日々是遊歩。見て、聞いて、感じて、それを殴り書き。

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あの山越えて海が見える BRM608群馬400 Part.1

 金曜日夕方。
 輪行袋を担いで出発しようとする私に、同僚が声をかけてきました。

 同僚「また走りに行くのか?今度はどこら辺?」
 私「ざっくり言えば、高崎から色々回って、草津温泉方面だな」
 同僚「どうせ、その色々回って、が無茶苦茶なんだろ。榛名を登ってから、とか」
 私「いや、榛名には行かないよ」
 同僚「んじゃ、赤城とか言うなよ」
 私「赤城は逆方向だろ。行くのは渋川から北に、新潟の柏崎に抜けて日本海沿いを走って、直江津から飯山、中野に南下して、志賀高原経由だ」
 同僚「・・・・・・ちょっと待て・・・」

 その後、数人の同僚がGoogle mapの画面を見て、絶句していたのは言うまでもありません。

 では本題です。
 遠征ブルベ2回目、BRM608群馬400「あの山越えて海が見える」に参加してきました。
 今回のコースは、関東北信地方の山岳地を舞台にした、強烈な山岳コース。
 エントリーしたあとに、概略のコース図を見た段階で、軽く「やっちまった」感が漂いました・・・。

 とはいえ、これを走り切れば、SRに王手がかかる訳ですから、気合いも入っていた・・・のですが。

 本業の日程が折悪く、ブルベ本番直前にピークが来るという状態に。
 準備に割ける時間がジリジリ限られて行く中で、何とか全てを片付け、金曜夜の新幹線に飛び乗りました。

 まあ、今回のブルベは9時スタートなので、いつもの200や300のように、常識外れの早朝起床にならないのがありがたい話です。
 そういえば、以前走った神奈川の興津400も、10時スタートでゆっくりできたな・・・。


13061001.jpg
なんて事を考えながら、
少々迷って到着したスタート地点、
城南大橋の下。

このスカスカな駐車帯が、
あれよあれよという間に、
参加者の車で埋まって行った。
受付で行列したのは久々だった。

13061002.jpg
今回のお供は、
Corratec R.T. Carbon
参加者中では軽装な部類。


 という訳で、例によって詳細は裏置きします。
 興味のある方は、以下のRead moreをクリックして下さい。

1.見知らぬ道へとスタート
 高崎の町には、何度か趣味(tikitがらみ ^^;)と仕事で来た事はありますが、中心街以外の場所をほとんど知らない町でもあります(だから、高崎駅西口からスタート地点までの極短距離で迷子った ^^;)。
 この後、走る場所に関しては、ほとんどの場所が初めて走る道です。

 事前の情報収集は、ほとんどが峠の通過状況になっていたのですが、今回越える峠の数がハンパじゃないので(^^;)、実はそれも途中からはトンネル内の状況のみに絞っての作業になっていたと言う裏話があったり・・・。

 それはさておき、第一ウェーブに滑り込めた私は、トップグループで車検を受け、コースへと走り出しました。

 ちなみに今回、スタート地点でオダックス埼玉のオリジナル反射ベスト「ADX-V」を有償頒布していたので、黄色を入手して、早速実戦投入しました。
 これが後々、個人的に少々引っかかる自体を招く事になったのですが・・・(ベストの機能的な問題でなく、個人の対応の問題で)。


13061003.jpg
住宅地を抜けたあと、
和田橋を渡って中心街へ。


 この時点で少々違和感が。
 和田橋の左岸側って、高崎城の城郭の一部が残っていませんでしたっけ?
 今回来たら、そんな物がカケラも残っていなかったような・・・。
 (上の画像でも、それらしい物が全くない)

 別の橋の記憶違いだったか?と思い直し、市街地走行に備えて気持ちを入れ替えます。


13061004.jpg
最初の市街地走行。
信号に何度も引っかかり、
速度を稼げない。


 出発した時間が午前9時という事もあり、信号現示が昼間の交通量に合わせた間隔になっているためか、とにかく何度も信号に引っかかります。
 ルート的には直進なので、可能であればスイスイと進んで、時間の貯金をしておきたい所なのですが・・・。

 前後する参加者と、「進み辛いですね〜」的な愚痴をこぼしつつ進んでいるうちに、私は数人集団の先頭になっていました。
 だからと言って何をする訳でもないのですが(^^;)、ちょっと「お!」と思った場面があっても、すぐに足を止めたり緩めたりできなかったのは、「観察者」としては、少々悶々とする所でした(笑)。
 (先に行って頂きたくとも、道が狭過ぎ&車通り多過ぎで、なかなか前に行って頂く事もできない・・・)

 ちなみに、この段階で微妙にアップダウンが繰り返されており、当初は平坦だと思っていた直進路が、考えなしに進むと、意外にキツい道になりそうだという事に気付きはじめました。


13061005.jpg
渋川市街地直前で、
一般のMTB乗りの人に追いつき、
抜く/抜かないのタイミングをミスった。

その間に後続の方が前に出た関係で、
先頭業を失業(笑)。

13061006.jpg
利根川にかかる大正橋を,
キューシートの指示通り、
人道橋で渡る。


 利根川を渡れば、市街地を抜けるから、とは、先程、愚痴を飛ばしあった方との会話にも出てきた言葉です。
 やっと、信号ストップの繰り返しから解放される!

 と思いましたが、ここから先は、別の苦しみが待っているのでした・・・。

2.天然地形のトラップゾーン河岸段丘帯を行く。
 渋川市北部〜沼田市に至るまでは、図鑑や教科書の写真にも使われるほど、見事に典型的な河岸段丘地形の中を走ります。
 それ故に、規模の小さなもの〜結構キツい落差の地形が連続するため、道も登ったり下ったりを繰り返します。


13061007.jpg
時々、道路勾配が地形に追随し切れず、
空を飛んでいる場所もある。
こういう場所は前方が開け、
走っていて気持ちがいい。

13061008.jpg
しかし、下る一方でなく、
登りもコンスタントに現れるから忙しい。


 登ったり、下ったり・・・。
 「段丘」と名のつく場所は、地形の変化が多彩で、退屈はしませんが、ジリジリ脚を削られる気がして嫌になります。

 この段階で、少々、後悔していた事が。
 この日、私はホイールを、Corratec号標準のLightning Alpineではなく、東京時代に頑丈さを優先して組んだ手組ホイールに換装してあったのですが・・・。

 このホイールの重量感が、アップダウンの多いルートでは仇になったというか、いつもならそれほど苦労せずに登れる坂を、思い切り踏まないと登れない感覚に陥っている事が、徐々に気になってきました。
 この後、まだまだ沢山の坂、その中でもとりわけ強烈な、序盤の壁である三国峠と、ラスボスの渋峠が待っている事を考えたら、ちょっと嫌な気分になってきていました・・・。


13061009.jpg
気晴らしに、
ちょっとしたビューポイントから撮影。
地図で確認した限りでは、
どうやら津久田駅方面。


 しかしまあ、河岸段丘地形を走っていると、段丘のエッジ(肩)部分での景観が素晴らしい事が多いのが救いです。
 そういう場所では速度を緩めたり、停止して撮影したりしながら前進を続けます。

 ・・・他の参加者から、「何やってんだアイツ?」という視線を受けるのは、もう慣れました(笑)。


13061010.jpg
とはいえ油断していると、
集落内でも思わぬ急坂に出会うのが、
こういう地形での難点でもある。

13061011.jpg
そして河岸段丘・・・というより、
もはや断崖だな、これは・・・。


 利根川が狭い谷筋に沿って蛇行をはじめた辺りで、道路沿いの地形もどんどん険しくなって行きます。


13061012.jpg
やがて登場、旧道風のトンネル。
扁額には「とりやまずいどう」と、
平仮名表記。
反対側には漢字の扁額があったと思うが、
洞門(ロックシェッド)が連結し、
見えなくなっている。

13061013.jpg
で、トンネルを反対側に抜けたら、
もう一つのトンネルも抜けていた。
こちらは「不動隧道」の扁額が。

トンネル〜洞門〜トンネルの。
三連構成だった。

13061014.jpg
トンネルを抜けた先で、
これから行く場所を見下ろせたので、
そこでも一枚。

ここ、先程の断崖の真下辺りになる場所で、
地名も「棚下」というらしい。
ぴったり過ぎるネーミングだ(^^;)。


 少しずつ地形は険しくなり、この棚下地区を抜けた先で、利根川は完全にゴルジュ状の流れになりました。


13061015.jpg
切り立つ崖の間の流れを撮ろうとしたら、
流れの上流側から賑やかな声が響いてきた。
やがてラフティング中の皆様が通過。

13061016.jpg
道路はクネクネ曲がる川沿いを進むが、
鉄道はここをトンネルでぶち抜いて、
まっすぐ北上。
それ故に、何度も交差する。


 この、上越線の鉄橋下が、洞内でカーブしている上に非常に狭い(本当に申し訳程度の)トンネルになっており、自動車同士だったら、対向車との離合(すれ違い)がまず不可能なんじゃないか、と思われるほどでした。
 実際、走行中に対向車が来てしまい、わずかに広くなっている場所に車体を押し込んでクリアするというハプニングがあったり・・・。

 トンネルを抜けると、左手に(恐らく)発電施設用の巨大な取水施設が出現し、その先からは少しずつ、開けた地形の中を走るようになって行きました。


13061038.jpg
地形が開けると同時に、
空がどーんと開ける。

体感気温が一気に高くなり、
ほとんど真夏じゃないか、
というほどの暑さになって行く。


 ちょっと参った事に、今年になってから、これほど暑い中を走るのは、初めての経験でした。
 というか、盛夏装備+UVアームカバーという組み合わせ自体が、今年初出動・・・。
 それがいきなり400kmブルベって、どういう事よ(^^;)。

 日光がジリジリと首筋や背中を焼いています。
 暗色系のジャージを着て出走しなくて良かった、と、本気でそう思ったレベルでした・・・。


13061017.jpg
暑さでうだりそうになりながら、
横目で見た看板にひかれて撮影。
天然記念物だという大ケヤキの木。


 樹齢、推定で700年になるケヤキの木だという事で、隣接する寺院(雲昌寺)が1662年に建立された際の記録に、既に「樹齢400年のケヤキがあった」という記録が残されているらしいです。
 また、この周辺を襲った大火があった際、身を呈して寺院を守った、という伝説があるとのことです。

 現在走っている道筋は、旧街道筋か、街道の回り道として整備されたような道筋でしたが、こういう場所には地域ごとに、こうした小さな歴史が積み重ねられているのだろうな、という事を思わされる場面でした。

 ・・・ま、説明看板を撮りに戻っている時に、後続の参加者にコースを間違っているのか、と勘違いさせてしまったようですが・・・。
 (紛らわしい事してすみません・・・)


13061018.jpg
その後、豪快に段丘面を下り、
利根川を渡る。
画像上側を見て頂くと、
河岸段丘地形がおわかり頂けると思う。


 利根川を渡ると、対岸の段丘をまた登って沼田市の市街地方向へ。
 道路地図のように、地形の書き込みが少ない地図だと、不思議な形をした市街地に見えますが、国土地理院の地形図を見れば、沼田市街地は川が集まって河岸段丘がテーブル状の台地になった、広い平場上に広がった物だと理解できます。

 市街地の西の端の段丘のエッジを掠めるように通過し、豪快にループ橋を下り、上越線沼田駅と同じ高さの地平(段丘面の最下段)に下りた後は、PC1のある後閑まで、上越線と並走するように利根川を溯上しました。

 PC1チェック:11:41

 ここまでは、想定外の暑さが少々気になったくらいで、特に問題なくクリア。
 多数の参加者に紛れて、私も休憩を取る事にしました。

 レジのおばちゃんに、「皆さん、沢山いらっしゃるけど、今夜どこに泊まるの?」と聞かれたので、「夜通し走りますよ」と答えたら、「人間じゃない(笑)」と爆笑されました。

 はい、私ら変態ですから。

 補給の第一波が去った頃、私もゆっくり補給をはじめると・・・近くの後閑駅前から、シューッという蒸気放出音が響きます。


13061019.jpg
音の正体はこれ。
SLみなかみ号


 何というグッドタイミング!
 これを計算したコース設定なのだとしたら、AJ群馬のコース作成担当者は、素晴らしいお仕事をされていますね!

 ポォーッという汽笛の音に、蛍光色のベスト集団が一斉にコンビニの裏に走る走る(笑)。
 私も冷やし中華片手に、走る走る(笑)。

 何とか出発するシーンをおさえる事はできました。
 メシ食いながら、何やってんだ、と言われたら、それまでですが(^^;)。

 その後、残っていた冷やし中華をかき込んで、店内のお手洗いは混んでいたので、対面の役場に併設されていた公衆便所で用を足して、再度コースに戻りました。

 目指すPC2は、128.5km先(爆)。
 おいおい、遠いなぁ(^^;)。

 そして、ここから先は、ついに序盤の壁、三国峠が立ちはだかるルートになります。

3.序盤の壁に挑む

13061020.jpg
国道291号(手前)と、
上越新幹線(奥)が頭上で交差。


 後閑駅を出発し、最初に見える橋を渡り、ちょっとした尾根越えを経てから国道17号へ。
 正午が近付き、暑さが最高潮になって来る辺りで、最初の壁越えというのは、何というか、スパルタンな感じがしなくもない設定ですね・・・。


13061021.jpg
国道17号に出る所で。
どうせツマグロヒョウモンだと思って
手抜きで撮ったら、
ミドリヒョウモンだった(笑)。
(写っているチョウの話)


 17号に出る所で、信号待ち中の人に追いついたので、いよいよですね、という言葉をかけあって、三国峠へと向かって行きます。

 最初に出会った地区名の表示が、「廻戸」。
 これで「まわっと」と読むらしいのですが、語感がなんか気に入りました(笑)。


13061022.jpg
頭上を飛んでいた、
見事なアーチ橋。
地図で調べたら、
燦々橋というらしい。


 頭上を見事なアーチ橋が飛んでいたので撮影。
 あとで調べたら、この橋、反対側に景色を眺めるため?のベンチが設置されているのだとか。

 そして、この橋を潜った辺りから、道路の傾斜は徐々に本格的になり、足を休める事ができる平場がほとんどなくなって行きます。

 付近一帯は温泉が多数、沸き出すようで、温泉宿や立寄温泉が軒を連ねています。


13061023.jpg
その上流のダム湖を越えた辺りで、
温泉街対応外観のローソン発見!

参加者に加えて、
ツーリストも多数休憩していた。


 事前に地図で見ていた道路形状と地形を思い出し、そろそろ本格的に山間部に入って行くはずだ、と覚悟を決めます。


13061024.jpg
深い谷間の上に新三国大橋出現。
これを越えると本当に山岳地。

13061025.jpg
画像処理中に気付いた。
橋上を参加者が走ってる。
上画像クリックで、
オリジナルサイズの切り出しを表示。

13061026.jpg
そして自分も橋の向こうへ!


 この、新三国大橋だったか、次の橋だったか、渡った先に「三国峠トンネルまでカーブ55箇所」という標識が立っていて、少々気分が萎えます・・・。
 数える気など最初からありませんが、その数から、これから先の道の長さが容易に想像できて、嫌になってくるじゃないか・・・。

 というか、地図で確認していた段階で、この峠の道の長さに嫌気がさしていたんですけどね、私としては(^^;)。


13061027.jpg
途中省略して、
エゾハルゼミがやかましく鳴く高度へ。


 省略すんな、と言われそうですが、オッサンがゼエゼエハアハア言ってる姿の描写、いります?
 (むしろ好物という皆様は、そういう衝動は別の場所で晴らして下さい ^^;)

 さておき、標高900mの標識の辺りから、周囲でギギッ、という声が聞こえはじめ、それがやがて、特徴的なエゾハルゼミの合唱へと変わって行きました。
 亜高山のブナ帯に行かなければ出会えないこのセミ。
 今年は十和田ブルベでは出会えなかったのに、三国峠で出会えるとはね。
 それほど高い場所に来ているのだ、と考えるのと同時に、ラスボスの渋峠は、これよりさらに1,000m高い、と考えると・・・。

 永井宿地区あたりの手前で、ニホンザルご一行が道路を横断し、左手の斜面の木に飛び移り、餌探しをはじめる場面に出会いました。
 そういえば、この日はあちこちの峠で、やたらとニホンザルの群れとの遭遇する事が多かったですね・・・。


13061028.jpg
何度も足をつきつつ前進。
おお、ここからは、
新潟市までセンチュリーライド、
コースの通過地点である
南魚沼まで50kmなのか。

いや、それを知っても、
ここではあまり嬉しくない・・・。


 この峠の途中では、本当に何度も足をつきました。

 止まっては給水し、また止まっては給水し・・・。
 今年、地元仙台を走っている時には感じた事がないレベルの暑さが襲ってきており、首筋から背中は陽光で焼かれるような気分です。
 途中脱出を考えて輪行袋を持っていたため、シングルボトル体勢でしたが、これを軽く恨みたくなってきます。

 というか、ベストをスタート時に換装しなければ、Nathanのベストのポケットに、500mlペットボトルを突っ込んでおけたのに・・・。
 これから暑くなるシーズンに向けて、装備を考えないといけませんね。

 残量がどんどん少なくなり、軽くなって行くボトルが頼りなくなって来るのとともに、脚の方も、だんだん回し続けるのが嫌になってきました。


13061029.jpg
いい加減に終われやっ!
と思いはじめた頃にやっと到着。
三国トンネル。


 長い道のりだった・・・。
 当初考えていた登坂時間を、大幅に上回り、これ以上時間をかけると、PC2までの時間がヤバくなる、というギリギリ手前で峠をクリア。
 ここから先は下りも多いから、取り返せるだろう、と考えて、一旦、腰を下ろして脚に全く負荷をかけない状態を作って休憩。

 トンネル内は路面が悪い、という注意が、ブリーフィングであったので、トンネル入口手前の駐車帯で各装備品の固定状況をもう一度確かめ、ライトを点灯後、トンネル内へと飛び込みます。

 結果的に、三国トンネル内に関しては、これ以上に酷い場所なんていくらでも知っている、というレベルの荒れ具合であり、何ら問題なくクリア可能でした。
 まあ、地下水の浸出が物凄くて、水たまりの中をシャーシャー音を立てて走らなければならない場所があったのは想定外でしたが・・・。

 ちなみに、それはフェンダーを装着してあったので無問題(笑)。
 本当は、渋峠での雪融け水と、三国峠周辺でにわか雨があるかも、という情報があったことが理由ですが、意外にも、こんな所で役に立つとは思いませんでした。

 何はともあれ、序盤の壁は、あまり無事ではないですが、越える事はできたようです。
 これでコースは、新潟県に突入しました。

4.降臨せしもの

13061030.jpg
三国峠を越えた先。
なんか場違いな高級風ホテルが林立してんなあ、
と思ったら・・・。


 こんな山間部には似合わない、無理矢理高級感を出そうとして平凡になっている、バブル期特有の「間違った感」満載のホテル群が現れたなあ、と思ったら・・・。

 「Naeba」

 ・・・ああ〜。

 ここがアレか、80〜90年代初頭にかけて、冬になったら必ず行け的なメディアスクラムで押されていた苗場かぁ・・・。
 そっち方面に全く興味がなかった自分的には、こんな場所にまで変な営利主義を持ち込んだ、その感覚に「萎え場」感が満載なんですが・・・。
 (以上、バブル期の乱痴気騒ぎやウインタースポーツに全く興味がなかった奴の、個人的な感想です)

 ため息しか出てきませんが、まあ良いか。
 それがあるおかげで、周辺の道路の整備状況が格段に良くなった、なんて事もまた事実なのだろうし・・・。


13061031.jpg
何度か洞門を潜る。
多分、これを整備していなかったら、
冬は雪崩で道路が寸断されるんだろうな。


 幅員が広く取られた、まっすぐな道を、しかしガタガタの舗装状態なのでそれほど快適ではないものの、勢いよく下った後に登り返し、またまた現れた長大トンネル、二居トンネルへと突入。

 しかし、このトンネル内が本当に酷かった。
 ブリーフィングで注意のあった、舗装面がガタガタになっていて、固定の甘い装備品が振動で弾け飛ぶ、というトンネルは、ここの事じゃないのか?と思うほどの荒れ具合。

 コンクリート舗装の継手は剥がれ、表面が轍状に削れ、地下水が音を立てて流れています。
 トンネル内のナトリウム灯の配置も少々特殊で、明るい場所もあれば、急激に、恐ろしいほど暗くなっている場所もあったりして、調光型アイウェアが安定するまで、視界がかなり危ない状態になってヒヤリとした場面もありました。

 そのトンネルを抜けたあとも、2〜3個ほどのトンネルを抜け、ヘアピンカーブの連続帯に突入します。
 カーブに差し掛かり、思い切り車体を倒すと・・・。

 ・・・んんん?
 なんか、走行ラインがアウト方向にフラフラ持って行かれる・・・。

 何がどうなってるんだ?
 このホイール、そんなに横剛性がないホイールだったっけ?

 そう思って次のカーブに備えて車体を起こすと、パチン、という何かの衝撃の直後に、ガガガガガガガガという強烈な振動がハンドルに伝わってきました。
 なんだこれ、と思いつつ減速し、フォークまわりを見てみたら・・・。

 タイヤゴムがぺったんこ・・・。

 パンク神が降臨!


13061032.jpg
やられた!
というか、やっちまったというか。
しかしまあ、個人的には、
記念撮影するくらい、
珍しい事だったりする。


 いままで、色々なブルベを走ってきましたが、走行中にパンクを経験したのは、実はこれが初めてです。
 ゴール後、帰る途中にパンクしたという事は、まあ何度かありますが・・・。

 それにしても、エアが抜け切ったのがヘアピンに突入する直前で良かった。
 カーブ中だったら、危なかったよ・・・。
 (というか、それ以前に、アウトに膨らんで行く傾向があった時点で、結構ヤバい状況だったはずだけど・・・)

 カーブを越えた先で、道路左端側に駐車帯並の余裕幅があったので、そこで停車してパンク修理開始。
 多くの方に、「大丈夫ですか〜!」「頑張れ〜!」の声援を頂き、同じブルベを走っていたがんちょさんには、わざわざ停止して頂いてしまったりもしました。
 (お気遣い、ありがとうございます!ちょうどエア入れまで終わった段階でしたが ^^;)

 色々な方に声をかけて頂いたおかげで、慌てず騒がず修理は終了。
 15分以内にコースに復帰できました。

 その後もひたすら、17号沿いを進んで行きます。
 キューシート上では、67.5kmに渡って、曲がりどころの指示がないのだから仕方がありません(^^;)。

 しかし、そうなると少々退屈感が出てきてしまうのも仕方がない所です。
 普通のブルベなら、50〜80km程度の間にPCがあり、そこで気分転換もできますが、ずっと走り続けているのですから、それも仕方がない所です。

 新幹線の目の前がスキー場となる事で有名な越後湯沢をクリアした辺りで、前方の空に少しだけ、黒い色の雲が見えたと思ったら・・・。

 にわか雨が襲来!

 あっと思う間もなく本降りの雨の中に突っ込んでしまいました。
 今回は特に、明け方に通るはずの渋峠の寒さ対応として、レインスーツを持参していたので、羽織ろうかとも思いましたが・・・。

 見える範囲で、空が明るくなっています。
 というか、黒い雲があるのが、自分の真上のわずかな範囲だけです。
 対向車の中には、ワイパーを使用していない車もあったりするという事は、この雨の範囲は、ごくごく狭い範囲になるでしょう。

 ならば突っ切れ!

 退屈感を吹っ飛ばしてくれるイベントとして受け止め、できるだけ早く、明るい空の下まで走り抜ける事を優先させる事にしました。


13061033.jpg
そして捉えた晴と雨の境目。
関越道の向こうは晴れているぞ!


 ゲリラ雷雨ではなかったので、カーテンのような水柱にはなっていませんでしたが、天気の境界線である事は間違いありません。
 晴天の復活と同時に、六日町に到着。町の入口のコンビニで休憩を入れます。


13061034.jpg
そして前方に、
ランドマークの鉄塔を確認。


 あまりに長い区間なので、曲がりどころに気付かず直進してしまうといけないと思い、目印として、キューシートに載る以前から、この鉄塔をランドマークに設定してありました(ストリートビュー画像で確認した)。
 あそこまでいけば、退屈感さえ覚えた、同一路線一直線走行も終わり・・・。

 次の峠、八箇峠越えが待っています(泣)。

5.そのとき人は勇者となる。
 八箇峠の登りの前にコンビニで休憩を入れていると、2〜3人の方が通り過ぎました。
 間隔が大きく開いていたので、恐らく、お互いを認識していないと思われましたが・・・。

 ここに来るまでの間、あまり参加者の姿を見なかったので、コースは一応、合っているんだな、と、変な形で確認して先を進む事にします。

 国道17号から左に折れてしばらく、なだらかな坂を登っている途中で信号待ちに捕まり、後続の方に追いつかれました。
 誰かと一緒に走るのは、何時間ぶりかな?
 互いに曲がりどころを確認して、前進を再開。

 国道253号に突き当たっところで左折すると、遠くに参加者の背中が見えていました。
 休憩中に先行して行った方でしょう。

 峠の登りを開始すると、登坂は私の方が(珍しい事に)多少、速く行けるようで、後続の方の姿は、バックミラーの中でどんどん小さくなり、逆に前方の方の背中がどんどん近付いてきてしまいました。
 ひと声かけて、前方の方を追い越すと、随分辛そうな声で返事が返ってきました。

 この先の八箇峠には、事前にスタッフが行った試走のレポートに、こんな文面が残されていました。

 「勇者は待ち受ける大蛇に果敢に飛び込み、中で死闘を繰り広げた。大蛇を突き破って外に出ると大気にやさしく包まれた。」

 ・・・どんな場所だよ、という感じですが、やがてそれは姿を現しました。
 まさしく、大蛇と呼ぶにふさわしい姿で・・・。


13061035.jpg
勇者は待ち受ける大蛇に
果敢に飛び込み、
中で死闘を繰り広げた。

13061036.jpg
大蛇を突き破って外に出ると

13061037.jpg
大気にやさしく包まれた。


 ・・・この瞬間、私は勇者でした(大袈裟)。

 とにかく、ウネウネと曲がりくねった、長い長いスノーシェッド。
 カマボコ型のカバーが道路を完全に覆うように被せられており、明かり取りのアクリル板を通して届く日光の熱が、通り抜ける自動車の排気ガスとともに内部に充満しています。
 道路左端は砂と砂利が堆積して走り辛く、かといって国道である以上、自動車の交通量はそれなりにあるので、あまりラインを膨らませる事はできません。

 しかも、勾配は所々、10%クラスだよね、と言いたくなるほどの急勾配が出てきます。
 特に、ヘアピンカーブで、後方から車が来ているので最もインコース側に追い込まれたときの地獄っぷりは・・・。

 所々に、メンテ用車両が外に出るための開口部がありますが、その周囲だけは涼しい外気が入っていたものの、そこを通過すると、数秒で熱気が復活。

 これは確かに、大蛇の胎内だ!
 そして出口から飛び出した時の、外気の清々しさは忘れられません・・・。

 長い登りのスノーシェッド自体は、十和田ブルベでも走っていますが・・・。
 ここのスノーシェッドは、あの場所の何倍という長さに感じましたよ、本当に。

 スノーシェッドを抜けて、八箇トンネルに向かうまでの間に一箇所だけ、下界をきれいに見渡せる場所があったので、足をついて休憩。
 これを見逃すのは勿体なさ過ぎる。

 先程まで、あの日のあたる平野を走っていたんだよな、と、それを確認すると、次の峠に向かう力も・・・湧いてくる・・・いや、少しはそういう気になれよ、オレ。
 (この時点で、坂はもう食傷気味だった・・・)

 八箇峠を越えた事で、南魚沼市から十日町市に入り、あと一つ、峠を越えればPC2のある柏崎市です。

 時間は16時半を回っており、本当に明るいうちに海にたどり着けるのか?
 あの山越えても、海は見えない、なんてオチになるんじゃないのか?

 そんな不安を抱えつつ、八箇峠を越えるべく、すぐ先に見えていたトンネルへと進んで行きました。



 ・・・という中途半端な所ですが、Part.2へと続きます。

 え?
 なぜかって?

 この辺で切らないと、ここから先、ナイトライドが主体になるので、Part.2は同じ長さでテキストオンリーって事になるからですよ・・・。
 (読みたくないでしょ、そんなレポート ^^;)
 

(という訳で、Part.2に続く)


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コメント
ハードルートですね~
レポからそのハードっぷりが存分に伺えます。
でも画像から、それに見合うだけの絶景(の一部)も伝わってきて、とても羨ましいです。

トンネル内の走行は本当に緊張しますよね。
三国や渋峠、走ってみたいなぁ。

そして400だから夜も・・ですよね。
・・・やっぱりハードモードだわ・・。
2013/06/11(火) 07:12 | URL | うにょん #GCA3nAmE[ コメントの編集]
No title
うひー、これは辛そうだ…。しかしYO-TAさんは相変わらず博識ですねえ。次のレポート楽しみにしてます!
2013/06/11(火) 10:20 | URL | 漬物 #-[ コメントの編集]
Re: ハードルートですね~
うにょんさん、コメントありがとうございます。

ええ、もう、本当にハードなルートでした・・・。
が、対応をもう少し考えれば、届かない目標ではない、という、
なんだか絶妙なバランス感覚でしたね。

景観も、なかなか素晴らしかったですよ!
でも、一番素晴らしい場所を逃しているので、
次回、また同じコースになるなら、リベンジです!
2013/06/11(火) 12:34 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
Re:
漬物さん、コメントありがとうございます。

いや~、きつかったです(^^;)。
日没が迫っているのに、まだPC2に辿り着けないとか、
この後、新月の夜に外灯皆無の峠越えとか、
まだまだ色々、エピソードは出てきますよ・・・。
2013/06/11(火) 12:36 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
楽しそうですね
うらやましい~
私も行きたい~

でも
YO‐TAさんのれぽ読んでると
走った気分になれる。
私は「ネットランドヌール」!
わはは


山形行きました文中の「がんちょさん」と登りでご一緒させて頂きました。
(途中で私が離脱したのは内緒です。)

新しいツーリングバイク(フェデラル)注文しました。
のんびりと行く近場のツーリングに活躍しそうです。

続ききたいしてま~す!(^^)!
2013/06/12(水) 21:29 | URL | cos69 #/.OuxNPQ[ コメントの編集]
Re: 楽しそうですね
cos69さん、コメントありがとうございます。
がんちょさん、そういえばツール・ド・さくらんぼにいらっしゃっていたのですよね。
私も参加すれば良かったかなあ・・・。
(ブルベの間の週末だったので、控えたのですが ^^;)

新車、注文されたのですか!
・・・って、あれ?アンカーもまだ新車だったような・・・?
もしや、底のない沼の中にズブズブと・・・(^^;)。

で、レポートは早速、続きをアップロードしましたので、
良ければごゆっくり、お楽しみください!
2013/06/12(水) 23:58 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
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Author:YO-TA
2011年7月に東京から仙台に移住。
相変わらず、デジカメ片手に、サイクリングやハイキングを楽しんでいます。
突然、突拍子もないことをやらかしますが、それはまあ、ご愛嬌という事で…。

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