょうか?

 もし、私が唯一の存在だったら・・・ふふふふふ(←気持ち悪っ!)。

 それにしても、PC1の後閑駅ではSL。
 PC2手前の信越本線上でトワイライトエクスプレス。

 どんだけ鉄分が充実したブルベなんだろ・・・。

 妙に幸運をもらった気分で、柏崎市街地へと走行を再開します。


13061113.jpg
直後、見覚えのある空色のアンカーが、
右脇を通る。
通り抜けた後ろ姿を、
沈みゆく夕日とともに撮影。
(ヘロっていたので、差が開いている ^^;)


 おお、今のアンカーは、がんちょさん!
 先程、パンク停止中に声がけ頂き、修理も終わった所だったので先行して頂いたと思っていましたが、ここで後方から登場。
 途中のコンビニで補給している間に、私が再度先行していたようです。


13061114.jpg
その後、柏崎市街地では、
前を先導して頂いた。


 いやあ、ゴミゴミした市街地走行で、停止中などに声を掛け合える相手がいて下さるのはありがたい!
 しかも、今回はPC1~2の間の距離が、思った以上に離れており、精神的にも少々、来る物があったので、なおさらです。

 市街地でも、微妙なアップダウンがある事に愚痴ったり、先行する車体の後ろ姿からホイールが・・・という事に気付いてしまったり、通り過ぎる女の子のTシャツの色が、どう見ても反射ベストの黄色に見えたりと、そんなどうでも良い事を話しながら海岸線に出ます。


13061115.jpg
ギリギリ、間に合った!
ほぼ日没間際の日本海。


 ギリギリ、間に合いました。
 まだ明るい日本海です。

 あの山越えて、海が見えた!

 ほどなく、PC2に到着。
 AJ群馬のスタッフの皆様が待ち構える中、駐車場に滑り込みました。

 PC2チェック:19:00

 ジャストタイム!
 とてもどうでも良い事ですが、最後にちょっとした奇跡を起こし、日本海に沈む夕日を見送ったのでした・・・。

4.トワイライトの海岸線で
 PC2では、がんちょさんと、もうお一方、ニコ生自転車部ジャージの方とともに補給をします。
 これまでのコースの事と、この先の事で、色々情報を交換します。

 この先、PC3までの約40kmは、平坦な道になりそうです。

 ・・・と、言いつつ。

 ルートラボでは省略されるような、微妙なアップダウンが続くのではないか?という意見で一致を見る所が、ここまでのコースを走ってきたメンバーらしい所です(笑)。

 それぞれのペースで走行準備を開始し、それぞれのタイミングでPC2を出発。
 私は3人のうちで最後に出発となりました。

 まだまだ薄暮の時間帯とはいえ、間もなく闇に沈む事が簡単に予測できるような暗さが、中天を越えて東から西へと広がっています。
 その様子を見て、完全ナイトライド装備に換装してPC2を出発します。


13061116.jpg
今回のブルベでの、
個人的にはベストショット。

トワイライトブルーに沈む日本海。
※画像補正なし。縮小のみ。


 PC2を出てしばらくは、漁港沿いの静かな道を進みます。


13061117.jpg
途中で通ったトンネル。
もう扁額を読めないくらい、
暗くなっていた。

このトンネルの脇に、
歩行者専用の小さなトンネルがあった。
(内部照明なし。この時間に使う人はまず居まい)
昔はそちらのみ使われていたのが、
自動車時代になって、
こちらを掘り直したような雰囲気があった。


 PC2で話していた、海岸線主体のフラットルート・・・という想定は、やはりというか、見事に外れ。
 国道8号沿いに出ると、細かいアップダウンを繰り返す、嫌らしい道に早変わりする事になりました。

 そして・・・。
 この辺りから、少しずつ、私の中の歯車が狂いはじめて行った。
 今思い出せば、そんな気がします。

5.ナイトライドPart.1 暗闇の中へ
 国道8号は、実家の近くも通っている路線なので、名前だけは馴染みがあります(^^;)。
 こんな所まで来た事は・・・あったかな?なかったかな?
 富山~親不知海岸までは、行った事がある・・・記憶があるけれど、アレは北陸自動車道だったか?

 まあそれはさておき、一桁番号の直轄整備路線だけあって、さすがに道路の幅員も十分、要所要所の外灯整備も進んでおり、路面は舗装も奇麗で、デリネーターやマーカーライトも、特にRがきついカーブにはふんだんに設置されています。
 もっとも、同じ直轄国道と言っても、先月の夜中に走った国道20号(甲州街道のこと。首都圏から甲信地区に直結する路線)と比べたら、見劣りするのは仕方がないですが・・・。


13061118.jpg
で、個人的にツボにはまった発光標識。


 普通、これは「動物注意」の黄色菱形標識にすると思いますが、余程、ここでは動物との衝突事故が多いのでしょう。
 確かに、道路のすぐ脇が山の斜面で、背の高い草が生い茂っている環境ですから、タヌキ、イタチ、キツネ、テンあたりは、飛び出してくるでしょうね。

 それはさておき、心配なのがこの先の右折ポイント。
 ブリーフィングでも、「曲がる目印がない」「暗くてわかり辛い」等々、現地で十分に注意するように言われていました。

 実際、時間は夕暮れを越えて、完全に暗くなってしまったため、周囲の景色もほとんど見る事が出来ません。
 耳元で鳴る風の音に、周期的に混じるノイズのような音が、どうやら波音らしい、というのがわかる程度です。

 そんな時間帯に、「目印がない」なんていう場所を曲がれと・・・。
 ま、私は道路左側に、カートレース場のような施設があるので、その看板が出ているから大丈夫だろうと思ったのですが・・・。

 そんな看板はない!

 うわあ、マジで目印らしい物がない(笑)。
 しかも、時間は夜。
 月齢は新月で、月明かりもない、という、まさに無理ゲーな状況。

 とにかく、右側に注意しつつ、キューシートの指示辺りのポイントに来ると、そこにあったのは・・・。


13061119.jpg
・・・えっと。
もしかして、これ?


 ・・・これは確かにわかり辛い(笑)。
 「押しボタン式信号を越えて、500mほど行った、下り坂の降り口!」
 サイコンの距離表示と、キューシートに示された総距離、そして、ブリーフィングで2度か3度か繰り返された説明を付き合わせると、状況的に符合するポイントは、ここしかありません。

 本当にここか?と思って道路左側を見ると、何らか広いオープンスペースがあるようで、恐らくこれがカートレース場なのでしょう。
 スマホのGPSで見ても、現在地は確かに曲がりどころを示しています。
 これで間違いないようです。

 それにしても、ナトリウム灯でここだけが照らされているとはいえ、何も考えずに前方だけを見ていたら、右に落ち込む路面が闇に消えているので、交差点だとは全く気付かなかったでしょう。
 右側をずっと見ていても、どこかのお宅に通じる細街路を、一瞬、コース方向の曲がり角と間違ったくらいなのですから・・・。
 (曲がる前に、さすがに違うと気付いたけどね・・・)

 さて、ここからは本格的も本格的なナイトライドだな、と考えを改めて、道路を通る車の切れ目を狙って、暗闇の横道へと滑り降りて行きました。

 ここから先は、港町と温泉旅館街を足したような町並みの中を走って行きますが・・・。
 外灯も少ない暗い住宅地の中なので、イマイチ、自分の走っている場所が掴めません。

 今の角は曲がるべきだったのか、まだ先なのか、それとも見当違いの道に流れているのか・・・。
 道路地図、地形図、衛星写真などで何度も辿ったはずの道なのに、道形が暗闇に紛れ、ランドマークにしていた建物が暗闇の中で見通せず、場合によっては停車してスマホのGPSで確認する事も何度か。
 ここに来て、コマ図をちゃんと見ていなかった事を後悔しはじめました。

 コマ図もどうやら完璧な物ではなかったらしいのですが、少なくとも、交差点の周辺に何があるか、概略配置はわかります。
 それが全くわからない状態で、全く土地勘のない場所を、しかも暗闇の夜を走るのは、かなりの困難をともなう作業です。

 わかっていたはずなのに、今までがそんなに苦労をしなかったので、軽く考えていたようです。
 ブルベの400kmは、2回目以降が本当に苦しい。
 そんな言葉が脳裏を掠めて通ります。

 途中、住宅地の片隅で、パンク修理中の参加者に出会い、思わず声をかけてしまいます。
 相手の方が大丈夫か確かめる、というよりも、誰かと言葉を交わす事で、自分が何らかの安心感を得たかった、という感じでもありました。
 パンク自体は大した事がない事。
 通りかかった参加者に、チューブを提供してもらったため、修理もすぐ終わりそうな事を聞き、大丈夫そうだな、と判断されたため、それでは、と、先を急がせて頂く事にしました。


13061120.jpg
住宅街からさらに暗い海岸線に下りて、
前方に見えた火力発電所。
工場萌属性の皆様、どうぞ。


 住宅地から海岸線に下りる道を行くと、さらに暗闇が待っていましたが・・・。
 ここが結構なデートスポットのようで、海岸からは波音に混じって、若い男女の色んな声が聞こえてきます。
 ふと気になった車の方を見たら、ヘルメット灯で、いちゃこらingの姿を照らしてしまってゴメンナサイな瞬間もあったりも・・・。

 あ、ちなみに、ライト構成は、EL540-Lowモードメインで、EL520を前輪の直前位置を照らす角度と、ヘルメット上に設置する形で走っています。
 この三本だけで、この日の夜も走る事が出来ました(暗順応し易い目に感謝)。

 一方で、ここから先のコースをどこかで誤解していたらしく、調子に乗って直進を続けたら、港湾の封鎖区画のゲートに行き当たってしまってUターン。
 曲がった場所が一本早くて、全然違う方向に行きかけてUターン。
 狭い範囲で20分ほど、うろちょろウロチョロ、ミスコースを連発します。

 地図確認で、港湾沿いの道路から、左に曲がって、踏切か跨線橋手前にあるセブンイレブンの角を右に、と覚えていたのですが・・・。
 港湾沿いの道路から左に曲がり、セブンイレブンまでの距離が異様に近い場所ならあったものの、記憶に符合するポイントはない。
 あれ?と思ったら、どうやらセブンイレブンが潰れて、予備校になっていたようで・・・。

 コマ図をチェックしていれば、避けられたミスだったはずで、これには本気でガクーッとなりました・・・。

 30分ほどを無駄にして、直江津駅前方面へと、正しいルートで進みます。
 この辺り、飲み屋さん街でもあるらしく、しかも、通行時が二次会への移動時間に当たってしまったらしく、酔っぱらいがフラフラ道路上を歩いているので、速度を上げられるはずもなく・・・。

 「頑張れチャリンコー!」

 という謎の声援を受けたりもしつつ、通過(^^;)。
 ・・・謎の疲労感が残りました・・・。
 (ちなみに、市街地に入ってからは、ヘルメット灯はOFFにしていた。夜間、市街地で変に目立つと、面倒な事にもなるから)

 直江津駅前の雑踏を抜け、一気に南下する道に入ったら、間もなくPC3が見えてきました。

 PC3チェック:21:38

 近いはずの場所が、やたら遠くに感じたのは、なぜなのでしょうか・・・。
 (まあ、ミスコースを連発していたからなのでしょうが)

 そして、ここからPC4までは、最初平坦ですが、すぐにまた峠越えが待っています。

 新月の夜の、峠越え。
 ブルベの、真の醍醐味が味わえる時間帯になるでしょうか?

 そしてこの先、夜という事もあって、私の画像撮影枚数は、ほぼゼロになってしまいます。

6.ナイトライドPart.2 そして真夜中の峠へ
 PC3を出発して、そこからは国道292号飯山街道に乗るまで、平坦基調の道をまっすぐ南下。
 そして292号沿いに峠を越えて、飯山市へと向かい、千曲川沿いを中野市へ向かうルートです。

 まずはPC3を出発して、ひたすら南下。
 最後の渋峠越えに向けて、平坦区間で出来れば時間を稼ぎたい所です。

 しかし、市街地が思った以上に長く、信号に何度も捕まって、思うように進めません。
 スタート直後の、高崎~渋川間と同じジレンマに捕われはじめます。

 と、反対車線側を走って行く、ブルベ装備の3~4名ほどの一団が居たのは・・・何だったのだろう?

 ちょっと不思議に思いましたが、すぐに南下を再開。
 周囲のファーストフード店内に、蛍光色のベストがチラッと見えたりして、何となくニヤリとさせられる一幕もあったりしました。

 まあ、市街地ではそんなに無理をしても意味がない。
 なので、市街地を南に抜けたらスピードアップだ、と思っていたのですが・・・。

 国道292号の南下区間に合流し、ほどなく市街地を離れ、郊外の道に入りました。
 ここから、徐々にスピードアップして行き・・・って、何かがおかしい。

 脚は回っているのに、トルクはちゃんとかかっているのに、速度表示が上がらない。
 ギアをもう一枚上げて回してみても、思った以上に伸びて行かない・・・。

 道は平坦に見える場所。
 風向きは・・・各商店とも、夜になって幟や旗を片付けてしまったので、目印になる物がありませんが、速度に大きな影響が出るほど強い風は、止まっていても感じません。

 ハンガーノック?いや、補給は十分。むしろ食べ過ぎかもしれない。
 インシュリンショック?甘い物は食べていない。炭水化物は摂ったが。

 では、別の原因が何かあるはず・・・なのですが、それがさっぱりわからない。

 そして、当初考えていた区間別の想定走行時間を下回りはじめ、焦りが徐々に出てきます。
 ダメだ、一旦休憩を入れよう、と、目についたコンビニに車体を引き込み、ドリンクと一口ようかんを補給。

 そしてこの時、首と両肩が異様に強張っている事に気付きました。
 そういえば、この首の違和感は、PC2でEL520一基をヘルメットに装着した直後から感じていたな・・・。
 あの時は、急に頭上の重量が増えたからだろう、と、そう思っていましたが、随分しつこいな。神奈川400では、すぐに気にならなくなったのに。

 まあしかし、それよりも現在地がどの辺りか気になったので、スマホのGPSを起動。
 直進南下区間が終わり、292号沿いに東へと交差点を曲がる、ちょうどその直前のコンビニだったようです。

 それなら、さっさと前進を再開しようと出発準備をしていると、間隔をあけて、2人の参加者がコンビニ前を通過。
 二人目の参加者は、私に気付いて声がけを頂きました。

 この先は、外灯も少ない場所だと聞いていますから、先行する人がいるなら、つかず離れずの距離で行動できれば都合が良いかもな、と思って再出発しました。

 が、全く追いつけない・・・。
 交差点を曲がった後は、かなりはっきりした登り基調の直線路なのに、その先に、さっき通ったばかりの参加者のテールランプが全く見えません・・・。
 速度表示が伸びないのも相変わらずで、脳は力を出せと指示を出しているのに、筋肉がそれを処理し切れていないか、拒否しているかのような、変な違和感が体にずっとつきまとい続けています。

 やがて国道292号は、さらに山深い方に進路を右に変え、コースもそれに従い、山の中へと入って行きます。
 「飯 山 方 面 →」
 と、遠目にもわかるド派手な表示がライトの光を反射し、右折方向へと行き先を示してくれました。

 さあ、ここから飯山・中野方面に向けて、深夜の峠越えです。
 時間は22時半~23時の間頃(だったと思う)。

 これから明け方の3時くらいまでが、夜の闇の中でも、最も闇の深い時間帯。
 太陽は、完全に地球の裏側に回ってしまっています。

 そして、ここからは月も出ていない、真の闇夜の中を走る事になるのでした。

7.ナイトライドPart.3 深い闇の中で
 最後の峠越え区間に入ってしばらくは、近年に改修されたばかりのような、きれいな道筋を走りました。

 ・・・と。
 100mほど前方から、明るいライトを縦に2~3個並べた乗り物が近付いてくるのが見えます。
 引き返してきた参加者のようです。

 ん?落とし物かな?と思っていると、その参加者は、50mほど前方にあった橋の袂から分岐する細路、私の進行方向に対して左の分岐へと折れて行ってしまいました。

 え?

 コースは国道292号を直進のはず。
 そっちに行ったら、全然見当違いの場所に行ってしまうのでは?
 そう思って、慌ててダンシングで分岐まで行くと、テールランプが闇の中へと消えて行くのが見えます。
 「おーい!」と声をかけてみましたが、悪い事に、川沿いで水音がうるさく、声が届かなかったらしく、その姿は闇の中へと消えて行ってしまいました。

 慌ててスマホを立ち上げ、GPSでマップを表示させると・・・この周辺、国道以外の道筋は、少し大きめの集落の中にある、主要な道路以外、地図上に何も書き込みがありません。
 という事は、この横道は、作業道か、林道か・・・。
 まあ、すぐに舗装がなくなるだろうから、そうなったらおかしいと思って引き返してくるだろう。

 そう考え直すとともに、念のため、次のPC4でスタッフにその旨を報告するようにしよう、と心に刻みます。

 またも単独走で、暗い道を行きます。
 小さな集落が近接する区間には、申し訳程度に外灯があったものの、そこを抜けると、明かりらしい物は全くなくなります。
 道路も、場所によっては幅は1車線がやっとという細さになり、脇を流れる川の音と、川の反対側から迫る山の斜面の間の細い道を、ライトで照らされた範囲しか見えない状況で走る必要がありました。

 と、少し進んだカーブの先に、赤くチカチカ光る物が見えました。
 ヘルメット灯をそちらに向けると、ギラリと銀色のテープが反射して、蛍光イエローのベストが闇に浮かびます。
 いやはや、この暗闇の中で、自転車のライト程度の明かりでも、これだけ目立ちますか>オダックス埼玉ベスト。

 とにかく、赤い光が先行する参加者のヘルメット尾灯だとわかったので、少し頑張って追いつき、先程、道を逸れて行った参加者がいた件を話してみると・・・。

 参加者(以下、参)「ああ、それ私だから大丈夫」
 私「え?」
 参「いやね、ルートラボでコースつくって、GPSに出しているんだけど、ルートラボから取り込んだデータだと、国道はあっちになってるんだわ。で、進んだら同じ場所に戻ったから、そのまままっすぐ来た」
 私「え?でも、ここ、一本道ですよね?」
 参「ん~、ま、良くわかんないけど、大丈夫じゃない?」

 何だか、キツネにつままれたような話だ、とその時は感じました・・・が。
 後日、地図解析をしてみたら、真相が分かりました。

 ルートラボの地図は、Yahoo!地図を基礎データとして使用していますが、Yahoo!地図が準拠しているゼンリン系の地図サービス(いつもNAVI、Mapionなど)ではこの周辺、国道292号は、谷間を蛇行する川沿いの道、として描かれています。

 一方で、どうやら独自に地図を作製している?ように見える、MapFanの地図を見ると、このクネクネ曲がっている区間は道路線形が見直され、キューシートNo.48の交差点から数百メートルは、蛇行区間から直進する形に再整備されたようです。
 そして、もともとあった蛇行する道は、現在も旧道として川沿いに残されているため、ルートラボのデータを取り込んだGPSは、旧道へと参加者を誘導しようとするので、実際の道路形状に乖離が生じ、誤解が発生していたように思われました。

 しかし、走行中にそんな所まで気付けるはずもなく、「???」な思いが強くなります。
 次のPCにはスタッフが待機しているとの話だったので、そこで一緒に確認してみる事を提案しましたが、追いついた先行者はゆっくり行くとの事だったので、そこから先、暗闇の峠道を一人旅で先行する事になったのでした。

 それにしても、この峠は本当に真っ暗で、とても斜度が嫌らしかった。
 激坂と言えるような斜度の坂はないものの、ほぼ同じ斜度の緩斜面が、ずーっと登りっぱなしになっています。

 途中、トンネルと、「長野県飯山市」の標識が出たので、よしっ、これで峠は終わりなのかと思いきや・・・。
 道路の脇を流れる川(かろうじて水面が見える暗さ)は、水音から察するに、まだまだ高い所から流れ落ちてきており、途切れそうにありません。
 つまり、それはこの道沿いには、まだ高い場所がある、という事でもあります。

 ・・・おい、嘘だろ?
 まだ登るの?

 と思った次の瞬間、足下でガサッと音がして、スマートな体の小動物が、前輪と後輪の間を突っ切って走って行きました。

 「うをぉお、びっくりしたぁ!」

 暗闇の中で、イタチに驚いて大声で叫ぶ奴が一人・・・(^^;)。
 いや、でも、シャレにならん位にびっくりしましたから!
 (前後を横切るならともかく、真下を通るな!)

 その後、また急に動物が出て来られるとびっくりするので、人がここにいるぞ、という事を誇示するため、適宜ベルを鳴らしたり、大声で独り言をいったりしつつ前進します。

 周囲に人や参加者がいないとわかっていればこそ、の行動でしたが、この暗闇の中で仮眠中で、安眠妨害されたと言う方がいらっしゃいましたら、お詫びいたします・・・。


13061126.jpg
暗い、暗い、と文字で打っても、
実際にはどれほど暗かったのか、
イメージするのは難しいと思うので、
この日の夜中の峠の風景画像を掲載。

何も見えないって?
そりゃそうだ。
実際、これ位に暗かったのだ。


 暗闇の中、聞こえるのは木々のざわめきと、流れる川の水音と、なぜか「ギョギョシ、ギョギョシ」というオオヨシキリの声(←オマエ、昼行性の鳥ちゃうんかい!)。
 そして、水田のように見える平場(暗くて良くわからない)の周辺では、シュレーゲルアオガエルとアマガエル、川の水音に混じり、「ヒュルルル〜」というカジカガエルの声も混じっていました。

 一回だけ、コノハズクの「コッコッコー(仏法僧などと言われる)」が聞こえた気がしましたが・・・それは幻聴だったのかも・・・?

 この峠道、昼間であれば、もう少し違う楽しみ方も出来たでしょう。
 が、見えないならば耳で楽しむ。これもまた、「観察系」の楽しみ方のひとつです!

 その後、坑口に設置されたスノーシェッドのおかげで、トンネル内照明が外から視認されず、暗闇の中に突然、ポカッと暗い口を開いたトンネルが急に出現して驚いたり。
 そのトンネルを抜けた先で、さらに川がまだ続いている事に絶句したり。
 3番目のトンネルを見ても、疑心暗鬼にかられて、どうせまだ登りは続くだろ、と思っていたら、下りがはじまって、逆に驚いたり。
 下りに入ったので、LEZYNE Super Driveを点灯しようとして、何度スイッチを押しても無反応で焦ったり・・・(後で、明るくなってからもう一度試したら、普通に点いた。今頃点くな!)。

 とにかく、この暗闇の峠の中では、色々な事がありました・・・。

 そして、この峠越えの途中から、首を上に向けるのが本当に苦痛を伴うようになってきました。
 目線は下に落ち気味で、首を上げる時は、体ごと仰け反るか、顎を手で押し上げるようにしてやらないと、上を向きません。
 そして、その症状の進行とともに、気分的にもテンションがダウンして行きます。

 さらに、気分が落ち込んだためか、思考回路がどんどん、投げ遣りな方向へと転んで行きます。
 千曲川沿いを走って、コース通り対岸に渡り、またも住宅地内の微妙なアップダウンを走りますが、この頃になると、脚も疲労で限界なのか、インナーギアでしか回せなくなっていました。

 平坦なはずの道、いつもなら楽に登って行ける程度の勾配の坂、そんな何でもない場所を走るのに、いつもよりずっと軽い段のギアを使って、低トルク低ケイデンスで限界の状態・・・。
 思考はどんどん悪い方へと落ち込んで行きます。

 PC4までの残り距離は、あと5~6km。
 チェック自体は、問題なく終わらせられると思われますが、その先はどうすれば良いのか・・・。

 なんて事をぐるぐる考えていたら、道路脇の側溝の蓋が2cmほど浮き上がっている事に気付かずに、タイヤサイドをヒットさせてしまい大きくバランスを崩してしまいます。
 慌てて体勢を立て直そうとしたら、今度は歩道の縁石にぶつかりそうになって・・・。

 反射的に大きくハンドルを切って、縁石をかわしましたが、そのまま歩道に突っ込んでしまい、そのまま民家の塀に衝突!
 ・・・とならなかったのは、単なる偶然。
 私が歩道に突っ込んだ所が小学校前で、校門周辺にちょっとした広場が設置されていた事に助けられました。
 下手をしたら、ここで落車か、器材を破壊してしまって終了、になる所でした。

 そして、この一件が、完全に緊張の糸を切る結果になりました。

 今のまま走り続け、渋峠に登ったとして、安全に下界まで反対側を下れるか…。
 思いついた結果は、否。

 今のままでは、高い確率で事故を起こしてしまいかねない危うさがあります。
 とにかく、PC4までは行こう。
 そして、体力、気力ともに限界感のある今の状況が、少しでも改善されたなら、渋峠の入口くらいは登っておこう。

 そう考えて、川沿いの緩やかな登りを、インナーローでノロノロと登って行きました。

 PC4チェック:01:35

 時間的には余裕でしたが、体力・気力が限界でした。
 スタッフの皆様も待機しているこのPCで、いつ、DNFを告げるべきか・・・。

 コンビニで買物をしている間も、首はダルくて下を向いたままになってしまっており、おかげで、気が早く活動を開始したらしいコクワガタの雌が一頭、ドリンク売り場前の床の上でじっとしている事に気付いてしまったり・・・。

 何やってんだかなあ・・・と思いつつ、少し冷えてきたので、カップ麺をすすって体を温める事にしました。
 決断するのは、いつにしようか・・・。

8.そして撤退に至るまで
 寒さ対策でレインスーツを羽織り、進むべきか引くべきか、うだうだと考えます。
 PC4に先着していたがんちょさんに励まされ、少々、やる気が出たのですが、体の重苦しい感覚は抜けません。

 睡魔が来ているのか、と、周囲の参加者がやっているように、壁に身を預けて仮眠を取ってみようかとも思いましたが、これもうまく行かず。
 寝られる時に寝るのも、ランドヌールの強さのひとつなのかもしれません。
 あるいは、こんな事を重ねているうちに、寝られるようになってくるのでしょうか・・・?

 何をやっても気力はあまり復活せず、かといって、ここであっさりギブアップするのもなんか悔しいので、渋峠の最初の方を登ってみて、そのコンディションで決定する事にして、重い腰を上げます。
 店に入る時は、ヘルメットは外しておいてほしい、と、ブリーフィングで聞いていた事から、ハンドルにぶら下げていたヘルメットを取って被り直すと・・・。
 こんなに重かったっけ?というほど、ズシッとした感覚が首と肩にのしかかります。

 あまり元気もないけれど、とにかくスタート。
 川沿いの緩やかな登り坂を溯上し、赤い欄干の橋に向かって右折。
 川を渡った先から、本格的な峠の登りがスタートです。

 いきなり、10%クラスに見える斜度の坂が始まります。
 いや、実際にはそこまで急斜度ではなかったのかもしれませんが、コンディションが最悪な状態であったため、とにかく坂という坂が急斜度に見えて仕方がありません。

 その先、国道292号に合流してからも、坂は続きます。
 一人の参加者が、大きく蛇行するように走っている所に追いつきます。
 「いきなりきついですね」
 「まったく。これが25kmですから」
 「うげー」

 そんな自虐的な会話を交わしつつ、私が先行。
 少々、霧が出てきたのか、ライトの光芒がうっすらと前方に筋を作り、光が届く範囲が白い半球形のドームのように、前方に広がります。

 周囲から人家がなくなると、道路には外灯が全く整備されておらず、先程の峠同様に、全くの闇が支配する世界が始まりました。

 先頭の人は、0:40に渋峠を通過したと言っていたか?
 私は、やっと峠の登りに差し掛かった時刻が2:30頃。
 先頭の人は本当に人間か?と、かなり失礼な事を考えてしまったりもします。

 その後、斜度はきつくなっているのか緩んでいるのか、全くわからないまま、とにかく前に進む事だけを考えて足を回します。
 頭上に明かりがチラチラしたなあ、と思ったら、どうやら100mほど先の道路の上の橋を、参加者が通っているようです。

 あれがループ橋のある場所か。
 その下に行くまでに、物凄く長い時間が費やされたように感じました。

 いつの間にか、私も大きく蛇行しないと前進できないくらいに脚が動かなくなっています。
 ヨロヨロフラフラ、ループ橋を通っているくらいに、対向して峠から下りてきた車から、頑張れ!の声がかかり、手を上げて合図を返しましたが、あれは本当に通った車だったのだろうか・・・?

 首の具合は相変わらずで、道の先を見るために顔を上げるのが辛い。
 そういえば、前回の神奈川400は、ナイトライドになってからはほとんどが下り基調で、斜め下をずっと向いていれば良かったんだよな。
 こんな風に顔を上にあげる機会なんて、ほとんどなかったよな、と、いまさらながらに思い出します。

 首が上がらないので、見ているのは大体路面。
 しかし、路面ばかりを見ていると、どの方向が直進なのかわからず、気がつけば右からセンターラインが視界の中に入ってきたり、左からガードワイヤーが近付いてきたり、まっすぐ進んでいる感覚が全くありません。

 サイコンの表示する数値は、四捨五入したらゼロになるかならないか。
 クランクに立ってダンシングしてみようか、と思い、両足に力を入れても腰がサドルから浮かず、ハンドルを押える両手が疲れただけ。

 そんな状態で坂を走る事、約一時間経った3:30頃。
 ループ橋は越えましたが、まだ最初のスキー場に届きません。
 九十九折らしい道路の形は、少し藍色が見え始めた稜線沿いに何となく見えていますが、この先の道のりを考えたら・・・。

 大きくふらついて、危うくガードワイヤーにぶつかりそうになって停車。
 ビンディングがうまく外れず、危うく立ちゴケになる所でした。

 止まってしまった事をきっかけに、ここまでの登坂ペースから、残りの行程をざっと計算してみると・・・今と同じペースで登っても、峠に到達するのは朝8時頃になるでしょう。
 第一ウェーブスタートだったので、ゴールは12時。

 渋峠からゴールまでは、約100km・・・。
 下りが多くなるとはいえ、渋川から先はアップダウンの多い市街地走行。
 それを考えると、4時間で走るのはキツいなあ・・・。

 そう考えると、もう、この先を走る気力は出てきませんでした・・・。

 しばらくその場でぼんやりしていましたが、そのままハンドルを切ってUターン。
 湯田中駅方向へと引き返しはじめました。

 峠を下っている間に、10人ほどの参加者とすれ違います。
 「リタイアです、頑張って下さい」
 その声に、「え?」という絶句の声や、「残念!」という声、そして「お疲れさまでした!」という労いの声など、様々な声を頂きました。

 湯田中駅に戻ったのは、4時を少し回ったくらい。
 この下りでやたら時間を食ったのは、ホイールがいつも使っているLightning Alpineや9000-C24のように、ちょっとずつ握りの強さを変えてコントロールする、そんな操作を受け付けず、とにかくフルブレーキしないと減速効果が出て来ないという、その特性に戸惑っていたためです。

 最後には、親指の付け根がブラケットやハンドルに押し付けられる時にグラブの縫目と擦れる、その傷みでブレーキ操作が嫌になってくるほどでした。

 これは・・・渋峠を越えていたら、この状態で草津の直下の、とにかくブレーキを多用しないと危険だという急坂を下る必要があったのか、と考えたら、引き返して正解だったんじゃないか、と、どうでも良い事を考えてしまったりもしました。


13061121.jpg
長野電鉄、湯田中駅。
ここが今回のコースでの、
最終地点だった。
(これは明るくなってから撮影したもの)


9.ブルベはおうちに帰るまで!
 駅で運行開始時刻を調べると、どうやら6:20が始発になるようです。
 ならば、とゆっくり輪行準備をして、自販機で温かいコーヒーを飲み、主催者にDNFの連絡を入れて、申し訳程度の硬いクッションが敷かれたベンチに横になったら・・・。

 寝落ちました・・・。

 その後は、一度、野良猫がしげしげとこちらを見ている姿を一瞬、視界に捉えただけで、次に目覚めた時には、周囲は完全に明るくなっていました。
 電車の運行も、まもなく開始されるでしょう。

 と、もう一人、DNFの方が到着されたので、電車はまだしばらく動かない旨を伝えたりして、もう一度、ベンチで横になりました。


13061122.jpg
やがて運行された始発電車で、
輪行開始。

13061123.jpg
長野駅。
まさかこんな形でここに来るとは。

13061124.jpg
そして新幹線で高崎へ!


 高崎駅に着いたのは、9時少し前でした。
 車体を組み上げ、スタート地点に戻ったのが10時過ぎ。
 DNFである事を告げ、荷物を受け取ると、橋の下で、何度も地下水が浸出したトンネル内を走って、ドロドロに汚れた車体をきれいに拭いてやる事に。

 ある程度、きれいになったら、城南大橋を渡った反対側にある温泉が開く時間が近くなったので、スタッフの皆様にご挨拶してその場を辞去。
 DNFという結果だけを刻み、今回の挑戦は終わりでした。

 そして向かった「高崎温泉 さくらの湯」では、何人かのランドヌールが同じく立ち寄り入浴していたので、少々雑談も交わします。

 「日本海に沈んだ太陽が、渋峠の上に行くまでの間に一周して、反対側から登ってくる。何だかダイナミックなコースでしたね」

 その言葉を聞いて、無性に悔しさが込み上げてきました。
 完走してきた皆様は、そういう捉え方が出来るほど、素晴らしい体験をしてきたのだ、という事が、とにかく羨ましかったのですよね・・・。

 私は、太陽が一周してきた時には、ベンチの上で寝てたんですから(←おいおい)。

 来年もまた、このコースで開催されるなら、絶対、リベンジしてやる!

 その思いを胸に、高崎駅から大宮経由で、仙台まで新幹線で移動。
 地下鉄に乗り換えて、最寄駅で車体を組み上げると、ゆっくりと自走して帰宅。

 今回のブルベは、完全に終了しました。


 今回のブルベは、とにかく強烈な山岳コースでした。
 このレポートを書き上げた段階で、ちょうど発表されたリザルトによると、出走した約60人中、19人がDNF。
 ほぼ1/3が途中でリタイアという、厳しい条件のコースになっていたと思います。

 しかし、私個人に関していえば、もう少し、うまく対処が出来ていれば、完走に手が届いたと思います。
 何というか、ナメてかかると確実に弾き返されますが、きちんと対処して行けば、完走に手が届く、という、なかなか絶妙なラインのコース設定になっているかと・・・。

 例えば、直江津から南下する道路。
 あそこは走っている間、平坦だと思っていましたが、実は緩やかな登り基調。
 速度が出るはずがない場所であり、そんな場所で時間を稼ごうとガシガシ踏んでいたら、そりゃ、脚も売り切れて当然です。

 また、灯火の類。
 ヘルメット灯に使っていたEL520の自重か、それとも取り付け方が悪かったのか、原因はともかく、首に負担がかかって、軽いシャーマー首のような症状になっていましたが、これも次回以降、軽い灯火や、バランスの良い取り付け方を考える事で解消させる事が出来ると思います。

 そして、そのシャーマー首に近い症状になった事が、気力が奪われた一番の原因ではないか、と現段階では分析していたりしますが・・・。

 ま、その前に、今回は事前準備段階で、色々と余計な事をしていたり、やるべき事をやっていなかったり、色々ありました。
 次回以降は、この辺りをちゃんと反省し、改善し、より良い対応を考える事で、次回は完走に手を届かせる事が可能になる。
 DNFではありましたが、そんな手応えも掴ませてくれたコースだったと思います。

 しかし、来年以降は八ツ場ダムの建設工事などの影響で、同じ場所を走れるのかどうか、ちょっと微妙かもしれませんね・・・。
 とはいえ、海に沈んだ夕日が、山の上に至るまでに地球の裏側から戻ってくるという、そのダイナミックな感覚を、来年は是非、掴んでみたいと思います。


 最後になりましたが、AJ群馬のスタッフの皆様。
 初めての400の運営、お疲れさまでした。
 そして、色々とお世話になり、ありがとうございました!

 また、コース上で、様々な形で声をかけて下さったり、ご挨拶をさせて頂いたりした皆様。
 またどこかのブルベでお会いしましょう!

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コメント
ナカナカ速度が乗らんわー
ってな時ありますよねー
私も数少ない経験の中ですが
これが「よくあるんです」
そんなとき私は心の中で
「ここは間違いなく登っとる」
と、繰り返し呪文のように唱えるようにしています。

DNFは残念だと思いますが
参加しないとDNFも出来ませんよね
YO-TAさんは貴重な経験をされたのだと思います。

さー
次ですね(*・ω・)ノ

私は沼の中にいますよ~
2013/06/13(木) 10:46 | URL | cos #8iCOsRG2[ コメントの編集]
お疲れ様でした!
 DNF を決意された時あたりの文章を読んでちょっとうるっときました。
幸いにしてまだ DNF の経験はないのですが、悔しさをはじめとしたいろいろな気持ちがごちゃっとくるんだろうなあというのは想像に難くはありません。本当にお疲れ様でした。そして、英断だったのではと思います。

 毎度毎度の読み応えのあるレポート、ありがとうございます!
2013/06/13(木) 11:15 | URL | 漬物 #mQop/nM.[ コメントの編集]
英断
お疲れ様でした。
前編・後編ともに楽しい写真と、地形や動植物に対する博学に感服しました。カエルの声も聴き分けるとは…!

DNFは本当に残念でしたが、そういった判断ができるのも経験豊富なYO-TAさんだからこそと思えます。「折角参加したんだから」で無理して、2度と参加できない状態になったら元も子もないですしね。
趣味を楽しみ続ける絶対条件の一つだと思います。

今後も楽しいレポート・写真を待っています。頑張って下さい。
2013/06/13(木) 19:05 | URL | いわん #-[ コメントの編集]
Re: ナカナカ速度が乗らんわー
cos69さん、ありがとうございます。

いやあ、ありますね、速度が出ないとき。
こういう時、体調が良くて余裕があると、登ってんのか?と考えるのですが、
焦りがあったりすると、何で?何で?と、どんどん悪い方に行く事が多いような・・・。

「参加しないとDNFも出来ない」
これいいですね!
次回から、DNFの言い訳にします(←待て!)。

え〜、沼の中、楽しく泳がれる事を期待します(笑)。
2013/06/13(木) 21:35 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
Re: お疲れ様でした!
漬物さん、ありがとうございます。

DNFに至るまでは、出来るだけ嘘偽りなく書こうと思っていました。
DNFの体験記って、実はあまりないのですよね。
あっさり、「DNFでした」で終わっている事が多くて・・・。

そこに至るまでの過程を出来るだけ詳しく残す事で、
色々な形で危機回避のノウハウも蓄積できると思うのですが。

スーパーアタック、渋峠を草津側からアタックするようですが、
むしろ「草津温泉までがキツい!」ようですよ!
ご注意あれ!
2013/06/13(木) 21:39 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
Re: 英断
いわんさん、ありがとうございます。

カエルの声は、慣れればすぐに聞き分けられますよ!
種ごとに、かなり特徴がありますので。

ブルベは、究極的な所では、「遊び」の一種ですからね。
休み明けに、「リタイヤしちゃったけど、楽しかった〜!」と、
笑いのネタに出来るくらいの気持ちでいるのが一番良いと思うのです。

・・・でも、悔しいので、来年、同じコースで開催があるなら、
リベンジしますよ、絶対!
2013/06/13(木) 21:42 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
お疲れさまでした。
首ですか。首は、首ブリッジで、鍛えられますよ。あとは、スクラム組むとか、いいですよ。私もヘルメットのライトは、いまはすごく軽いのに替えてます。来月1200があるので、きょう、去年の宮城600を走ってきます。では。
2013/06/14(金) 11:02 | URL | 山形1号 #-[ コメントの編集]
No title
お疲れ様でした。私はヘタレなのでPC3でタイムオーバーでした(PC4マデは行ったけど)
国道292号はやられましたね トンネル出れば下りだと思ってたのにw やられた感じでしたw
2013/06/14(金) 21:02 | URL | GUEST #-[ コメントの編集]
Re: お疲れさまでした。
山形1号さん、ありがとうございます。

首ブリッジですか・・・。
体育会系の同僚からは、アイソメトリックなどを教わりました。
追々、試しながら、軽いライトを探してみる事にします。

今日・・・という事は、現在、走っている最中でしょうか?
安全に注意して、頑張って下さい!
2013/06/14(金) 22:21 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
Re: No title
コメントありがとうございます。
(お名前が入っていませんでしたが、どのようにお呼びすれば良いでしょうか ^^;)

私も292号にはやられました。
これまでのパターンで、トンネルが峠の頂上、という意識でいたら、3つもトンネルがあったとは・・・。
来年はPC3以降のダラダラ坂を、力を温存しながらクリアしようと思っています。

とはいえ、序盤の三国峠からキツいコースでしたよね・・・。
もっと言えば、最初の高崎〜渋川間が、あんなにアップダウンしていたのも、想定外でした。
(完走した皆様が言われるには、渋川〜高崎は、物凄く長い下り基調だったそうで・・・)
2013/06/14(金) 22:27 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
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プロフィール

YO-TA

Author:YO-TA
2011年7月に東京から仙台に移住。
相変わらず、デジカメ片手に、サイクリングやハイキングを楽しんでいます。
突然、突拍子もないことをやらかしますが、それはまあ、ご愛嬌という事で…。

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