日々是遊歩。見て、聞いて、感じて、それを殴り書き。

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雨に散った日。BRM609宮城400

 月曜日、400を完走していれば、疲れが残るはずだと思って休みを取っていましたが、結果的にDNFだったので、そこまで休む必要は・・・。

 いや、何だかんだで有給取り消しの方が面倒なので、予定通り休む事に。
 ちょうど良い天気でもあったので・・・購入後から、壁のラックの上で「いい加減に走らせろよなあ・・・」というオーラを放っていたNEILPRYDE Alizeを持ち出し、右膝の調子を見る事も含めて、軽く宮床ダム方面を走ってきました。

 まだ乗り始めて間もないため、詳細なインプレッションなどはできませんが・・・それにしても、このバイク、TTバイクのような前傾姿勢になったら、随分走りが変わるんですねえ・・・。
 やっぱり、平坦番長仕様なんでしょうか?(^^;)

 では本題です。
 これまで、200~300kmのブルベは、問題なくこなしてきた私ですが・・・。
 400という更なる長距離に挑戦した結果は、色々な要因があったとはいえ、残念な物になりました。

 400km(制限時間27時間)という、何かを突き抜けた距離には、今回が初挑戦でした。
 今回は、悪い事に、2週連続ブルベ(青葉200十和田、宮城400)となってしまっており、準備から何から、とにかく慌ただしい状態でした。

 結果、直前まで一週間前の十和田200にかまけていて、400の準備はルートを頭に叩き込んだくらいでした(まあ、自業自得なわけだけど・・・)。
 途中の中継点の特徴や、ランドマークのチェックは、本当に直前まで何もやっていませんでしたし、最終的な装備を決定したのも前日、金曜日の朝。

 会社から直接、スタート地点近くに出向いて前線待機する私にとって、金曜朝の決定というのは、本当の本当に最終決断。
 最後はかなりアタフタ状態だった事は否めません。

 さらには、前線待機場所の確保を忘れていて、前日~当日にかけて、古川の何件かのビジネスホテルに電話を入れてみたものの、渋い返事しか帰って来ず。
 仕方なく、ネカフェ逗留という形になりました・・・。


12061102.jpg
今回は前回の教訓から、
フルフラットボックスを確保。
こんな荷物を持ち込む迷惑な客だが、
前よりはずっと休めた。


 ビジネスホテルほど、至れり尽くせりの環境ではありませんが、工夫次第で何とでもなるもの。
 翌朝3:45、昨秋のネカフェ逗留と比べたら、格段に違う「良く寝た感」に包まれて行動開始。

 古川市街地のコンビニで朝食とドリンクを入手し、一路、スタート地点である岩出山ふれあいの森キャンプ場を目指しました。


12061104.jpg
日が一番長い季節だが、
朝4時前はまだ薄明るい程度。
自動増感で明るく見えるが、
路面にはEL520の光がくっきり見えていた。

12061101.jpg
標識の案内通り進んでいるはずだが、
途中、何度か本当にこの道でいいの?
と言いたくなる場所を抜ける。

なお、ゴールまで走っていれば、
24時間ほど後に、
ここを走るはずだった。


 岩出山ふれあいの森は、古川市街地から自走で1時間弱。
 自走でウォームアップするにはちょうど良いくらいでしょう。
 5時頃にスタート地点に到着すると、既に何人かの参加者が、駐車場に止めた車から車体を下ろしている所でした。

 どの地域のブルベでも、400以上は急に参加者が少なくなる、というのが通常らしいですが、今回の宮城400も、最終的な出走者は、横耳で聞いた限り、15~16人。天気が雨であるという予報の影響もあり、DNSも多かったようです。
 とてもこじんまりとした数ですが、数年前まで、ブルベは200kmでもこんな感じだった、という話も聞きます。

 いまや、エントリーすら秒殺の時もあるという、関東などの人口集中圏の状況と比較して、どちらがより「らしい」姿なのか・・・。


12061103.jpg
まあ、昔を知らない者が何を言っても野暮。
という訳で、
毎回恒例、今回のブルベカード。
青色になったのは、
距離が伸びたから?


 受付終了後、ブルベ参加を重ねているうちに顔見知りになった皆様と、ご挨拶を交わします。
 私も、ブルベ人口が少ない東北で、こんなに長文のレポートをWeb上にあげているためか、そこそこ存在が知られてきたらしく、「あのブログの人でしょ?」と言われる事が多くなってきました(^^;)。
 うれしい反面、悪い事(ブルベ的観点で、良い意味の:笑)が出来なくなってきたような気がします(笑)。

 検車とブリーフィングが終わり、定刻になったという合図とともに、200や300と比較すると、随分数が少ない、と思える参加者が、それぞれのペースでスタートして行きます。
 400kmのスタートは、何となく「だら~っとした」というのは言い過ぎでしょうが(^^;)、とてもこれから、丸一日以上、走り続けるという人達には見えないくらい、「ごく普通に」走り出して行きました。

 という所で、核心部は長いので裏置きです。
 興味のある方は、以下のRead moreをクリックして下さい。

1.険道から酷道を行く。
 スタート直後、県道沿いを右折して、国道347号へとコースは向かいます。
 県道沿いを走っているはずなのですが、本当にこれが県道か、と疑いたくなるような、クネクネとした線形と、とっても狭隘な幅員に、何でやねん、と言いたくなる勾配のアップダウンが続きます。
 そんな道を、何となく、ちゃりけんさん、K関さん(で、よろしかったでしょうか?)の後ろについて走ります。


12061105.jpg
くれぐれも、これ県道ですから。
県道ではなく、
険道と言った方が良いかも。


 何で序盤からこんなにキツいのか、と言いたくなるアップダウン(宮城200の出だしの広域農道の何倍もキツかった)を何度も越え、やっと平坦地に出ました。


12061106.jpg
やっと平坦地に到着。
序盤から結構、
キツいコース設定だった。


 ここからしばらくは、水田地帯を抜ける道。
 途中、集落内を走る場所があり、そこで先行している人(ブロック屋さん?)が曲がりどころから一本早く、道を曲がろうとしていたので、「真っ直ぐ、真っ直ぐ!」と声をかけて前進。
 と、この時、隊列が乱れた拍子に、なぜか私が先頭になってしまいました。


12061107.jpg
行きがかり上とはいえ、
集団の先頭になったので、
約30km/hをキープするよう意識して前進。
この時間は、まだ風がなくて良かった。


 遠くの景色が霞む様子を見て、相当に湿度が高く、今にも雨が降りそうな気配がある事を感じます。
 一応、天気予報では、古川地方は朝10時以降、雨の予報になっていましたので、まだ大丈夫だろう、と思い、国道347号へと接続します(現在地は加美町だけど)。

 ちなみに、国道347号は、一部マニアの間では酷道として有名な道で、山間部になると、途中に何カ所か、自動車が対面通行できない区間がある事でも有名です。
 近年は、桟橋を設置して道路を拡幅する工事が順次、進められているようですが、いまだ、工事が追いつかない部分も多いとの事。

 そんな事には関係なく、山形県との県境、鍋越峠を目指し、進路を西へと取ります。
 いくつかの集落を抜けた所で、徐々に道は登り始め、私のペースが落ち始めた所で、後続の皆様は前に。
 もっと沢山ついてきている、と思ったのに、その数は案外少なく、実は結構な数が切れて落ちていた事に気付かされました・・・。
 (ゆっくり走っても良かったぢゃん・・・ ^^;)


12061108.jpg
高速トレイン組、発車。
ついて行くのは、敢えてやめた。


 そして、走り始めてから約1時間後。
 立ち籠めていた霧の水滴がやや大きくなり、周囲は霧雨に濡れる風景に変わってきました。
 アイウェアに水滴がびっしりつき、それを通して見える世界が、奇妙に歪んできました。

 そして、その状況は、山に近付くにつれてどんどん悪い方向へと進んで行きます。
 そろそろ、マズいかな、と思った私は、スタート時点で(防寒のため)着ていたモンベルのレインウェアに加え、今回が実戦デビューになるレインパンツを装備。
 装備を完全レイン対応に変えた直後、霧雨が、はっきりとした雨粒に変わり、周囲は完全な雨天へと変化して行きました。

 時間は、6:45頃。
 山間部に関しては、天気予報は当たりませんでした・・・。
 ってか、山間部の天気を、一般地区の天気と同じと考える方がどうかしていますけどね(^^;)。


12061109.jpg
しっかりと降り始めた雨の中、
路面も急速にウェットに変化して行く。


 この、雨天への変わり目、濡れはじめた路面というのが、色々なものが水面上に浮き上がってきて、パンクのリスクも高くなる上に、スリップなどの事故も起き易くなる、危険な時間帯。
 慎重に前進して行くと、数百メートル程度の所でスノーシェッドが出現し、その中で2~3人の参加者がレイン装備に換装中。
 なんだよ、こんな良い場所があったなら、道端じゃなくて、ここで換装すれば良かったな、なんて思いましたが、あるかないかもわからないスノーシェッドを当てに前進するより、早目に換装した方が良かったに決まっています。


12061110.jpg
しかし、路肩も十分だし、
ここで雨宿りしながらの換装なら、
悪くなさそうだ。

12061111.jpg
スノーシェッドの向こうは、
雨に煙る山岳風景だった。
道はここから、
画像奥の桟橋へと続いている。


 しとしとと降る雨の中、あちこちで参加者が足を止めてレイン装備に換装しています。
 ふと見ると、上着は様々なメーカー製品だったものの、下半身はモンベルのサイクルレインパンツ装備の割合が結構高かったのは・・・(^^;)。
 別所の雨ブルベでは、上下モンベル装備の人の割合が非常に高く、普段ならジャージの柄で個人特定できるのに、その時は誰が誰やら、さっぱりわからなくなった、なんて笑い話もあるようですが・・・。


12061112.jpg
しかし、この道筋、
晴れていれば、
凄く風光明媚だったと思う。

国道が桟橋を架けないと拡幅できないのは、
それだけ自然が険しい地形を作っている、
崩壊と回復のせめぎ合いを見せる場所の証拠だ。

12061113.jpg
そして登場!
酷道区間!


 マニアな皆様、お待たせしました(笑)。
 桟橋架橋工事区間が終わると、その先で急に道路幅員が狭くなり、冗談のような道幅へと変化しました。

 もちろん、こんな幅員では自動車が対面通行するなど不可能で、所々に作られている待避所を活用しつつ、譲り合って通り抜けるしかない場所です。
 さらに、道路左側(川側)が、ガードレールではなくてガードワイヤーなのも、何かあった時の転落防止性能という面では、一抹の不安を感じさせます。

 まあ、自転車乗り的には、ガードレールだろうが、ガードワイヤーだろうが、高さが足りないため、その向こうに転落してしまう可能性に関しては、似たようなものですけれど・・・。

 とはいえ、この道の「酷」区間に関しては、ずいぶん解消が図られているようで、長くても数百メートル走れば、拡幅区間に出る事が出来ます。
 もちろん、そこから数百メートル行けば、再び幅員が狭くなったりもする訳で・・・。

 道はそれからも、広くなったり酷くなったりを繰り返しつつ、緩やかな勾配で高度を稼いで行きます。


12061114.jpg
浸食された岩が、
ウォータースライダーのように
滑らかになっていた。

雨の中とはいえ、
なかなかの景観の場所が多かった。
このコース、晴れていたら、
凄く気持ちよく走れたのだろう。


 そして、山間部深くまで入ってくると、雨の降り方も強烈になり、カメラのレンズが雨滴で濡れてしまったり、曇ってしまったりで、あまりはっきりとした絵を撮れなくなってきてしまいました。
 これは走行中にもわかっていたのですが、もう開き直って撮影を強行し続けます。


12061115.jpg
「酷」区間がなかなか解消しないのは、
この道路沿道の地質の問題があるのだろう。

道路右側の崖、
切れば道幅を広げられそうだが、
見るからに風化しやすそうであり、
そう簡単に手を付けられる物ではなさそう。

12061116.jpg
レンズについた水滴のため、
あまりきれいに写らなかったが、
対岸の崖にも、
そこそこ新しい崩落痕があり、
現在進行形で崩壊が続いている場所だとわかる。


 そんなこんなを見ながら進んでいると、案外、あっという間にここに到着しました。


12061117.jpg
県境のトンネル、鍋越トンネル。
右の横道が旧道の峠に続く道。


 このトンネルを抜ければ山形県。
 コースはこのまま国道沿いを進み、尾花沢市街地のPC1へと向かいます。

 山形県に入っても、雨は降り続け・・・。
 え?


12061118.jpg
峠から下っている途中で、
突然、路面がドライになった。

・・・あれ?
さっきまでの、あの土砂降りは何?


 体感時間で、峠から下り始めてあっという間。
 デジカメのExifから推定した実際の時間でも、10分程度で天気がこれだけ変化しました。

 路面が乾いてるだけでなく、民家の軒下や庭には、洗濯物が干してあったりして、どうやらこちらは全く雨が降っていない様子・・・。
 そんな中を、びしょぬれの全身を晒しながら走る自転車乗り達・・・。

 尾花沢市の皆様には、どんな風に思われた事やら(^^;)。


12061119.jpg
そして、
尾花沢市街地のPC1到着。


 PC1チェック:7:54

 この段階では、何ら問題なく進んでいました。
 しかし、この後、少しずつ、何かがほころび始めた気がします。

2.ハプニングに次ぐハプニング
 PC1からしばらくの間、コースは尾花沢市街地を走ります。
 市街地部分に関しては、当初のキューシートやルートラボでは、直進となっていた市道が、道路工事かなにかのため、大きな切り回しが出来ていたくらいの事はありましたが、まあ、その程度は良くある事。
 慌てず、騒がず、標識に従って反対側へと抜けました。


12061120.jpg
そして、県道30号沿いに出る。
ここからしばらくは、
この30号沿いを行けば良いだけ。


 県道30号は、最上川沿いを、川の本線からつかず離れず下流へと向かって行く道です。
 とはいえ、全区間で川沿いを行く訳ではなく、時折、河岸段丘を越えたり、ちょっとした尾根筋の峠を越えたりしながら前へ進みます。


12061121.jpg
例えば、こんな場所があったりする。
道は一旦、左の画像外へ出て、
ヘアピンカーブで折り返した後、
画像右奥のコンクリで固めた道上に繋がる。

12061122.jpg
これが上の画像で、
高い位置にある道路から見た風景。

多くの参加者が、
思わず顔を向ける程、
良い眺めだった。


 所々でビューポイントを差し挟みつつ、道は最上川沿いを下ります。
 そして・・・舟形町の堀内地区まで来た所で、ちょっと事態が急変しました。

 最初に、30号沿いで道路工事かなにかをやっていたようで、さらに川沿いの細街路に設定された迂回路に回るよう、ガードマンに指示されました。
 まあ、こういう事はブルベでは多々ある事なので、誘導に従って迂回路へ。
 工事区間を過ぎた所で、再度、県道30号へと戻ります。

 その後、県道36号との交差点に出ると・・・本来のコースは30号をそのまま直進なのですが、その方向は全面通行止めに設定されていました。


12061123.jpg
理由はこれ。
30号沿いの崖が崩れ、
現在復旧工事中。

12061124.jpg
角度を変えて見てみる。
あらら、ずいぶん高い場所から、
派手に崩れてるっぽい。


 通行止めの入口にいたガードマンに、30号をそのまま、大蔵村方面に行きたいのだが、と告げると、「36号を真っ直ぐ行けば大丈夫」との事で、県道36号を北上するように迂回を指示されます。

 ・・・が・・・。

 確かこの場所は、一昨年に400が開催された時も30号に工事があって、迂回路が設定されたとかで、当初公開のキューシートでは、最上川右岸からグネグネ曲がって30号に復帰するルートが引かれていた記憶があります。
 そして、その時に地図を見た記憶では、県道36号は大蔵村ではなく、新庄市街地に向かう道だったはず・・・。

 そういう記憶があったため、ガードマンの「真っ直ぐ行けば30号と同じ所に出るから」という言葉を鵜呑みに出来ず、どうにも疑心暗鬼のまま、しばらく道を進みます。
 と、どうやら他の皆様も同じだったのか、しばらく進むと、蛍光色の反射ベストを装備した人達が4~5人、固まって、ルートがどうなっているのかを相談中の所に追いつきました。

 そこで私も相談の輪の中に混じり、当初キューシートで設定されていた迂回路の事を話しましたが・・・皆さん、細かな事は覚えていないようなのと、どうやらルートを外れたため、現在地もあやふやな感じです。
 まあ、それなら、と、背中のポケットからスマホを出し、MapのGPS高精度測位で現在地を確認すると・・・ああ、やっぱり、当初キューシートでルートが錯綜していた場所だ、と、現在地を掴みます。

 「現在地から、このまま真っ直ぐ進んで、小学校を越えた先で、県道31号を左折。その後、県道330号を左折すれば、30号のコース上に復帰できますね」

 そう私が告げると、皆さん、よし、とばかり、あっさり前進を開始。

 ちょ!
 その情報を提供した私は、まだ、スマホを片付け終わってないんですけど!

 あっさり走り出した皆さんの背中は、しかし、出走していたR宮城のスタッフの方(ブロック屋さん)が偵察から引き返してきたので、100mほど先で停止。
 何とか、私もその中に紛れ込みます。

 先頭の方で皆さんが話し合っている内容を聞くと、どうやら私の出した迂回ルートを通って、コースに復帰するように、という事と、コースに戻るまでは、可能な限り、今のこの数人の集団で行動してくれ、との事でした。

 まあ、何とか置いて行かれる事は回避できたので、そのまま集団の殿をつとめて、前進を再開します。


12061125.jpg
この迂回路中、
何の因果か、
隠れ激坂を登る事になった。


 しばらく走った後、恐らく、正規ルートよりも倍近い道のりを経て、大蔵村の赤松地区で県道30号のコース上に復帰。
 赤松簡易郵便局を過ぎた先の、ちょっとわかり辛い交差点も無事、右折して、確実にオンコースとなりました。

 ただし、私はこの後、国道458号との重複区間になるあたりで、左折ポイントを間違えてミスコースしかけ、後ろから来た方に助けられる一幕もあったりしたのでした・・・。

 ・・・にわかに頭に詰め込んだだけのコースの順序では、対応し切れないときもあるよな・・・。
 いつも通りの一人旅だったらどうなっていたか、あまり考えたくありません(^^;)。


12061126.jpg
リカバリーとオンコースが確認されると、
協調体勢はそこまで。
あとはブルベらしく、
各自のペースで走る事に。


 結局、リカバリーライドで一緒になった集団は、坂や信号の度にくっ付いたり離れたりしながら前進を続け、国道47号に到達しました。
 私は国道に入ってすぐ、営業中の看板が本当なのかどうかも怪しい外観のドライブインの自販機コーナーでドリンクを補充。

 ・・・しようと思ったら、アクエリ500mlは売切。
 その他のブランドのスポーツドリンク(500ml)があったので、そちらのボタンを押したら・・・緑茶(500ml)が出てきました・・・。

 ・・・なんで?
 なんで、私はブルベの度に、自販機系のハプニングに巻き込まれるんでしょうか?

 相手が500mlでは、押し間違いかどうかの検証をするのも躊躇われます。
 仕方なく、アクエリアスの280mlのミニボトル×2本を買ってボトルに詰め、緑茶はその場で飲み干して再スタート。

 腹が重く、後ろから来る参加者に、次々、抜き去られました・・・。


12061127.jpg
国道47号沿いに走ると、
やがて先月の300でも走った区間に出る。

12061128.jpg
上の画像とほぼ同じ位置で、
300の時('12/5/19)に撮影した画像。
山の芽吹き加減が、
たった一ヶ月でもこれだけ違う。

12061129.jpg
五月雨を 集める前の 最上川(読み人知らず)
先月と比べたら、
随分水量が減っている。
上流側が雨だった事を考えたら、
雪解け水って凄い量なんだと実感。


 この最上川沿いの国道47号沿いが、何とこの日は追い風!
 何度もここを走ったという皆様が、「こんな事は初めてだ」と言う程、珍しい事だったようです。

 この追い風のおかげで、この区間を走っている間の体感時間は、先月の300の時と比較して、ずいぶん短く感じました。
 まあ、300の時は初めて走る場所だったため、体感時間は実際の時間より長く感じているはずですが、それだけでは説明がつかないのが、巡航速度。

 300の時は、谷間を走っている間は、何とか25km/h程度を保てた反面、平野部に出たら、20km/hを維持するのがやっと、という感じでした。
 しかし、今回の400では、谷間を走っている間は30km/h越え。平野部に出てからは、40km/hでの巡航も可能だったのですから、追い風効果とは恐ろしい!

 そして、そんな追い風に乗って、グイグイ速度を上げるのが楽しく、調子に乗って足を回していたら・・・。
 右膝に、ジワッと広がる違和感が・・・、

 まだ青葉200の疲れが完全に抜けたとは言えない体。
 ここで調子に乗り過ぎたのでしょうか?

 とにかく、追い風に乗ったまま、PC2に到着。既にそこは、参加者で賑わっている最中でした。

 PC2チェック:10:29

 目算で、多分10人くらいが一度に固まっていたでしょうか?
 出走が15~16人ですから、ほぼ全員がそこにいた計算になります(^^;)。

 そして、そこでお話をさせて頂いたのが、以前、ブログにコメントを頂いた、仙台の土井さんでした。
 知らぬまま、お声をかけさせて頂き、「あのブログの人でしょ?」と言われて、初めて気付くという・・・(なかなかのマヌケっぷりだ ^^;)。

 それはともかく、このPC2の段階で、右足の膝蓋骨、つまりお皿の下に、何か"しこり"のような物が挟まったような感覚が発生。
 この後、この違和感との付き合いが、色々と尾を引いてくるのです。

3.コース前半のボス、鳥海山に向かう
 PC2で、少しガッツリとした食事・・・といっても、冷やし中華なのですが、まあともかく、ちょっと腹にたまる補給を終わらせました。
 いつの間にか、ほぼ全員が出発しており、PC2前に残っているのは、2, 3人になっていました。

 自分も出発しよう、とした所で、急に雨がパラパラと落ち始めたので、PC1で解除していたレイン装備を再度装備。
 ここからは、しばらくは先月の300kmと同じ道筋を辿ります。

 ・・・ということは、退屈な広域農道走行をこなさないといけない訳で・・・。


12061130.jpg
と、そうでもなかった。
行く先に鳥海山が姿を現した。


 先行して出発していた仙台の土井さんに信号待ちで追いつき、そのまま広域農道へ。
 さあ、景観が変わらない、単調な区間だ・・・と思っていたら、前から「鳥海山、見えてますね!」という声が。

 え?と思って前方を透かし見ると・・・。
 霞のような雲を通して、白い雪を被った、特別な存在感のある山の姿が。

 あれが鳥海山。

 東北地方どころか、全国にも名高い名山で、この地域では周囲に並び立つ高さの山がない、典型的な独立峰の、堂々とした姿でした。


12061131.jpg
ここから先は、
鳥海山を見ながら前を進んだ。

12061132.jpg
道を進むごとに、
微妙に見える角度が変わるためか、
少しずつ表情が変わる。

12061133.jpg
それにしても、
良い意味で目立つ山だ。
地域を代表する山の代名詞にもなる訳だ。


 それにしても、本当に良く目立つ山です。
 300kmの時は、その広々とした裾野しか見えませんでしたが、こうやって頂上までの姿を見ると、この地域において、畏敬の念と憧れに似た心とともに見られる山であり、山岳信仰の対象になったと言うのも良く理解できます。
 関東東海地方における富士山、北陸南部における立山、白山のような、日本三霊山と呼ばれる山々にも全く引けを取らない、そんな堂々たる雰囲気を感じさせられます。

 それに、今の季節の、雪渓を抱いた白い姿がまた、周囲の景色に映えて良い感じです。
 この季節に、この場所を走らせるという、コースと時期の設定の妙が感じられた瞬間でした。

 まあ、少し気になるのは、頂上付近にかかる雲。
 あれが、風下に現れる吊し雲なのか、風上に沸き立った傘雲なのか・・・。
 これから、西側斜面に取り付いて、鳥海山ブルーラインを登って行く事を考えたら・・・吊し雲であってくれれば、登りは追い風、下り向かい風。
 しかし、沸き立ってかかる傘雲であれば、登り向かい風、下り追い風という形になり、登坂難度が大きく変わる事になります。

 そういえば、先程から体に受ける風は、東側、つまり内陸側から来ていますから・・・。
 ま、まあ、その時まで、考えるのはやめようか(^^;)。

 広域農道を走っている間に、いつの間にか雨は上がり、再び路面はドライコンディションに。
 こうなると、上下レインスーツは、暑くて、蒸れて仕方がありません。
 300kmの時にPC2だったコンビニに一旦入り、これから登る鳥海山に備えた休憩と補給を兼ね、レイン装備を外そ・・・うとしましたが、ちょっと考えて、レインパンツのみを外しました。

 そこで、先程まで、最後尾の人に崖崩れ迂回路の説明のために奔走していたブロック屋さんが追いついてきて、これからのコース情報などを伝えて下さいました。
 実走スタッフ・・・という訳ではないのでしょうけれど、とてもありがたい配慮です。

 先行する仙台の土井さん、ブロック屋さんを見送り、私も補給を終わらせてから、国道7号を北上。
 すぐに海岸側に逸れる国道345号へと折れ、河口の漁港脇を抜けて行きます。


12061134.jpg
本当に、海のすぐ側に出る。
これは十六羅漢岩付近の海岸。
この反対側に、
鳥海山ブルーライン方向への入口がある。


 本当に、標高ゼロの所から登るんだなあ・・・と、そんな事を考えつつ前進して行くと、鳥海山ブルーラインの入口を示す標識が現れました。
 時間は12:50頃。
 ここからは、最高標高点が約1,100mにもなる、鳥海山ブルーラインの登りが開始されます。


12061135.jpg
さあ、やってきました、
ブルーラインの入口!
最初のうちは、
勾配もそれほどではない。

12061136.jpg
最初に出迎えてくれるのは、
鬱蒼とした森。
これが標高とともに、
どのように変化するのか・・・。


 で、鳥海山の登りにかかった所で、防災無線が鳴り、『正午頃、○○地区でクマが目撃されました。外出する場合には、十分に注意して・・・』という、何だか凄い内容の放送がされたりもしました(^^;)。
 いきなりクマって・・・注意しても相手が出てきたらどうにもならんがな。

 まあしかし、この日に限っては、この道沿いにクマが出てくる事はないでしょう。
 なぜなら、この日は鳥海山のブルーラインを利用した、「登山マラソン大会」が開催されており、多くのランナーや、大会関係者が上り下りしているだけでなく、大会関係車両やパトカーに至るまでが、行ったり来たりしているという状態でしたから・・・。


12061137.jpg
とか何とか言ってるうちに、
勾配が段々、急になってきた。

心が折れる、というほどの激坂はないが、
10%の勾配区間が何度も繰り返し出てくる。


 上り勾配がはっきりとしはじめると、もう足を休める場所はありません。
 ギア比はとっくにインナーローで、十和田ブルベの傘松峠よりキツく感じる道を、ゼエハアいいながら登っていきます。


12061138.jpg
10kmマラソンコースのゴールですか。
って事は、麓から約半分来た訳ね。


 麓から、途中に設定された通過チェックポイントの大平山荘までは約20km。
 その間に、10%区間が何度も、繰り返しやってくる上に、高標高域に達すると、何度折り返すのかもわからないほどの九十九折区間が出現します。
 大平山荘は、九十九折を抜けた向こう、とわかっていますが、とにかく道が長くて、急勾配が続きます。

 と、道の反対側の駐車帯で、参加者の一人が豪快に仮眠中・・・。
 う~む、確かにここで寝たら、涼しい風と、冷たいアスファルトが、登りで発熱しまくった体には気持ちよくて最高なんだろうなあ・・・と思いつつも、登りだけで2時間はかかりそうな道ですから、私は何とか前進を続けます。


12061139.jpg
やがて、前方が開けてきた。
標高が高くなり、
背の高い樹木が減ってきた証拠だ。

そして、前方の斜面に、
九十九折区間が待っている。


 鳥海山は、2,000mを越える高山で、五合目まではこのブルーラインで登って行けます。つまり、この緯度帯における森林限界近くまで登って行く道です。
 自然、進んで行けばいくほど植物の背は低くなり、周囲の見晴らしが良くなって行きます。
 まあ、それに従って風を遮る物がなくなり、徐々に風の影響が強くなってくるという弊害もある訳なのですが・・・。


12061140.jpg
そして、相変わらず、
10%勾配区間が思い出したように現れる。
補助標識に「この先200m区間」とか、
急勾配区間の距離情報も出ているのが、
親切なのか嫌味なのか、
段々わからなくなってくる。

12061141.jpg
そして、ついにマラソンランナーに、
追い越される。

・・・え?
こっちは車輪がついてるんですけど・・・。


 いやあ、参りました。
 パトカーが背後に現れて、「間もなく、マラソンのトップが来ますので、通行に注意して・・・」という事を繰り返しマイクで注意してくるので、わかりました~、と右手を上げて合図した直後に、本当にトップの選手がバックミラーの中でどんどん、大きくなってくるのが見えました。

 嘘だろっ!、っと思ったものの、このままタラタラ走っていては、競技の邪魔になる!

 仕方なく、ランナーが近付いてきたら、路肩に寄せて一旦停車。
 問題なく追い越して行ったのを確認後、再度、走り出す事でやり過ごして行こうか・・・と思ったら、結構な人数の集団が現れてしまったりして・・・。

 最左端はランナーのために開けて、自分は幾分かセンターライン際に寄りますが、そうなると、大会関係者の車(途中の補給地点などに先行するチームの車など)が私の後ろにつっかえてしまう、という、困った状態に。
 ランナーが切れるタイミングを見て左に寄せて、車に追い抜いてもらい、その間、私は出来るだけ全力で登坂、と、とにかく忙しいというか何というか、変な感じのヒルクライムになってきてしまいました。

 これはたまらん、と、路肩に逃げた事、何度になるかもわからず。
 ちょっと疲れた風のランナーに、「ファイト~!」と声をかけたり、逆に応援の皆様から、「自転車も頑張れ~!」と声援を受けたり、給水所から「どうっすか~!」と水とバナナを差し出されたり。

 何なんだ、このカオスなヒルクライム(笑)。
 しかし、とにかく色々判断が難しくて、疲れがいつも以上にたまって行きます。
 正直、勘弁してくれ!というのが本音でした。

 体力的にも、精神的にもかなり消耗が激しく、とある場所で路肩に止めてゼエハアやっていると、交通整理役の人から、「頑張んなきゃ駄目だべゃ~、ワシぁ~、20年前に、麓から頂上まで、一気に登ったもんだべゃ~」なんて声がかかります。

 ・・・あの、麓から自分のペースで登るんなら、何も問題ないでさぁね。
 宮城の岩出山から160km走ってきて、ペースを乱されまくりながら登ってるから、こうなっとんだべね。

 そう言いたいのは山々でしたが、ヘヘヘェ~、と曖昧な笑いだけ残して、ランナーの切れ目を見て再出発。
 ドリンクも底をつき始めていましたが・・・マラソンの給水所で「いかがっすか~!」と差し出される水やバナナをもらったりしたら、やっぱり規定違反なんでしょうねえ・・・(ブルベでは、PC以外の場所で第三者の補助を受けてはいけない規定になっている)。

 誘惑に耐えながら前進再開。
 九十九折区間は、これで何度目の折り返しなのか、数えるのも嫌になった頃、やっと前方に駐車場の標識と、大平山荘入口、200mの標識が出ました。

 やっとついたか、と、最後の左カーブを曲がり、大平山荘のある平場へと登り上げ・・・。
 その瞬間に、巨大な風船で左からぶん殴られたような衝撃と、シャワーの水を直接ぶっかけられたような水飛沫を感じました。
 冗談抜きで、道路左端を走っていたのに、一瞬でセンターラインを越える所まで流されていました。

 今まで、斜面で遮蔽されていた、雨を伴う山頂からの吹き下ろしが、ここで一気に体に叩き付けてきたのでした。
 わたたたた、と、転びそうになりながら、何とか進路を元に戻すと、大平山荘の駐車場がマラソンのゴールになっている事に気付きます。

 ということは・・・ここ、マラソンランナーの皆様の、ラストスパートゾーンじゃないか!

 競技の邪魔にならないよう、慌てて駐車場に車体を引き込み、通過チェックを行うスタッフの方を捜すと・・・山荘の床下の、資材置場と思われる空間の一画に、蛍光色の反射ベスト姿のスタッフの方を発見!
 ・・・したものの、この時は、あまりに風と雨が強過ぎて、吹き曝しの中ではもう一度フレームにまたがって、走り出す事さえ、困難でした。
 仕方なく、車体を押して山荘前まで行き、通過チェックを受けました。

 ここで装備を、再び全身レインに換装。
 この装備換装、今日だけで何回目になるのやら。

 大平山荘の床下の空間から外は、傘も役に立たないような暴風雨が暴れまくっています。
 道は、まだここから2kmほど登り、県境を越えてから、やっと下りが始まるとの事。

 しかし、この暴風雨の中、前進するのもキツいですが、下るのはさらにキツいのでは・・・。

 そうは思ったものの、既に何人もの仲間がここを出発して行っているはずですから、尻込みしている訳にもいきません。
 「危なくなったら、押して歩きます」
 という、限りなく情けない宣言を残し、ほんのわずか、雨風が弱まった隙を突いて、最後の登りにかかりました。


12061143.jpg
幸い、登り始めてすぐに、
雨風ともに少し収まった。
まあ、油断したらバランスを崩してコケる程度には。
(それまでは、油断していなくても危険だった)

12061142.jpg
そして、悪天候とはいえ、
なかなかに素晴らしい展望が広がった。
左の建物は大平山荘。


 ブルーラインも頂上が近くなると、こんな悪天候の中では信じられないほどの展望が開けました。
 山々が突然切れて、深いグレーの中に沈むのは・・・多分、その下で陸地が終わり、日本海になっているからなのでしょう。
 さすがに水平線は厚い雲の中でしたが、それでも、日本海までを一望する事が出来る、という鳥海山の大展望の一端を感じる事は出来ました。

 これ、晴天日だったら、どんなにか素晴らしい展望が開けていた事でしょうか。
 ちょうどこのブルベの一週間前に、十和田ブルベで、風光明媚な場所を巡って感激していましたが、この道も、天気が天気なら、それに劣らぬほどシーニックな、素晴らしいコースだったに違いありません。


12061144.jpg
高山ゆえに、
まだこんな物も残る。
雪壁がどれくらいの高さかは、
左の参加者と比較すると、
お分かりいただけるのでは。

12061145.jpg
緑の絨毯のような、
深い森林が続くなだらかな斜面。
成層火山の特徴的な地形だ。

12061146.jpg
そして、これから下る、
にかほ市方向。
先程前にいた参加者が、
物凄い勢いで下って行くのが見えた。
この天気で、あのスピードって・・・。


 さあ、登ったからには、下りが待っている訳ですが。
 普段と違うのは、雨と風が激しい上に、標高差約1,100mを一気に下るという、その圧倒的な斜面規模。
 晴れていれば、よっしゃ行くぞぉ~!と、気合いを入れて走り出す所ですが、雨だと、何だか悪い予感しかしてきません・・・。

 慎重に行くぞ、と自分に言い聞かせてスタートしました・・・が。
 数秒で、雨粒がエアガンから放たれたBB弾のように顔を打ち、風は相変わらずの勢いで体を左右に押し倒そうとしてくれて、さらにはブレーキシューが何を噛んだのか、リムとの間で、とても嫌な音を立ててくれます。
 さらに悪い事に、高標高域の低温の風が当たり続けるため、体が、ゴアテックスのアウターを通してさえはっきりわかるくらいに、表面から体温が奪われて行く感覚があります。

 かなりの距離を下り、ブレーキレバーの遊びが明らかに大きくなってきて、顎がガチガチ音を立てるほど震えて、アイウェアについていた水滴が、ほとんど風で飛ばされてしまった頃になって、標識に「二合目」という表示が出ます。

 すると、どこかに温度躍層でもあるのか、急に周囲の空気がふわっと暖かくなったのを感じました。
 木々の樹高も高くなり、ずいぶん低標高まで降りてきた事がわかります。

 ・・・と、道端に黒いモコモコの毛玉がピョコピョコ走り回っているのが見えました。
 どうやら、ヒミズかトガリネズミが道路に落ちてしまい、L時側溝の段差を越えられずに困っているようです。
 が、ダウンヒルの滑走中にはしてやれる事はありません。体のエネルギーが尽きる前に、何とか土の地面に戻ってくれる事を祈るのみです。

 低標高域に降りてきても、相変わらず道は右に、左に、クネクネと曲がっていますが、気温が少し高くなった分、体にも余裕が出てきました。
 そして、とある場所で、カーブとカーブの間の直線が100mほど続く感じだったので、フッと少し気を緩めました。

 体感では、ちょっとサイコンを見ようと視線を下げた程度だったはず。
 ・・・ですが・・・顔を上げたら、さっき、まだ遠くだった右コーナーが、まさに目の前!

 え?嘘!いつこんなに進んだ!

 慌てて減速し、後輪がちょっと滑ったので、左だけ握り直して、速度を再度調整。
 道路幅、ギリギリまで使い、左端、路肩に車輪が落ちるかどうかの所で、ギリギリ調整が間に合って、何とかコーナーを曲がれました。

 危なかった~、と冷汗をかくとともに、その後も、何となく頭の芯にもやがかかったような感覚が残り、判断が遅れ気味になっている事に気付きます。
 同時に、意識がフッと遠くなるような感覚もあって・・・。

 まさか、これが噂に聞く、運転中のマイクロスリープか!
 何という事だ、このタイミングで!

 雨の中の下りだと言うのに、単調な景色&運転の繰り返しに、どうやら脳の方は退屈になり、意識が遠くなりかけているようです。
 しかし、この状態で居眠り運転なんてしたら、二度と起きられなくなる可能性の方が高いのは、誰の目にも明らかでしょう。

 ブルベの先達が実戦している眠気覚ましのうち、何かいい方法は・・・。

 あまり良い物が思いつかず、結果的に、周囲に誰もいない事を良い事に、大声で歌を歌いながら滑走を続けました。
 この瞬間を誰かに見られたら、どこかに通報されたかも・・・(^^;)。

 しかし、ロードの下ハン持ちの前傾姿勢では、喉が圧迫されて高音が出ない、という新たな発見もありました(←我ながら、何やってんだか)。

 結果的に、何とか無事に国道7号沿いまで下り、PC3を目指します。

4.そして、DNF
 PC3に着いた時も、雨はまだ降り続いていました。

 PC3チェック:16:15

 登って下っただけなのに、鳥海山にはほぼ3.5時間ほどもいた事になります。
 とにかく下りで体が冷えてしまい、PC3でお手洗いに駆け込む時に鏡で顔を見ると、唇がうっすらと紫色になっていました。

 おかげで、というか、ここでの補給は、ホットレモンドリンクと、ジャンボフランクフルト。
 とにかく、暖かい物が食べ/飲みたくて仕方がない状態でした。

 先行していた皆様とも、「寒いっすね~」という会話を交わし、鳥海山の雨のダウンヒルの過酷さを確認し合います。
 やがて、大平山荘で通過チェックをしていたR宮城のスタッフの皆様もPC3に顔を出し、どうやら鳥海山は無事、全員が越えたらしい事がわかりました。

 が、しかし、そのとき、私は新たな懸念材料を抱えていました。

 ビンディングを外すとき、右膝にチクッと痛みが走ったので、ん?と思ってちょっと右足に体重をかけてみた所、膝の下のしこり感がさらに強くなって、痛みを発し始めていたのでした。

 これに似た症状は、二年前、ツール・ド・おきなわの本島一周サイクリングの二日目で、向かい風のきつい恩納海岸を全力ダッシュした時にも経験しています。
 あの時はゴールまで数十キロだったのでそのまま完走し、その結果、11月に発生した違和感がそのままつきまとい、通勤(当時は東京で、どフラットな道を走っていた)も含めて、自転車に乗ると膝に痛みが走ったため、年が明けるまで2ヶ月ほど、全く自転車に乗れなくなるという、厄介な症状に進展していたのでした。

 とにかく、様子を見ながら進もう、と、PC3を出発し、にかほ市役所前を通過。
 その後、早くも現れた斜面の登りで、回転型、トルク型、シッティング、ダンシングなど、色々な回し方を試してみましたが・・・。
 どの方法でも、右膝の膝蓋骨下あたりに痛みが走ります(特にダンシングで体重を乗せると、ズキリと痛んだ)。
 これは、炎症が起き始めているのかもな、と、過去の経験から考えました。

 一旦、にかほ市役所まで引き返し、駐車場の片隅に、屋根付駐輪場があったので、そこで休憩がてら、善後策を考えます。
 この後、コースは鳥海高原に登り上げ、国道108号の松ノ木トンネルを抜けてさらに山岳地帯を走るコースになっています。
 そして、PC3までの走行距離は、200km弱。400kmの道のりの、半分程度しか来ていません。
 残りの距離を考えると、これから先、少なくとも6時間、長ければ10時間ほども走らなければなりません。

 しかも、スマホで天気予報を確認すると、これから後は、翌日昼ぐらいまでは雨続き。
 条件としては、かなり悪い事を自覚せざるを得ませんでした。

 念のため、現在地の最寄駅である象潟駅から、仙台駅までの電車を調べてみました。
 18:22発の特急で秋田に出て、秋田新幹線に乗り換えるのが、最終の接続でした。

 この時点で、時間は17:00頃。
 駅まで移動し、輪行準備、切符購入の時間を考えたら、うだうだ迷っていられる時間も少ない・・・。

 そして決めました。
 DNFだ。

 今なら、まだ仙台まで帰れる。
 しかし、これ以上道を進むと、最悪、足が痛くて動けなくなっても、公共交通機関が使えない時間になっている可能性が高い上に、山間部の小都市地帯に入るため、宿も取れない可能性が高くなります。

 進もうと思えば進めるかもしれませんが、そのエネルギーは、無事に帰宅する方に差し向けよう。
 しばらくは別の事は一切考えない事にして、にかほ市役所を出発し、象潟駅へと進路を変更しました。

5.ブルベはおうちに帰るまで
 象潟駅でびしょ濡れの装備を解き、輪行準備を開始します。
 輪行袋は、これだけは絶対に濡らすまい、と、スタート時点でコンビニのレジ袋で2重に包んであったため、この後、担いで体に密着しても、全く不快感はありませんでした。

 とりあえず、フレームからホイールを外し、まだ時間があったので、軒下をお借りして、持っていたポケットティッシュで申し訳程度、泥汚れを拭き取ってから、袋詰め。
 首尾通りの乗り継ぎで切符の購入も終わった段階で、ブルベカードの連絡先に、DNFの連絡を入れました。
 すぐにコールバックがあり、この後は大丈夫なのか確認されたので、仙台までの乗り継ぎの切符をおさえた事。仙台まで着けば、自宅まではどうにでもなる事を説明し、今回のブルベの、コース上の挑戦は終了でした。

 ここからは、無事に家に帰る事。それだけです。
 レインスーツの中で蒸されたジャージが汗臭くなっていたので、本当は温泉か風呂にでも入りたかったのですが、さすがにそんな時間はなく、大人しくホームへと向かいます。

 時間通りにやってきた特急いなほ号に乗り、秋田へ。
 秋田新幹線の乗り継ぎに1時間弱の時間があったため、一旦、改札の外に出て、せっかく秋田まで来たのだから、と、比内地鶏の親子丼を食べてから新幹線に乗り換えます。

 列車の中では、もっと先まで進めたのでは、とか、リタイヤしなくても、ゆっくりでいいからゴールを目指せば良かったのでは、とか、色々な考えが浮かびますが、既に仙台行き最終の新幹線ですから、コース復帰は無理。
 アルコールを入れて、仙台まで寝る・・・と思ったら、アルコールの助けがなくても、見事に寝落ちていました・・・。

 仙台駅に到着したのは、23時を少し回ったくらいの時間。
 まだ地下鉄も動いていましたが、仙台は秋田・山形以上に酷い雨だったので、タクシーで自宅まで戻り、この日の挑戦は完全に終了しました。

 シャワーを浴び、日が変わった頃に、速報でDNFした事をブログに上げたら、もう何もする気になれなくなったので、そのままベッドに横になると、翌日昼前まで、一度も目覚めずに寝続けました。
 どうやら、体の疲れは、相当のレベルだったようでした。


 というわけで、今回のブルベは、残念ながら力及ばず、DNF。
 悪天候に、膝の違和感が重なり、それ以上走る気力がなくなった、という感じでしょうか。

 晴天だったら完走できたか?と聞かれても・・・ううむ、膝の違和感が発症しなかった保証はないので、難しい所でしょうね。
 とりあえず、先頭集団の皆様の、雨天でも淡々と走って行くあの強さというか、「場慣れ感」は凄かったですね・・・。

 同時に、この雨の中のブルベ開催のため、宮城だけでなく、宇都宮などでも、GPSやサイコンの不調、故障が相次ぎ、結構な数のGPS製品がオシャカったようで・・・。
 一応、アウトドア製品なのに、雨でそんなに沢山が故障するって、どうなのよ、と思ってしまうのですが・・・。

 それはさておき、7月以降、本業がかなり忙しくなりそうなので、しばらく、ブルベはお休みです。
 9月以降、もし時間が取れたら遠征で参加可能な物に顔を出すかもしれませんが、今の所、予定しているのは1006宮城200だけの形です。

 とりあえず、しばらくブルベはお休み。
 個人的な、長距離ツーリングなどは続けて行くつもりなので、また何かネタが出来たら、レポートする事にしましょう。

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コメント
お疲れさまでした
雨ブルベと、長文レポ、お疲れさまでした。
自分は今回家庭の事情でDNSでしたが、この過酷な条件の中で走りたかったです。
鳥海山は、あのくらい見えていても雨になるんですね。普通は、山岳コースの雨天で練習する人はいないでしょうけど、ブレーキのレスポンスやシューへのダメージにしても、経験しないとわからないことだらけですね。そして、一度経験してから、「二度と行きたくない」か、「今度はこうしよう」っていう選択になるのかと思います。

それにしても、「ロングライター」ぶり、精細な描写で楽しめました。
膝、お大事に。
2012/06/13(水) 07:12 | URL | 楽山 #-[ コメントの編集]
本当に疲れていました・・・
楽山さん、コメントありがとうございます。

雨ブルベは、自分で意識していたより過酷だったようで、
日曜一日では疲れが取れませんでした。
月曜日を休みにしていて、本当に良かったと思います。

しかし、克服すべき課題も、色々見えてきました。
次回は、装備ももっと整えて臨めるようにしたいと思います。
(私は再チャレンジ派、ですね。懲りないやつ、とも言いますか?:笑)

膝の方は、おかげさまで今は痛みもなくなりました。
しばらく、天気が微妙で自転車通勤すべきか迷うような状態ですから、
膝休め期間にしようかと考えています。
2012/06/13(水) 09:00 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
すばらしいレポートですね。
うーん、すばらしいレポートですねー。日本ナンバーワンクラスですよ。僕が最初に出たブルベは、北海道で、途中で雪が降ってきて中止になったんですが、軽めの凍傷になりました。だから、ブルベってそんなもんだと思い込みましたから、悪天候は、あまり気にしたことはないのです。装備改良して、また挑戦してください。来年、違うコースにしてたら、ごめんなさいですが。





2012/06/13(水) 09:06 | URL | 山形1号 #-[ コメントの編集]
Re: すばらしいレポートですね。
山形1号さん、コメントありがとうございます。

私はこれまで幸い?にして、悪天候のブルベの経験があまりなかった(DNSしていた)ので、
降られっ放しで100km以上というのは、結構効きました。
2010年のツール・ド・おきなわ本島一周では、台風並みの暴風雨の中を走りましたが、
あちらは商業イベントで、補給所、スタッフの配置等の補助が充実していましたからね・・・。

ブルベで自己完結した状態で走るのは、やはり慣れが必要だと思いました。
(とはいえ、ランドヌール宮城の皆様の主催、運営には、本当に感謝しています)

装備その他も、色々考える所がありましたので、
今回のDNFは、次回への良い経験になったと思います。
とりあえず、ウェア類は現状でもかなり行ける事がわかったのは収穫でした。

来年も、できれば鳥海山は、また雪渓の残る季節に走りたいです!
まあ、個人で走りに行ってしまうかもしれませんが・・・。
2012/06/13(水) 12:49 | URL | YO-TA #GY0.Hv3k[ コメントの編集]
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プロフィール

YO-TA

Author:YO-TA
2011年7月に東京から仙台に移住。
相変わらず、デジカメ片手に、サイクリングやハイキングを楽しんでいます。
突然、突拍子もないことをやらかしますが、それはまあ、ご愛嬌という事で…。

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