日々是遊歩。見て、聞いて、感じて、それを殴り書き。

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書評「ロングライドに出かけよう」

 連休も終わりに近付き(注:私はカレンダー通り)、明後日からの仕事に備えて、東京に戻ってきました。

 連休中は、実家で私の影響で自転車に目覚めた(?三日間のみの可能性あり)母親に付き合い、自転車の購入に立ち会ったり。
 急に体調を崩した兄の病食メニューを考えたり、ちょっと普段とは違う帰省を経験してきました。

 んで、今回の帰省は電車(新幹線~在来線特急)だったので、移動中に読んだ本の書評もどきをネタにしてみましょう。
 今回読んだ本は、こんな作品です。

「ロングライドに出かけよう」(Amazonへのリンク。アフィリではありません)


 SNSのmixi内で、自転車系コミュニティーとしてかなりの参加者数になる、「自転車で遠くへ行きたい」の管理人でもある米津さんの第二作です。
 全作、「自転車で遠くへ行きたい」に続き、自転車(ロードバイク)でのロングライドについて、ある意味、究極の自転車競技である「ブルベ」に魅せられた人達へのインタビューなどを交えて書かれた作品です。

 著者からインタビューを受ける皆様は、SR(シューペル・ランドヌール。同一年に、200km、300km、400km、600kmのブルベを完走した人に贈られる)の称号を持つ上に、海外のブルベにも参加している筋金入りのロングライドの達人で、皆様、それぞれの「経験」に基づき、それぞれのスタンスでロングライドを楽しんでおられる様子がうかがえます。
 そんな豪華なメンバーが語るエピソードには、数々の武勇伝(ただし、本人は別に誇る訳でなく、さらっと語るだけ)と、成功と失敗のプロセスとともに、ネタとしか思えない笑い話も混じっているのが面白い所です。

 詳細な感想は長くなったので、裏置きします。
 興味のある皆様、是非、続きをお読みください。


 今回の作品は、ロングライドの魅力を語る本、第二段という事で、前回の「距離感の崩壊」に加えて、「距離感が壊れた人達が、どんな気持ちで途方もない距離を走っているのか」という点について、掘り下げられています。

 そして、この本で語られていた内容の中で、特にうむむ、と考えさせられた2箇所について述べることにします。

1.ロングライド(ブルベ)は大人の遊び
 まず最初にふむ、と考えさせられたのは、ロングライド(ブルベ)は「自分に肯定的になれる人が楽しめる大人の遊び」であり、「自分で工夫する事」がまた楽しみ方の一つであるという事。
 ここは言い換えれば、「一つの物事を自己完結させる事を楽しむ」という、文字通りの「自立」の形があると見て良いでしょう。

 私は、自転車趣味の世界の中では、「走る」事を楽しむ方であり、その中でも「距離を走る」事を楽しむ傾向が強いです(モチベーション維持のため、レースイベントにも出るけど)。
 小径車からロードに移行したのも、一番の理由は「もっと遠くへ、早く辿り着きたい」という欲求を満たすためであり、車体のセッティングもそれに応じたものになっています(フレームサイズ、リアカセットなど)。

 そして、私はいま現在の所、センチュリーライドは何度もこなしている・・・というか、ロードに乗っていると、センチュリーは普通に走れる距離である事に気付きましたが・・・1日200kmの壁をまだ突破できていません。
 また、自分オリジナル装備や、自分なりのロングライドの処方箋等を考えて実行しているか、というと・・・これは明らかに「まだできていない」段階であり、本格的な「楽しみ」の段階には、まだ到達していないというレベルでしょう。

 しかし、1日200km以内の距離は、勢いで何とでもなるレベルでもありますから、私の場合、それ以上の距離を走れるようになった時に、自分なりの工夫によって、さらに「距離」を走っていくのか否かが決まりそうです。

 それにしても、「自己完結させる事を楽しむ」という視点は、どんな物事でも、本格的に楽しむ上では必要な事だと私は思います。

 以前は良く行っていた登山の世界の話ですが、奥多摩駅で立派な登山装備に身を固めたオバサンハイカーが、「今日は、どこからどの山に登るんですか?」とリーダーに質問している所を見て、何度もゲンナリした覚えがあります。

 目的地も把握せず、ルートの状況も事前に調べず、どんな急登が待っているか、どんな展望があるか、どんな危険性があるかも理解しないまま入山し、前を行く人にただ付いて歩くだけでは、とても「自己完結した大人の対応」には程遠いと言わざるを得ません。
 体力オーバーのルート設定である事を知らずに参加し、急登に喘いで動けなくなり、「こんなはずじゃない!」とか「ルートを教えないリーダーが悪い!」と愚図るのでは、楽しいはずの山行も苦々しい想い出だけしか残らず、グループにとっては単なる足手まといにしかなりません(実話なんですよ、これ・・・)。
 こういった事を山の中で当たり前に見せられ、そら、全国の山で中高年登山者の遭難事故が多発する訳だ、と妙に納得できた事もありました。

 「大人として自己完結」する事。とても重要だと思います。

2.「距離感が壊れている」のはどっちだ?
 そして、うむむと考えさせられた2カ所目ですが、これはもう、「距離感が壊れている」のは、自転車に乗り始める前後、どっちだという部分です。

 自転車に乗る前・・・というか、都心部近郊在住の皆様は普通、目的地に移動する際には、自宅最寄駅~目的地近辺の駅までの所要時間をネット等で検索し、それに応じて出発の時間を決める、「最初に時間ありき」のパターンが多いでしょう。
 それが自転車+サイコンで移動をはじめると、自分が大体、どの程度の距離をどれくらいの時間(速度)で移動できるかが把握できるようになってきます。
 そして、いつの間にか目的地への移動は、ドア to ドアの距離をWeb上の地図で調べ、距離÷移動速度で目安をつけるという、「最初に距離ありき」に移行してきます。

 この際、考えさせられるのが、「距離感として正しいのはどっちだ?」という点です。

 まあ、自転車のロングライドでは、100~200km以上という、普通の皆様にはとんでもない距離を走ってしまうので、まあ、それは特殊例としまして、わかりやすく、私の自転車通勤で考えると・・・。

 私の場合、世田谷区の北の端から南の端へと通勤しています。
 電車だと、京王線から世田谷線、田園都市線を乗り継いで、約1時間。
 しかし、自宅から職場のドア to ドアの距離は10kmで、自転車ではゆっくり走っても30分くらい。
 ま、私のような趣味を持つ人であれば、この条件なら迷わず自転車通勤を選ぶでしょう。

 しかし、勤務先の人(私は外に出向中)や、会社の社員のほとんどが、通勤経路というと電車の方をイメージし、自転車で通う事は全く想定外だったと言います。
 ですが・・・さて、純粋に「距離感」を考えた場合、自転車と電車、どっちが正しい感覚なのか?という問いかけをされている気がします。

 著者の米津さんは、この考えに至るきっかけは、以前からお世話になっていたサイト主さんから、「地方だと100kmの距離はリアルに感じられるけど、東京だととてつもない距離に感じる」という連絡をもらった事だそうです。

 地方都市(北陸、福井)生まれの私から見ると・・・いや、生まれ育った環境にもよると思いますが、40km程度まで(自動車で1時間程度の距離)まではリアルな実感がありますが、100kmはやはり、とてつもない距離に感じますよ?
 そして、そこで感じる距離感は、やはり「自動車なら1時間」という、「時間ありき」の感覚だったりします。

 本当に、正しい距離感はどっちなんだ?というのは、しばらく自問自答しないと答えを出せないかもしれません。
 しかし、最近、私もやはりこう感じるようになってきました。

 「自転車の100kmは近い。けれど、自動車の100kmは遠い」

 ・・・やはり、壊れてますか?距離感として・・・。


 さてさて。
 長々と書いてきましたが、これらの内容を「実感」として捉えられるのは、やはり自転車乗りの皆様なんじゃないかなあ・・・というのが、私の感想です。

 というのも、今回、実家に帰省して、「東京の自宅から実家まで、約500km。頑張れば2泊3日の距離で、案外近い」と話した所、実の母親に変人扱いされましたので(^^;)。
 この感覚は、実際に「自分が自転車でどこまで走れるか!」を尺度として持っている人でなければ分からない距離感かも知れません。

 しかし、ここで自分なりに、ふと気付いた事。

 「自転車の100kmは近い。けれど、自動車の100kmは遠い」

 この感覚って、「自分の力を使う移動距離は、疲労度その他の経験から体感で距離の尺度を作れるため、遠近の感覚を明らかにできる。しかし、自動車という機械に依存する場合、肉体的な疲労等の経験をもとにした尺度を作れないために距離感を狂わされ、とてつもない距離に感じる」という事ではないでしょうか?

 これに対するご意見は、是非、自動車やオートバイでの長距離ドライブ or ツーリングを楽しんでいる皆様にも、お聞きしたい所です。


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コメント
ロングライド
こんにちは。
YO-TAさんが福井の人だったのはじめて知りました。
去年は三度福井県を走ってます。
私の初超100kmは宇治の平等院往復でした。
景色を楽しんでたら「もう着いたの?」って感じでしたが帰りは遠かったです。
単車に乗ってる時は高速道路の移動は苦手でした。
100km、コーナーが続いたら退屈しないのにと思った事がありました。
100kmを単に移動と考えるか楽しめるかで変わってくると思ってます。
2009/05/06(水) 07:00 | URL | AUeno #mIzY8NiI[ コメントの編集]
気持ち次第?
隠していた訳ではないのですが(笑)、福井県出身です。
まあ、関西圏ならまだしも、関東圏で「福井出身」と言っても、福島や福岡と間違われるのが普通なので、最近は「北陸出身」と言う癖がついてしまいました(^^;)。

今回の帰省で、地元の道路を色々走りましたが、自転車で走るには良さそうな道がいっぱいありましたね(実際、沢山の自転車が走っていましたし)。
越前海岸とか、もっと道路が整備されていれば、最高に気持ち良い道だと思いますが・・・(強風だと地獄ですけど ^^;)。

> 単車に乗ってる時は高速道路の移動は苦手でした。
> 100kmを単に移動と考えるか楽しめるかで変わってくると思ってます。
なかなか興味深い話を頂きました。
自動車やオートバイだと、移動=単純作業に近くなり、何となく退屈(軽く苦痛を伴う)であるが故に、同じ距離でも体感時間が長く、遠近感に差が出る、という感じでしょうか。
一方、自転車で走っていると、景色を楽しんだり、起伏に苦しんだり、ドリンク切れで自販機に立ち寄ったり、と、走る過程で色々なことが起き、それぞれが印象に残るので退屈しない(=近く感じる)のかもしれませんね。

という事は、距離感=気持ち次第、という事になるでしょうか?
(まあ、そう決めつけるのも早計な気がしますが ^^;)
2009/05/06(水) 20:26 | URL | YO-TA #-[ コメントの編集]
書評、ありがとうございます
お邪魔します。
拙い本を読んでくださってありがとうございます。

大人の遊びなんだから、自分で工夫しなくちゃおもしろくないでしょ?と思うんですよね。でも本当に最近はブルベの主催者に事細かく問い合わせてくる人が多いらしいです。

来月はご出身の福井に走りに行きます(グランフォンド福井)。楽しみなんですよ(^^
2009/05/14(木) 01:40 | URL | 米津一成 #f889ooI.[ コメントの編集]
グランフォンド、楽しんできてください!
こちらこそ、記事を紹介頂き、ありがとうございました。
(しかも、コメントまで頂けるとは!)

自分で考えた装備が、思い通りに役立った、という事は、私は登山時代に何度も味わいました。
その時には、何とも言えない楽しさというか、嬉しさというか、そういう気分になりましたので、「自分で工夫しなきゃ、面白くないよ!」という所には、本当に共感できました。
(そういえば、小径車も色々改造したなあ。思ったほど、効果はなかったですが ^^;)

グランフォンド福井に参加されるのですね。
コースを調べてみたら・・・いやあ、結構ハードなコースですね。
最後のデザート(とどめ?)に、木ノ芽峠越えが待っていますし・・・(ちなみに、県内有数の交通の難所です)。

でも、(あの)小浜市~三方五湖~敦賀の海岸線は、景観が変化に富んで、すごく良い場所ですよ!
是非、福井を楽しんできてください!

ただし、6月頃は、福井の山の中にはブヨが大量発生している時があります(特に、雨上がりだと酷いです)。
刺されると厄介ですので、スタート待ちの間、腕と足にはUVカバー等を装備した方が良いかもしれません(ご参考まで)。
2009/05/14(木) 02:54 | URL | YO-TA #sTEMGF/E[ コメントの編集]
貴重な情報ありがとうございます!
グランフォンド福井はカミさんも一緒に走るので「どうなることやら」なんですが(^^);;  ま、楽しんできます。

ブルベは元山屋の方が多いですね。今は少し薄まったと思いますが、私が走り始めた頃は非常に濃いめの比率でした。
2009/05/14(木) 13:16 | URL | 米津一成 #f889ooI.[ コメントの編集]
元山屋率が高いのですか>ブルベ。
違う意味でも「濃い世界」がちょっと脳裏に浮かびました(^^;)。
同じ持久系競技ですし、行き先を決めるのに読図が必要だとか、共通点が多いので、入り易いのかもしれませんね。

なお、私も最近、600kmはまだまだ無理でも、まずは200kmから、チャレンジしてみようかな・・・なんて考えています。
(時間があったら、ツール・ド・沖縄の本島一周サイクリングも走ってみたいですね。仕事の都合で佐渡を逃しましたので・・・)
2009/05/15(金) 01:47 | URL | YO-TA #GY0.Hv3k[ コメントの編集]
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プロフィール

YO-TA

Author:YO-TA
2011年7月に東京から仙台に移住。
相変わらず、デジカメ片手に、サイクリングやハイキングを楽しんでいます。
突然、突拍子もないことをやらかしますが、それはまあ、ご愛嬌という事で…。

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